平成28年度の市政運営に臨むにあたり、私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1.はじめに
中東シリアの内戦の長期化は、ヨーロッパへの大量難民の発生やテロの世界的拡散という形で現れ、安寧な市民生活が不安にさらされる状況となっています。中東国間での武力紛争が勃発するなど中東情勢は一層不安定化しつつあります。一方、核開発を推進しているとされる北朝鮮の弾道ミサイルの発射は、周辺諸国のみならず、相互依存関係が深まっている国際社会において、不安定要因となるものです。
世界経済については、中国の景気減速による各国経済への影響が現れてきています。昨年末、米国は国内の景気回復により、およそ10年間続けてきた金融政策を転換し、政策金利の引き上げを実施しました。これまで、新興国などに流れていた資金の米国への還流によって生じる世界経済への影響が懸念されています。また、原油価格が大幅に下落し、中東やロシアなどの産油国経済に影響が出始めています。
国内では、日本銀行による物価安定化を図るための質的・量的緩和策に加えて、マイナス金利が導入され、一層の金融緩和策が取られています。年初からの株価の不安定化や急速な円高が進行しておりますが、内閣府が公表した月例経済報告では、雇用情勢の改善や企業収益の改善などから、国内経済は一部に弱さが見られるものの緩やかな回復基調が続いていると判断しています。
地域の状況に目を向けますと、雇用情勢については、雇用環境の改善により正社員の求人が伸びてきています。また、平成28年3月卒の最上地域新規高校卒業予定者の就職内定率は、1月末現在で96.0%と高い内定率となっております。
新庄中核工業団地では、昨年3社と譲渡契約を締結し、なかでも協和木材株式会社が大型集成材工場を11月に操業予定です。そのほか、空き工場を取得し業務を拡大する企業や新たな投資を計画する企業もあり、今後、働く場の創出に大きく寄与するものと期待されます。
最上地域の経済力の強化のために、誘致企業の定着、地場産業等の競争力強化に求められるものは、地元人材の育成を強化することであると考えます。最近、雇用環境が安定化してきたことから、働く一人ひとりの人材育成へと対策を転換していく必要があります。
一方、この地域に関わりの深い農産物を含めたTPP交渉は、参加国の大筋合意をみました。合意内容は、農産物に限らず、工業品や、投資、知的財産、労働など幅広い分野に及ぶもので、今後、各国議会の手続が必要とされていますが、発効まではおよそ2年と言われています。国では、TPP対策として補正予算を編成し、農業分野での様々な施策が実施されることになっております。これらの予算等を活用しながら農業基盤の強化を図る必要があります。
地域振興の基盤となる高速道路の整備については、「新庄金山道路」の事業着手や「新庄古口道路」の一部供用など整備が進捗しています。
地域高規格道路「石巻新庄道路」に関しては、先般、山形宮城両県選出の国会議員と県議、沿線の市町村長、議員、商工団体による初めての懇談会を開催し、事業化へ向けて結束して取り組むことを確認しました。今後も高速道路ネットワークの未整備区間解消への運動を強化する必要があります。
また、県内で先駆的に取り組んできたインバウンド事業は、台湾人観光客の本市への誘客や、市内高校生が台湾への修学旅行で本市を紹介するなど徐々に成果を上げつつあります。国による外国人観光客受け入れ環境の整備により、外国人観光客が大幅に増加しており、引き続き本市への受け入れの取り組み強化を図って行かなければなりません。
国勢調査の速報値によれば、県内で人口が増加したのは2市に留まり、他の市町村においては人口減少が進んでおります。本市でも前回調査に比べて1,900人以上の減少、最上地域全体では、6,400人を超える減少となっております。人口減少を抑制する取り組みの強化と、人口減少に対応したまちづくりが求められます。また、最上地域での本市の果たす役割も大きくなっております。
本市では、昨年、「まち・ひと・しごと創生法」に基づく、地方版総合戦略となる「新庄市総合戦略」を策定しました。この戦略は、市が人口減少対策として取り組む施策について、積極的に人口減少を抑制するための「ふるさと定住促進プラン」と新庄で元気に暮らし続けるための「幸せと元気のまちづくり推進プラン」からなっております。新年度は、この戦略による本格的な施策実施の年にあたりますので、国の財源も活用しながら取り組んでまいります。
特に、若者の地元定着の実現と高齢化の一層の進行による医療福祉分野の人材確保については、最上地域への看護師養成機関設置に向けて、県、最上7町村と連携しながら強力に推進してまいります。
