2018koho11
13/24

い、わかりました。お片づけします!」と好きなキャラクターの真似をして、兵隊のように答えたそうです。これは、もちろんそのような受け答えを母親が強いているわけではなく、ことばの使い方を誤解しやすいという発達障がいの特性によるものだと考えられるのですが、それを聞いていた親戚から「まだこんなに小さいのに、そんなに厳しい受け答えをさせているの!?だからいろいろな大変なことをしてしまうんだな!」と責められたそうです。こうした経験が頻繁にあって悩んでいるという相談でした。これは、発達障がいや直面する親の悩みに対する周囲の知識や理解が不足していることが原因だと思います。例えば、スーパーで子どもが大声で泣いて親が困っていることがあります。発達障がいの子は、自分の中で先の見通しが立たないと、他の人より一層不安になるという特性があります。このことを知っていれば「ああ、今見通しが立たなくて不安なんだな」と思えるようになります。本当は親に一声かけてあげられれば良いのですが、そこまではなかなかできません。まずは知ること、そこから理解が深まっていくのだと感じています。齋藤 最近は支援が必要とされる子が増えています。小学校に見学に行ったときに、教室に「タイムタイマー」があり、時間の長さが目で見て理解しやすい工夫がされていて嬉しくなりました。誰にでも理解しやすいと思います。岸 社会のユニバーサルデザインですよね。例え数人にだけ必要な工夫だったとしても、結果として他の子たちも生活しやすくなります。すべての子どもの学習や生活がうまくいくよう、さまざまな工夫が始められています。何かしらの工夫で、上手くいかなかったことが上手くいくようになることはたくさんあります。障がいや発達障がいのことを「成長の凸でこぼこ凹が大きい」とか「個性」などと捉える方がしっくりくるという人も増えてきています。冒頭「統合保育」という言葉がありましたが、齊藤先生の体験などを聞かせていただけますか?齋藤 例えばそうですね…。歩けなければ移動のための支援はしますが、あくまでも他の子と一緒に仲間として育てています。あるとき、全盲で移動は全介助だった子が突然歩き出すという経験をしました。スタッフも他の子たちも、その子は歩けないという認識でしたが、七夕の準備で大きな笹を持ちこんだときの「さらさら」という音に反応して歩き出しました。音につられて動き出したことに周囲の子どもたちと職員が大喜びしました。 小さいうちに、障がいのある子もない子も一緒に過ごすことが重要だと思います。今、保育園などに発達障がいの子がいた場合、先生を多く配置できる制度があります。これはこれで良いのですが、その子だけを支援することは、ある意味隔離を促すことになりはしないかと不安です。先生が壁になって、他の子の迷惑にならないようにするとか。「※インクルージョン」の実現には、共に育つことがとても大事です。 また、医療的ケアが必要な児童が利用できる事業所が十分にないという課題がよく取り上げられます。多くの報道で胃ろうやたん吸引の必要性がクローズアップされますが、医療的ケアに加えて多動傾向がある場合には、動けるようになることでそれまでとは違う株式会社ライジングサポート児童デイサービスアニマートしんじょう管理者 鈴木 礼子 さんNPO法人 ウイングキッズサポートことばのつばさ代表 岸 総一郎 さん 検査して初めてわかる病気や、  専門家の指導があって   初めてわかる対処法がある。 発達障がいや、直面する  親の悩みに対する   周囲の理解がもっと必要。特集みんなにやさしいまちへ。 〜“障がい”を知る〜※子どもたちが区別なく共に学ぶ機会をつくっていくこと1311

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 13

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です