2016koho07
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6ー漫画を書く上で大切なことはなんですか。阿部先生 漫画を作り上げるためには、ボキャブラリーというか、自分のアイデアの引き出しが多くないといけません。そのためにも、取材にいったり、さまざまなジャンルの体験を積むことが重要だと思っています。岡田先生 漫画家というと、インドアなイメージがあると思いますが、阿部先生もおっしゃるように、同業者はもちろん、さまざまな人とコミュニケーションをとることが大切だと思います。これはもしかすると、どんな職業にとっても大切なことなのかもしれませんね。ーところで、新庄出身者には、漫画家やデザイナー・作曲家やテレビプロデューサーなど、人口規模のわりに多くの文化人がいらっしゃいますが、何故だと思いますか。阿部先生 んーなぜでしょう。(笑)岡田先生 地域性という意味で、昔の田舎は隣近所と協力しないと生活できない状況があったと思います。特に新庄は豪雪地帯なので、この傾向は強いのではないでしょうか。そういった中では、個よりも集団が優先されるので、中々自分を前に出すというか、表現できる場面がなかったのではないでしょうか。フィルターを通した「表現」方法。新庄人の特性はそこにあります。ーだから他の方法で「表現」を行う術に長けてきた。ということですか。阿部先生 そうかもしれません。新庄出身者に芸能人が少ないのも、役者さんや芸人さんのように体や言葉で表現するよりも、何か一枚フィルターがあって、それを通して表現することが得意というか、それが美徳とされる文化の中で磨かれてきた感性なのかもしれません。岡田先生 新庄まつりが、その良い例なのかもしれませんね。ーどういうことでしょか。岡田先生 地域の人たちがあつまって、自分たちの「表現」で美しさを競い合う。面と向かってはなかなか言えないけれども、「我がまちが一番」の思いが地域一体となって新庄まつりを作り出しているのではないでしょうか。阿部先生 そうですね。私も沖の町若連の一員ですが、仕事の関係でおまつりに参加できない時もあります。それでも、毎年自分の町内の山車は気になりますし、最優秀に選ばれればとても嬉しいです。別の土地に住みながらも、そんな思いになる新庄人は、とても多いのではないでしょうか。ー新庄まつりが今年、ユネスコ無形文化遺産に登録される見込みですが、先生方はいかが思われますか。阿部先生 とても素晴らしいことだと思います。260年間、私たちのご先祖様たちが代々受け継いできた文化が、世界的な評価を得るわけで、過去・現在・未来の新庄人にとって、とても光栄なことではないでしょうか。岡田先生 私も、子どもの頃、家のすぐ側に山車小屋がありました。幼心にうちの町内の進み具合はどうなのかと、他の町内の小屋を自転車で偵察に回ったことがあります(笑)。直接関わっていなくても、それだけ「自分のこと」になっていたんだと思います。それが、ユネスコに登録されるということは、市外に住む私雪国に育まれた『文化』  世界へ、そして未来へ。雪国に育まれた『文化』  世界へ、そして未来へ。

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