2019koho02
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No.11新庄の技術とフランスデザインの融合人の交流と文化の出会いが生み出した奇跡ものづくりの街しんじょうペリアンの寝椅子ペリアンの寝椅子ペリアンと新庄が生んだ作品 フランスの「シャルロット・ペリアン」は、ル・コルビュジエの片腕として活躍した世界的に有名なデザイナーです。彼女が新庄を初めて訪れたのは、日本の商工省貿易局から輸出品の開発を依頼され、日本各地を視察した昭和15年のこと。新庄産の民芸品を見たペリアンは、その高い技術と芸術性に感心し、開発作品の形と寸法・用途を新庄の農家にスケッチなどの形で伝え、日本を離れます。 ペリアンの残したスケッチには細かい設計の記載はなく、想像と創造の余地がありました。ペリアンと国からの期待に応えようと、当時の制作者たちは頭を悩ませたことでしょう。そうして試行錯誤の果てに、ペリアンのデザインと新庄の技術・芸術性が見事に融合した「ペリアンの文字を見やすくしましたモリサワユニバーサルフォントを使用しています。 蒲かばざくら桜の木で組まれた折りたたみ式寝台と、コアマモ(小海藻)を詰めてワングル(繊維植物)で編まれた三つのクッション。白と黒の矢羽根のデザインは新庄の当時の制作者が独自に加えたもので、クッションは継ぎ目が全くわからないほどの高い技術で編まれています。寝椅子」が完成します。作品は高い評価を受け、国やペリアンから称賛されました。 しかし、この優れた作品の作り手はおろか、作り方さえも残されていなかったのです。そこで復刻に乗り出したのが、平成27年に設立された「communeAOMUSHI」です。現物を採寸することで、寝台部分の素材や構造を把握し、クッション部分は文献やX線調査により素材を特定しました。ただし、クッションの素材である内部のコアマモと外側のワングルは絶滅危惧種に指定されているため、コアマモをワラ、ワングルをガマにするなど気候風土や文化を考慮して最も近しい素材を代用して再現。 国を超えた人の繋がりで生まれた作品が、80年近い時を超えて多くの人の尽力によって復刻されようとしています。現存する「ペリアンの寝椅子」山形県立博物館所蔵折りたたみ式寝台制作者communeAOMUSHI副代表 樋口修 氏クッション制作者communeAOMUSHI会員 成瀬正憲 氏▲昭和15年に新庄を訪れたシャルロット・ペリアン(1903〜99年)Charlott Perriandet平成31年2月12日号(No.734) ■編集・発行/新庄市 総合政策課 〒996–8501 新庄市沖の町10–37 TEL.0233–22–2116 ■制作・印刷/共栄印刷株式会社 13,800部発行42

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