2017koho12
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小野 正一氏 村山槐多は詩人にして夭ようせつ折した天才的な画家であり、一時東京・田端にある新庄出身である笹秀松の家に寄食していた。笹は戊辰戦争時の新庄藩の軍師、笹新右衛門の息子であった。佐々木央てる著の『炎の白面にためらふ如く』によれば、東京帝大法科を首席で卒業するほどの秀才であったが、その頃は槐多からみれば世の中を「のらりくらり」と暮らしていたという。また、多才な彼は新庄の郷土誌『葛麓』の熱心な投稿者であり、著書は後に文集『葛麓の華』として出版された。 槐多と遠縁にあたる妻の操みさおは庄内藩士門かどやま山家の出であり、女優黒柳徹子の母朝ちょうは従いとこ妹である。才色兼備の女性であったらしく、槐多の代表作である「湖水と女」のモデルとなった。なお、秀松をモデルにした素描「のらくら者」も同時に夫妻に贈られたという。『葛麓』によれば「湖水と女」はしばらく笹宅の座敷に飾られていたようであった。 笹操は夫の死後その生家である新庄(当時は稲舟村)の福田に移り住み、ここで一生を終えた。笹家を継いだのが市会議員を務めた故笹信雄氏であった。氏はテレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の出張鑑定収録が、ふるさと歴史センターであった時に出演し、出品した村山槐多筆の「片貝風景」が真しんさく作との鑑定を得た。右 炎の白面にためらふ如くー村山槐多大正六年作  『湖水と女』ノオトー/佐々木 央 著左 葛麓の華/編集兼発行人 常葉 金太郎※いずれも市立図書館蔵書ちょっと深いしんじょうの歴史ちょっとした話題とその出典を毎月紹介!今月の新着図書館でゆったりすごしてみませんか?ゆったり、のんびり。読書の時間放浪の画家村山槐かいた多と笹夫妻図書館に行こう!郷土本九紋龍(羽州ぼろ鳶組3)  今村 翔吾ダムによらない治水は可能だ−天然アユの宝庫・最上小国川を守れ!−  最上小国川の清流を守る会編一般図書鳥獣戯画 磯崎 憲一郎さくら、うるわし(左近の桜3) 長野 まゆみ月夜の散歩 角田 光代とても良い人生のために−失敗の思いがけない恩恵と想像力の大切さ−  JKローリングサイレントマザー −貧困のなかで沈黙する母親と子ども虐待−    石川 瞭子DIYで火の暮らしを楽しむ 地球丸刀装具−“超絶技巧”の源流− 内藤 直子夏井いつきの「雪」の歳時記 夏井 いつき児童書レモンちゃんさとう めぐみじょやのかね とうごう なりさきーくんひとりでわたれるよ 太田 ちみいろのかけらのしま イ ミョンエママはしらないの?ふくだ いわお貨物船のはなし 柳原 良平カレーライスを一から作る 前田 亜紀数え方のえほん 高野 紀子今月のお知らせ【図書館駐車場の一時的閉鎖についてお知らせ】 雪の状況により、駐車場を一時的に閉鎖する場合があります。閉鎖中は歴史センター駐車場をご利用ください。たいへんご迷惑をおかけしますがご理解ご協力をよろしくお願いします。ライブラリー・シアター■とき 12月24日(日)9時30分~11時■ところ 図書館■内容 「フランダースの犬」(世界名作劇場より)年末年始休館について12月29日(金)~平成30年1月3日(水)※休館中の本の返却はブックポストをご利用ください。▲左:妻 操、右:村山槐多(出典:「芸術新潮」1997年3月号、46頁、新潮社)16

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