2013koho07
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新庄の言い伝え文字を見やすくしました本文にモリサワユニバーサルフォントを使用しています。佐さ吉きち爺じいに聞く新庄には、今でも多くの言い伝えが残っています。「言い伝え」は、日常の生活の中で綿々と伝えられてきた、先人の生活の知恵。今も残るさまざまな「言い伝え」を、季節の行事とともに佐吉爺が紹介します。文・伊藤佐吉さん(仁田山) 七月は文月だ。文を読むのも良いが、山菜採りにも良い季節だ。農家は田植えも終わっていて、このころには田んぼも青田。暑い日が増え、山野は緑になり、谷間にいけば涼しい。行楽日和の季節だ。 年の半分が過ぎた七月。二日は半夏生(はんげ)と呼ばれ、畑に種をまく最後の日と言われていた。農家では、半夏生ニンジンが良いといって、その日あたりに種をまいた。エダマメもそうだ。 昔は、朝と晩、一日二食だったそうだ。二食だと、お昼近くには腹も減る。すると、「小昼(こんびり)」とか「一服」、「たばこ」などと言って少々腹ごしらえした。古老たちは、最近までこうした言葉を使っていたと思う。今の子どもたちには何のことか分からなかっただろう。 七日は七夕節句の日である。主に女の子が集まり、青竹や柳の枝に短冊を飾ったりしてお祝い遊びである。なお、七月七日の夕方に、新庄民話の会の会員が歴史センターで民話を語る催しを行っている。今年はもう終わったが、来年も、皆さんのお出でをお待ちしています。 八日は旧六月朔つい日たち、「芋むきの朔日」といった。二度芋、ジャガ芋などとも言うが、農家は馬鈴薯(バレイショ)と呼ぶことが多い。新馬鈴薯、長芋、しみ大根、えんどう豆、フキなどを一緒に煮て、神様にお供えして食べた。乾餅も一緒で、子どものころは一番のおやつであった。乾餅は歯固餅と言われ、食べると歯が丈夫になるという訓えであった。 十九日は土用入り日。土用丑の日のころは、山野の草花や薬草を取る季節である。オウレンの葉や根を陰干しにして煎じて飲むと胃弱に効く。オトギリソウは陰干しにし、煎じて飲んだり、焼酎に漬けて切り傷などに塗布する。アセモウは胃潰瘍に。イタドリは白い花が咲いたときに採って煎じて飲むと便秘に良い。ゲンノウショウコは陰干しにして煎じて飲むと下痢止めや、健胃薬になる。ドクダミは青葉を蒸し焼きにして化膿した患部に貼って膿出し。また干したものを煎じて飲めば胃腸の薬。ビッキグサ(オオバコ)は葉を患部に貼って出血止め。ヤマゴボウは細かく切って煎じて飲むと便秘に良い。キハダの皮は細かくして煎じて飲むと深酒に効く胃腸薬と、いろいろな薬草があった。 農家では、土用の入り日に、「土用餅」と言って、餅をつく習慣もあった。また、丑の日には、湯治にも行ったものだ。湯あみし、病気にも効く。村のおばさんたちは丑の日を心待ちにしていた。 今年は土用丑の日が二回もある。〽土用に小豆汁を   食べると夏負けしない昔からの訓え其の十「土用丑うしの日」の巻▲七夕の民話語り(平成24年7月7日/ふるさと歴史センター)平成25年7月9日号(No.667) ■編集・発行/新庄市 総務課 〒996–8501 新庄市沖の町10–37 TEL.0233–22–2111 ■制作・印刷/共栄印刷株式会社 14,000部発行広報07

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