2015koho06s
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 日本の公的年金制度は、基本的に20歳から60歳の間、保険料を納め続けることで、①65歳になったとき②病気やけがで障害が残ったとき③家族の働き手が亡くなったときに年金を受け取ることができる制度です。 この制度は、昭和17年に、被用者(使用者から賃金を受け取って労働している者)を対象とする労働者年金保険(後の厚生年金保険)が創設されたことから始まりました。その後、昭和36年には、それまで公的年金制度に加入できなかった自営業者や農林漁業者などを対象とする国民年金が発足し、国民皆年金制度が整いました。しかし、それぞれの制度が独立していたため、加入している制度によって、給付や負担に格差が生じるという問題を抱えていました。 昭和61年、こうした諸問題を解決するため、全国民を対象とする基礎年金制度が発足。厚生年金や共済年金の被保険者及びその配偶者も国民年金の被保険者になりました。したがって、厚生年金や共済年金の被保険者は、それらの年金と同時に国民年金にも加入していることになります。また、国民年金は全国民共通の「基礎年金」として支給する制度となり、厚生年金などの被用者年金制度は、基礎年金に所得や報酬比例分の年金を上乗せして支給する、いわゆる「2階建て」の仕組みとなりました。 平成9年からは基礎年金番号が導入されました。それまでは、国民年金や厚生年金、共済組合など、加入する制度ごとに番号が付けられ、制度ごとに記録の管理が行われていため、制度間での情報交換が難しく、同一人物の記録が分かりにくかったり、職が変わったときなどの手続きが円滑にできないなどの問題がありました。基礎年金番号の導入によってそれが改善され、届け出を忘れている人への連絡や年金の受給手続き、各種相談なども適切に対応できるようになりました。 このように国民皆年金制度は何度も見直されて今日の制度に至っています。昭和36年の「国民皆年金」実現後50数年を経て、現在では全国民の約4人に1人が公的年金を受給しています。国民の老後生活の柱としてなくてはならない存在になっているのです。 公的年金の年金額は、物価・賃金の変動に応じて年度ごとに改定されますが、過去に物価が下落したときに年金額を据え置いたことから、本来の水準よりも0.5%高い水準(特例水準)で支払われていました。このため、平成27年4月分としてお支払いする年金額から、平成27年度の改定率(プラス2.3%)と特例水準解消分(マイナス0.5%)、また現役世代人口の減少などを考慮したマクロ経済スライド(マイナス0.9%)を合わせ、3月までの額に比べてプラス0.9%の改定が行われています。老齢基礎年金障害基礎年金いずれも子の人数による加算あり遺族基礎年金子の人数による加算あり78万100円(40年納めたときの満額)【1級】97万5,100円【2級】78万 100円78万100円 国民年金保険料を納付した期間、保険料免除や学生納付特例を受けた期間、厚生年金や共済に加入した期間、 第3号被保険者期間などを合計して25年以上ある人が原則65歳から受け取れます。 国民年金加入中や20歳前に、病気やけがなどをして障がいが残った場合に請求できます。障がいの程度や保険料の納付状況により該当しない場合もあります。 国民年金の加入者などが亡くなったときに、子どもがいる配偶者、または子ども(子どもは18歳未満)が受け取ることができます。生計が同じだったことが条件となるほか、保険料の納付状況によっては該当しないこともあります。 このほか、保険料を納めた期間が25年以上ある夫が亡くなった場合、10年以上婚姻関係のあった妻が60~65歳まで受け取ることができる寡婦年金や、保険料を納めた期間が3年以上ある人がいずれの年金も受けずに亡くなったときに、生計をともにしていた遺族が受け取れる死亡一時金の制度もあります。■国民年金はこんなときに受け取れます平成27年度の主な年金額(年額)公的年金制度のあゆみ6

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