2017koho08
14/20

地域医療の今を語る   〜地域医療における調剤薬局〜 今回は、薬剤の処方や健康に関するアドバイスや啓発活動を行い、地域医療を支えている新庄最上薬剤師会会長の星利佳氏にお話を伺いました。医療を受けるうえで、薬剤はかかせないものとなっています。薬剤師だけでなく、認知症ケア専門師や介護支援専門員などの資格を持つ方の目線で地域医療の現状を語ってもらいます。おくすり手帳のすすめ おくすり手帳は健康を守る大切な記録です。病院ごと、薬局ごとに1冊ずつ作るのではなく1人1冊にまとめて持ちましょう。薬を服用した時の体調変化などを記入してメモとしても活用してください。THIRDOPINION――地域医療の現状は? 昔は、ちょっとした症状であれば、薬局で薬を購入して治すという傾向がありました。現在は薬の処方と調剤を分けて、それぞれの専門家が行う医薬分業がすすんだことで事務が効率化され、診療に来た人の待ち時間は軽減しました。しかし、医薬分業により薬局は処方箋を持って行く場所というイメージが定着してしまっています。薬をもらうにも、まずは医師に診てもらおうという傾向が強まっています。これが医師の負担を増やしてしまっている要因の一つなのではないかと思います。――医師の処方箋がなくても薬局に行っていいのですか? 薬局は、薬に限らず健康相談ができる場所なので、医師の処方箋がなくても立ち寄っていただきたいです。むしろ、「まず受診」ではなく、薬局に気軽に相談してほしいと思います。簡単な症状であれば適切な薬を選択できますし、症状によっては病院を紹介することもできます。薬剤師がセルフメディケーション(自身で健康を管理する)をおすすめすることで、医師の負担を減らし、医師不足の解決に寄与できます。また、医師の負担を減らすことで、本当に医師の診断を必要とする方に力を注いでもらうことができます。――薬剤師の役割は? 薬剤師は医師ではないので、診察や治療はできません。しかし、予防するための情報提供や服薬支援(薬を忘れずに、指示通りに服薬できるようにお手伝いすること)はできます。相談を受けて、症状や体質などを聞いて、適した薬の提案をすることもできます。 具合が悪いけど病院にかかるほどではないと思うときは、症状が重くなる前に、一度薬局に足を運んでもらえればと思います。 また、住み慣れた環境で医療を受ける在宅医療という選択肢があります。在宅医療では訪問診療の医師らと共に薬剤師も訪問しています。その際にも、相談していただければと思います。――地域医療の理想は? 地域医療に限った話ではないですが、薬を必要としないぐらいみんなが健康であることが一番だと思います。「くすり」は逆から読むと「リスク」となるように、薬には何かしら副作用があります。副作用を早期に発見し、減量や中止の提案ができるのも薬剤師です。薬を飲んで体調変化があれば些細なことでも薬剤師に相談してほしいです。 薬剤師は健康のアドバイザーであり、薬局は、健康のことで悩んだら、一番最初に相談に行ける身近な場所であるべきだと思っています。 体調が良くないときは改善するために、健康な状態のときはそれを維持するために、気軽に薬局へ相談にお立ち寄りください。新庄最上薬剤師会会長プライマリ・ケア認定薬剤師認知症ケア専門師介護支援専門員星 利佳 氏14

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 14

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です