2018koho11
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事業所のこと・最近印象に残った出来事齋藤 くれよんはうすは、自閉症の子の遊び場を作りたいという思いから始まりました。障がいのある子の活動の場はとても狭く、帰宅してカバンを置いて、その辺に遊びに行くことなどができません。そんな子どもたちの遊び場を自分たちで作るのはすごいことだと思い、私も関わるようになりました。前職で統合保育に取り組み、障がいのある子もない子も一緒にいることや活動の場を広げることは当然だと思っていましたが、開所した平成14年頃の感覚は今と全く違いました。放課後迎えに行くと「重い障がいがあるのになぜ連れて行くの? 私は頑張って育児をしているのにこの子の親は何してるの?」という他の親の冷たい視線を感じたのです。その後制度が変わるにつれて預ける人は増え、子に障がいがあってもなくても、働くために子を預けるのは当たり前の社会にようやくなってきた印象があります。しかし、先日同じような活動を考えている団体から、こうした意見がまだあると聞き、預けることへの罪悪感がまだ根強くあるのだと感じました。鈴木 先日、障がい児への親による虐待対応に関わりました。この親は泣きながら「思い通りに育ってくれない、どうしたらいいだろう」と話していましたが、私は慰めることしかできず、勉強不足だと感じました。この件は関係機関が連携して解決しましたが、いろいろな機関の力を集結する重要性も感じた出来事でした。また、齋藤さんの話と関係しますが、親は自分の子を普通と違うのだと感じつつも、自分の努力不足が原因だと捉えている節があったのも印象に残っています。発達障がいだけではなく、きちんと検査をしないと有無がわからない病気、また、専門家の指導があって初めて分かる対処法があります。上山や鶴岡にある専門機関は遠いし、診察まで半年待ちも普通です。すぐに見てくれる病院が新庄にもほしいと思っています。齋藤 親がどう育てたらいいか分からないがゆえに虐待が起こるというか、例えば知的障がいの子は声をかけるとすぐ反応してくれますが、発達障がいの子は呼んでも振り向かない、我が道を行くなど、育てにくさを感じてしまうのだと思います。それでついつい怒鳴ってしまい、エスカレートして虐待につながるのではないでしょうか。どの子どもも「育つ力」を持っています。その力を信じて引き出していく、それが私たちに与えられた使命だと思っています。子どもの成長はとても長い階段のステップを数ミリ単位で登ってゆくようなものです。見落とさずに成長を喜び合いたいと思います。病院の話がありましたが、検討が進められている県立新庄病院の中に、障がい児に関する機能が盛り込まれると助かりますよね。岸 先日受けた相談事例ですが、ある発達障がいと診断された4歳になる子がいて、その子にお片づけをするように「くるま片づけてね」と言ったところ「はNPO法人 くれよんはうす代表 齊藤 千恵子さん 預けることへの罪悪感。 でも早いうちから関係機関と     繋がった方が…。~障がい児支援現場で活躍する三者による 座談会~私たちにできること。私たちがすべきこと。「さくら」佐藤梓さん(24才)「僕の新幹線」村山太斗くん(18才)「ハロウィン」甲州正樹くん(13才)合作「秋のくだもの」田口里奈さん(17才)堀米悠斗さん(17才)障がい児童を支援する現場の中で、障がいを持つさまざまなお子さんやその親と関わり、多くの経験を経てきた3名の方々に、そこで感じたことを語り合っていただきました。障がいそのものや周囲からの偏見などに悩む人々だけではなく、そうではない人々にも聞いてほしい生の声をお聞きください。12

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