2015koho12s
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実際に設置されている改良型防雪柵広報7特集雪を知る12国立研究開発法人 防災科学技術研究所雪氷防災研究センター 新庄雪氷環境実験所雪氷環境実験室 室長小杉 健二さんプロフィール理学博士、埼玉県出身。子どもの頃、雪が降ると楽しかった記憶があったと言います。大学院卒業後、雪に魅せられ防災科学技術研究所に入所。以来、新庄での勤務は通算20年を超える。主な研究テーマは「吹雪」「雪崩」。現在、新庄市振興計画審議会委員を務める。ました。現在の流雪溝の仕様などに研究結果が反映されていますし、消雪道路についても、どの程度の積雪に、どのくらい散水すると効果的かというような基準も作られました。そして、何と言ってもここ新庄の特徴は、世界最大の人工雪実験棟を持っていることです。 室内スキー場など、ここよりも大きな施設で人工雪設備を備えているとこはいくらでもありますが、「天然の雪と同じ結晶雪」を大量に降らせることができる施設としては、この施設が世界で唯一のものです。 この施設を使って最近行った研究の一例には、次のようなものがあります。●太陽光パネル上の雪の滑走実験●改良型パンタグラフの着雪実験●改良型防雪柵の実験 太陽光パネルについては、実験の結果、通常のトタン屋根よりも遠くに雪が落ちることがわかったため、落雪事故防止に向けて注意喚起を行っています。 パンタグラフの実験はJR東日本の依頼で行ったものですが、改良型の方が着雪による送電障害に強いことがわかり、奥羽本線をはじめ、JRの各列車車両に採用され始めています。また、防雪柵についても、上段部分にねじれを作ることで、通常よりも高い効果を得られることがわかり、尾花沢新庄道路などの側壁に採用されることとなりました。 このように、雪国の皆さんの生活に関わる部分のほかにも、海外の研究機関との共同研究など、多岐に渡って利用されている施設です。雪とのつき合い方¦今後、科学の力で雪が降らないようにすることは出来ませんかね…小杉博士 うーん、降雪のタイミングをコントロールする研究が最近はじまったようですが、「雪を降らさない」ことは、今の科学では難しいと思います。 それよりも、どう雪とつき合っていくのか、そして、その恵みを私たちがどう捉えていくのかが重要だと思っています。新庄の豊かな水資源は、降雪によって支えられています。 雪を知り、備え、そして活かしていくことが、雪国の生活に必要なのではないでしょうか。

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