2019koho01
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No.1080年間蓄え続けた技術の結晶繊細かつ優美な木工製品ものづくりの街しんじょう齋藤久弥工芸齋藤久弥工芸きゅうやどうせ作るなら良いものを 木工用のろくろを使って、一塊の木材をさまざまな形に削り出していく木地職人。齋藤氏は16歳からその道に進み、80年以上にわたり技術を磨いてきました。 最初の頃は茶托(茶碗の下に敷く受皿)を一定の品質で一日に80枚作れるようになるまで毎日作り続けたそうです。それができるようになると、薄い盆・茶盆・茶ちゃびつ櫃(煎茶道具などを入れておく蓋付きの容器)と段々難しい仕事をまかされるようになったとのこと。 齋藤氏の代表作とも言える「かぶせ」の茶筒は、職人として一人前に仕事をまかされるようになった後に、依頼を受けてその原型が生み出されました。 「かぶせ」の材料として使われる落葉樹「槐(エンジュ)」は、縁起が良いとされる高級銘木です。木は同じ種類でも育った場所や環境で質や木目が変わるため、目利きにはかなり神経を使います。 春に買った木の皮をむいて、1年ほど乾燥させます。大まかな形に切り、内側を削って中を抜き、再度乾燥させたのち、削って文字を見やすくしましたモリサワユニバーサルフォントを使用しています。木工ろくろを前に、凄まじいまでの集中力と、年齢を感じさせない豪快かつ流麗な手さばきを見せる齋藤久弥氏。形を整え仕上げます。さらに、ガーゼにクルミを細かくしたものを入れ、ツヤが出るまで磨き上げて完成です。槐は漆うるしなどを使わずに光沢のあるツヤが出る唯一の木だと齋藤氏は話します。 良い木材が減り、もうじき97歳になるということもあり、今ではほとんど作業をしていないとのことでした。それでも依頼があれば、自宅に併設された作業場に立っているそうです。「どうせ作るなら良いものを作りたいし、手も抜きたくない」と、緩むことのない職人魂を見せてくれました。齋藤久弥工芸齋藤久弥 氏▲齋藤久弥氏が生み出した「かぶせ」の茶筒平成31年1月10日号(No.733) ■編集・発行/新庄市 総合政策課 〒996–8501 新庄市沖の町10–37 TEL.0233–22–2116 ■制作・印刷/共栄印刷株式会社 13,800部発行41

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