2017koho07
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日新小学校の取り組み 日新小学校では、「総合的な学習の時間」で地域の偉人を学習しています。この総合的な学習の時間は、平成12年から全国の小学校・中学校・高等学校などで段階的に始まったもので、教科の枠を超えて、子ども自らが考え、課題を解決する能力を育てることを目的としています。 市内各校でも、それぞれが独自に地域性や特色を生かした学習内容を設定しています。 ここ日新小学校では、3年前から、同校出身の偉人でもある松田甚次郎などを5年生時の総合的な学習の時間で学んでいます。そこで、伊東守校長に、どのような狙いがあって、甚次郎を学ぶ時間を設けているのか、お話しを伺いました。地域を学び地域を愛する心を 「偉人ありきでこの学習をさせたいと思ったわけではないのです。私は3年前に本校に赴任したのですが、校長室にある本棚で見つけた『土に叫ぶ』を読んで、甚次郎の地に足をつけた生き方にとても感動しました。難しい本ですが、子どもなりに考え、そして調べ、みんなで持ち寄ることで、地域に生きた人間を知ることができると思ったのです。」 日新小学校と日新中学校では、小中一貫の教育目標として「志を持ち 自らを律し 努力する児童・生徒の育成」を掲げています。その志を育てるために、小学校時代は地域を学ぶ学習を、中学校では地域に愛着を持てる学習を進めています。 実際に、甚次郎について学習した児童の代表として、柿崎君、田宮君、田口さんがこう答えてくれました。 「こんな凄い人が日新の先輩だったことがとても嬉しかった。もうすぐ国語の授業で宮沢賢治について習うので、甚次郎の学習で学んだことと合わせて勉強したい。9月には、修学旅行で岩手県花巻市に行くので、賢治のことを知れるのも楽しみ。」つなげる学習 小学校6年生の国語の教科書で、宮沢賢治が登場します。5年生で甚次郎を学んだ子どもたちは、その後、宮沢賢治を学び、賢治に関する「調べ学習」を行ってから、修学旅行で賢治の生まれ故郷、花巻市を訪れるのです。 この取り組みも甚次郎などの学習を始めた3年前から行っており、さまざまな教科を横断しながら、児童たちのより深い理解と興味につながっています。地域と繋がる教育を この甚次郎の学習は、前頁の最上の会などから講師を招き、地域の人と共に進めています。また、平成12年の土舞台での劇や、甚次郎を題材とした演劇の舞台にも子どもたちが参加しています。 地域と繋がり、輪を広げていくことで、子どもたちの興味を広げ、より深い学習につながっていくと伊東校長は語ります。人のこころに種を撒く 最後に、この取り組みを通して感じたことと、甚次郎が成してきたことを教育の目線から見てどう感じるか、お聞きしました。 「大人から与えられた価値観ではなく、児童一人ひとりの目線で見ていくことがとても重要だと感じています。今回の甚次郎の取組では、『賢治を有名にした人』という視点や、『ベストセラー作家』、『裕福なのに貧乏なひとのために頑張った人』など、多くの感想が出ています。そういったものを出し合うことで、自分なりの理解につながるのだと思いました。 そして甚次郎は、言葉だけの先導者ではなく、自ら内に入って、自らの行動で仲間を増やしていったのだと思います。 人のこころに『志』という名の種を撒くことが出来た人なのでしょう。教育もつまるところ、そういうことなのだと感じています。」ここに咲いた花 しんじょうの種と松田甚次郎2013(平成25年)2010(平成22年)●●甚次郎没後70周年記念展開催97▲修学旅行で訪れた宮沢賢治記念館▲甚次郎を題材とした演劇への参加総合的な学習で甚次郎と賢治を学ぶ様子土舞台で甚次郎の生涯を描いた朗読劇を開催

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