2019koho08
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※1 SNS=個人または団体がインターネット上で情報発信を行い、相互交流できるものの総称※2 Instagram=インターネット上で写真を共有することのできるアプリケーションが進む中で、差別化が必要だと思います。でないと、作業の効率化に負け続けて、伝統がいずれ途絶えてしまいます。「伝統=昔からあるもの」ですが、時代の流れとともに伝統工芸の在り方や、求められていることも変化してきたと思うので「伝統=変化しないもの」ではないと思います。涌井:確かに同じ東山焼でも、各代の職人によって、作っていたものは違います。東山の土を使うことは変わらないのですが、作品の用途や形、それを作るための道具なんかも変化してきました。阿部:道具なんかは今では手に入らないものもあるので、自分でメンテナンスしたり、ときには自作する必要もありますよね。涌井:自分の手に馴染むように調整しないと、良い物が作れないですから。機械部分がある道具なんかは自分たちで分解して、点検・清掃などをしてから、再度組み立てたりします。阿部:作るための技術以上に、周囲の道具への理解が大事だったりするんですよね。―――伝統と変化は相反する言葉のように感じるのですが、どのように向き合っていますか?阿部:ファッションに流行り廃りがあるように、いずれ着物になる織物にも流行があります。織るときの色や柄をどうするのか、今の人たちの感覚にあわせて考えています。やはり、欲しいと思ってもらえるものを作りたいですから。涌井:特に今の時代はS※1NS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)があるので、色々な人の意見が盛んに交換されていて、流行の変化が激しいです。私もI※2nstagramなどを使って、海外の先進的な感性を取り入れて自分の作品に反映したり、人の考えや感性の変化を敏感に感じ取れるように気をつけています。―――周囲の変化にあわせて伝統も変わる必要があるということでしたが、自身が始めた新たな取組などはありますか?涌井:私は陶器でアクアリウムが作れたら面白いなあと思って、ガラス屋の方に協力してもらって、陶器製水槽を開発しました。熱に決して強くないガラスと焼き物である陶器を水槽として成立させるのには苦労しました。阿部:亀綾織は着物になる前の反物を作っていたので、一般の人に知ってもらえる機会が多くありませんでした。そこで、切れ端などを使ったつまみ細工やネクタイなどの小物制作を始めたところ、お土産などとして喜ばれるようになって、人の目にふれる機会が増えました。色も組み合わせなどを変えて、多彩な色合いになるように工夫平成30年12月に改装したエコロジーガーデン「まゆの郷」2階休憩スペースにて撮影人の手でしか創れないもの・・・人の想いを形にするものづくりを…10

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