2018koho01
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――訪問看護の現状は? 私が看護師として新庄市に帰って来たときよりかなり良くなりました。年を経るたびに医師と訪問看護の連携が強まっていることと、ケアマネージャーの理解を得られていることで、訪問看護がスムーズに行えるようになったため、そう感じるのだと思います。訪問看護を受ける人の負担も減り、訪問看護において適切な対応をスムーズにとることができています。 訪問看護は看護師が自宅に訪問して看護サービスを提供します。生活介護サービスを主とするヘルパーに対し、介護などの内容で看護師をよぶことに抵抗を覚える人が少なからずいるみたいです。。――看護師は『治療』というイメージが強いからでしょうか? それはあると思います。たしかに看護師は医療従事者として、『治療』に携わる機会は多いです。治療を行う病院に対して、在宅医療で最も重要になるのは病気の「予防・予測」だと私は思っています。 病気になってからの対応ではなく、病気になる前から体調を見ながら対応していくのが理想です。それができるのが訪問看護だと思います。――訪問看護は具体的にどのようなことを行うのですか? 専門スタッフ(保健師、看護師、理学療法士、作業療法士など)が自宅を訪問し、療養生活を支えます。入浴介助・洗髪・食事や排泄の手助けなどの介護、筋力低下予防・機能訓練・福祉用具選択や住環境の整備のアドバイスなどのリハビリに関すること、点滴・注射・呼吸器管理・腹膜透析管理などの医療処置を行います。 亡くなる方の看取り支援にも対応しており、最期を自宅で迎えたいと考えている人々、ご家族への看取り支援を行います。――訪問看護の理想をどのように考えていますか? 病院医師・看護師が訪問看護だけでなく在宅医療についてさらに理解を深め、病院と在宅医療の連携を強化していくことが地域住民の安心感ある生活につながっていくのだと思います。 在宅医療に携わる医師・看護師不足も大きな課題となっているため、医師・看護師不足の解消が不可欠で、将来を担う若い人材が必要です。 また、医療関係者の間で同意を得た患者さんの診療情報を共有できる医療情報ネットワーク「もがみネット」が広がることを望んでいます。患者さんがどんな薬を飲み、どんな治療を受けているのかを正確に把握し、より適切な訪問看護ができるようになります。 訪問看護は自宅で最期まで暮らせるように療養生活を支援します。また、看護師が訪問することで、本人でも気付かない病気の予兆を見つけるなど、病気の予防につながることもあります。最期まで自宅で過ごすという意味でも、健康を保つという意味でも、訪問看護は自分らしく生きることに寄与できるものです。もう少し身近な手段であることを多くの人に知ってもらえたらと思います。地域医療の今を語る   〜地域医療における訪問看護〜 今回は、訪問看護ステーション新庄で所長を務める柿﨑由美子氏にお話を伺いました。看護師になってからは東京で看護の仕事に従事していましたが、平成7年に新庄市へ戻ってきました。平成13年に所長に就任し、訪問看護という形で地域の医療に携わっています。訪問看護とは? 24時間365日安心を支える訪問看護サービスです。看護師や理学療法士などが自宅を訪問して、主治医の指示や連携により看護(療養上の世話または必要な医療の補助)を行います。 病気や障がいがあっても、医療機器を使用しながらでも、自宅で最期まで暮らせるように多くのスタッフと協力しながら療養生活を支援します。FIFTHOPINION訪問看護ステーション新庄所長 柿﨑由美子 氏▲訪問先で血圧を測る看護師の様子14

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