2015koho12s
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気象庁 山形地方気象台 観測予報管理官大高 隆広さんプロフィール秋田県能代市出身。気象庁に入庁後、山形県地方気象台勤務は合計6年目。職員17人を束ねる。趣味はスキーで、同じく豪雪地帯出身だが「山形の雪質はとてもいいので大好き」とのこと。■気象庁山形地方気象台ホームページhttp://www.jma-net.go.jp/yamagata/4雪と新庄の関係¦まずはじめに、気象現象における雪とはいったい何なのですか大高管理官 基本的に上空5㎞以上は、夏でもマイナス何度という世界なんです。そこに漂っているちりやほこりの周りに水蒸気が昇華(水滴にならずにいきなり凍る)することで、凍って氷や雪の結晶になります。核となるものがないと雪の結晶は出来ないようです。それが地上に落ちてくるわけですが、地上付近の気温が高いと途中で雨になり、低ければそのまま落ちてきて雪となるのです。¦新庄に雪が多い原因は何ですか大高管理官 東側に神室連峰があり、日本海から流れてくる雪雲がそこで発達するからです。特に最上峡が風や雲の通り道になっている部分は見逃せないです。¦それらの予報はどのように行っているのですか大高管理官 気圧、気温、風などの観測データを、日本だけでなく世界中から集め、物理学の方程式により、風や気温などの時間変化をスーパーコンピュータで計算して将来の大気の状態を予測しています。 ちなみに、新庄には「新庄特別地域気象観測所」があります。昭和31年に新庄測候所として開設しましたが、平成10年に観測業務を自動化することで、現在の名称となりました。山形県は地域によって気象特性に違いがあるので、内陸部の新庄と沿岸部の酒田に、それぞれ測候所を開設し、現在は自動化した特別地域気象観測所として観測が継続されています。¦唐突ですが新庄に雪が降らないようにすることはできませんかね…大高管理官 雪雲が山を越えると消散して、乾いた空気に変わり好天になることから、出羽丘陵を1,500m位まで高くして、かつ最上峡を埋めると新庄に降る雪は減るかもしれません。また、日本海を全て埋め立てたら熱や水蒸気の補給がなくなり、かなり減ると思いますが、いずれも物理的に不可能なことですよね。 それよりも別の見方をすると、四季がはっきりしている新庄最上は、農産物に最適な土地と言えます。豪雪も、蓄えられた水資源と考えると天の恵みと考えることができるかもしれません。それが新庄の魅力の源なのかもしれませんね。山形地方気象台に聞く 日本でも有数の豪雪地帯である新庄市ですが、なぜこの場所はこんなにも雪が降るのでしょうか。県内でも場所によって雪の積もり方が全く違います。今回は、その謎を山形地方気象台の観測予報管理官である大高さんに解説して頂きました。なぜ新庄に雪が降る?

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