2016koho01
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6ろです。阿部社長 当社で働く社員は約130名、その85%ほどが新庄・最上地域在住で、地域の人々に支えられていると言えます。今後も地元在住の新卒者やUターン者の採用を積極的に行うつもりですが、新技術開発のため、社内の技術者育成はもちろん、優秀なエンジニアの採用も必須です。この点では当地域からの採用だけでは難しく、都市部に在住しているキャリア人材(U・Iターン者)も含めた採用も必要と考えています。このためには、魅力ある企業であることをアピールしなければなりません。ただ待っているだけではだめで、例えば高校に出向き、我々であれば切削技術などを教えながら生の現場の声を伝えることも大事ではないかと考えています。この地域にも多くの企業があり、各分野に大変優秀な方々がいますので、その協力を得て、地域の高等学校、農業大学校に出向いて実践的な授業(校外授業)や、地域に根ざしたカルチャースクールなどができれば、地域として次世代を担う若者の育成ができ、就業後には工場や農業などに即戦力として期待できるのではないでしょうか。 また、短大や高校、中学校のインターンシップや体験学習を受け入れていますが、今年は将来を見据えてカリキュラムの見直しなども進めていく予定です。 女性の活躍の面では、熟練の必要がない装置の操作などを覚えてもらい業務の幅を広げる取り組みをしています。また、女性の管理職をもっと育てたいとも思っています。森所長 技術職が5名おりますが、当社が扱う技術に関し、全員が説明に窮することはありません。学会に論文を発表して入賞するなど、人材は揃っていると自負しています。ただ自分も含め、マーケティングが弱点と思っています。開発した技術や製品をどうやって世に広めるのか、というノウハウが少ないのです。メーリングリストを活用した情報発信も進めていますが、そうした人材が不足していると思っています。市長 阿部社長がおっしゃる実践的教育については、以前は職業訓練校が本市にありましたが、今はありませんね。また、高卒者には関東方面からの誘いがあり、何十年と優秀な人材を市外へ送り出してきた歴史があります。これを地元の企業に残してほしいとお願いしています。この辺の歴史は鶴岡や山形と違うところなのでしょうね。森所長 たとえば出前授業などはできると思います。家庭の事情で家を継ぐ必要があるが、魅力的な企業がないと考えている人に、「当社ではこういう技術を開発して、世界に打って出てナンバーワンだ」などとアピールし、そこで働きたいと思わせるような流れが作れるといいですね。要請があれば協力したいし、就職活動の一環と捉えてもらえば一石二鳥ともいえるでしょう。市長 毎年実施している市民アンケートでは、市内に魅力的な企業が少ないと思う人が多い現状が続いています。しかし私は、実際は魅力的な企業はあると思っており、この意識の差を何とか取り除きたいと思って活動しています。子どもたちの企業見学や、県と一緒に行った親子での企業見学、最近は市議会の企業視察もありました。こんなすごい技術があったのかとみな驚きます。魅力をみんなで発信していく。子どもたち、そして保護者に、それを伝えたいと思っています。阿部社長 1月31日にトヨタ自動車東日本㈱と県とで、自動車組立工場のバーチャル見学や、動く仕組みを学びながらオリジナルの「からくり自動車」作って走らせる小学生向けの工作教室を開催するそうです。そういうところから入っていくべきかもしれませんね。ところで、行政による産業活性化のためのセミナー開催や専門家の派遣による実地指導など、一部すでに取り組んでもらっていますが、今後さらに広げる考えはありますか。市長 質を高めたいと考えています。阿部社長 昔から産学官連携とは言われていますが、米沢市では金融や医師会が加わったりして、異業種のネットワーク作りが盛んに行われています。新庄・最上ではこれからどのような企画を考えていますか。市長 今始めているのは、ものづくり企業交流会。呼びかけてはいますが、参加企業は5、6社。なかなか参加してもらえません。阿部社長 団地内企業と話してみると、やりたいと思っていても動機付けが弱くて、なかなか踏み切れないようです。企業の歴史や実力などを心配し、あきらめてしまうのかもしれません。

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