2017koho5
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――課題を解決するにはどうするべきですか? 医師の確保は最優先で、高等教育機関があるのが一つの理想ですね。山形市の南側も医学部ができたことで発展しました。高等教育機関があると、若者が集まる街に発展し、結果若い医師が来やすい環境ができ、医師の確保がしやすくなると思います。 したがって、看護師養成学校で、医療従事者を育てるのも有用な手段の一つだと思います。 しかし、先ほど言ったとおり課題はまちづくりにまで及んでいるので、すぐに解決することは難しいでしょう。ただ、すぐにでも取り組むことができる間接的な解決策ならあると思います。――すぐにできる課題解決とは? 医師不足は、医療を受けたい需要に対して医師という供給が追いついていないことが原因です。簡単にいってしまうと、医師の負担が大きく、パンクしてしまっている状態です。医師の負担を減らすには、医療を受けたい需要を減らす、つまり健康な人を増やすことが求められています。 一人一人が健康状態の維持に取り組むために健診を受けて健康状態を管理することや、禁煙に取り組むことが必要です。 新庄市の喫煙率は非常に高いので、喫煙者本人はもちろん、喫煙者の周辺の人にも健康に害を及ぼしています。喫煙は確実に病気を引き起こすので、喫煙をやめることは最も効果的な健康づくりだと思います。 それから、病気を予防するために、ワクチンを接種することも大切だと思います。一人一人がはしかやインフルエンザなどの感染症への危機感を持ってほしいです。新庄は麻疹ワクチン接種率が100%になっていないので、行政に音頭をとってもらって、100%を目指してもらいたいです。 また、必要なときにいつでも医療を受けられる「フリーアクセス」は地域医療において非常に大事なことです。しかし、近年では緊急性のない軽症患者による「コンビニ受診」が原因で、医師の負担が増えているという現状があります。これは、緊急性を要するか判断するのが難しい部分もあるので、なかなか抑制できないのですが、「山形県救急電話相談」などを活用して、今すぐ受診する必要があるかを判断してもらえればと思っています。――地域医療には一人一人の意識も大事なのですね そうですね。それから、医療体制を効率化することでも、医師の負担を減らし、医師不足を間接的に解決することができると私は考えます。例えば、県立新庄病院の中に、今の夜間休日診療所の機能がある区画ができれば実現できると思います。 レントゲンなどの医療器具が使えますし、簡易な診断のあと、適切な専門医にそのまま案内することができます。医師の負担が減るだけでなく、患者の負担も減り、より安心した医療が受けられるようになると思います。県立新庄病院の移設に伴って、ぜひ実現してほしいと考えています。――県立新庄病院の移設は医師不足の解決に寄与するわけですね 検討段階なので、そういった余地はあると思います。少ない医師で地域医療を担っていくには、夜間休日診療区画は有効だと思います。ただ、医師不足の根本的な解決に至るわけではないので、交通を含めたまちづくりの課題を解決し、医師の確保を進めていくことははずせないと思います。特定健診受診率.H27受診率36.7%ワクチン接種率(MR麻疹、風疹接種率.H27)接種率96.8%喫煙率(小さな子どものいる家庭の喫煙率.H27)喫煙率54.5%県立新庄病院県立新庄病院移設予定地(旧富士通ゼネラル跡)55 地域医療を考える特集

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