また、昨年6月、本市は最上7町村と定住自立圏の形成に関する協定を締結いたしました。定住自立圏構想は、近隣自治体と連携を図りながら、圏域住民に必要な都市機能と生活機能を確保し、魅力あふれ、安心して暮らせる地域を構築する制度であります。近隣の町村と連携した取り組みを、新年度より、「生活機能の強化」、「結びつきやネットワークの強化」、「圏域マネジメント能力の強化」の3つの分野で実施してまいります。さらに、連携事業の拡大を図るため、近隣町村とその可能性について、継続協議してまいります。
以上、本市を取り巻く情勢を踏まえ、地域の活力を支える土台となる産業を振興し、雇用創出と所得向上につなげ、暮らしと定住の基盤を強固なものにして行かなければなりません。各分野の施策の強化充実を図り、市民の皆様とともに、諸課題の解決に向け取り組んでまいります。
2.市政運営の基本的な考え方
先に述べた社会経済情勢を踏まえながら、平成28年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。
私は、これまで、「人行きかうまち」、「人ふれあうまち」、「人学びあえるまち」をまちづくりの基本理念として掲げてまいりました。それらは、まさに「地域基盤力」となるものであります。「経済力」、「地域力」、「教育力」を強化する施策を展開することにより、引き続き地域の魅力を最大限に引き出し、「笑顔あふれる元気なまち新庄」の実現を目指して取り組んでまいります。
「人行きかうまち」を実現するために、何よりも重要なことは、働く場の創出です。特に、若者にとって魅力ある働く場の創出が、人口減少の抑制につながります。市内企業や創業を目指す方への支援、企業誘致などによる産業振興に併せて、地域が求める人材を育成するため、看護師養成機関の設置に向けた事業に着手し、定住への基礎固めと市民所得の向上を図るため、地域「経済力」の強化に向けた取り組みをより充実いたします。
「人ふれあうまち」の実現には、この地域特有の課題である雪問題を克服して行かなければなりません。雪に強いまちづくりや災害を想定した地域の防災体制づくりを推進する必要があります。除排雪体制の強化、高齢者世帯の雪対策の充実を図るとともに、防災対策を強化するための「同報系防災行政無線」の整備を推進してまいります。
地域のつながり、コミュニティの充実は、まちの人口が増える要因の一つになっていると言われています。地域内における助け合い意識の醸成、人口減少・少子高齢化社会にあって地域コミュニティを活性化することにより、「地域力」を強化いたします。また、地域の悲願である県立新庄病院の改築に向け、県において本格的な動きが始まることから、本市としても全面的に協力してまいります。
「人学びあえるまち」の実現に向けては、県内初の義務教育学校となる「萩野学園」を小中一貫教育のモデル校として発信し、小中一貫教育のさらなる充実を図ります。
また、学校教育及び社会教育の環境整備を図るとともに、特に歴史、伝統文化、自然、産業など、地域の豊かな資源を活用したふるさと学習などを通して、郷土に誇りと愛着を持つ子どもを育ててまいります。併せてキャリア教育に関する事業を実施し、地域を支える人材の地元定着の促進を図ってまいります。
さらには、地域の産業や生活基盤を支える担い手を育成し、地域全体の「教育力」の向上につなげてまいります。
以上の3つの基本理念、いわゆる「地域基盤力」を土台として、本市が直面する諸課題の解決に向けた施策を講じ、市民の皆様とともに「笑顔あふれる元気なまち新庄」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
その達成に向けては、柔軟な発想と弾力的な手法、情報の有効活用と発信、本市が持つ潜在力を最大限に引き出しながら推進してまいります。
3.市政運営の指針
次に、市政運営の指針についてでありますが、新庄市民憲章に掲げている「先人の築きあげた伝統を重んじ、新庄市民であることに誇りをもち、愛する郷土を発展させる」ことを目指し、「新庄市まちづくり総合計画」と「行財政改革大綱」を基本に据え、市政運営にあたります。
はじめに、市政運営の基本指針となる第4次新庄市振興計画「新庄市まちづくり総合計画」ですが、「自然と共生 暮らしに活力 心豊かに笑顔輝くまち 新庄」を目指すべき将来像とし、基本目標に「産業の振興」、「健康と福祉の充実」、「教育の振興」、「社会生活基盤の整備」、「環境の保全」の5つの分野を掲げ、「企業や団体を含めた市民協働」と「近隣・近県市町村との連携」を取り入れながら推進いたします。雇用の場づくり、新しい産業の創造に関しては、あらゆる分野で取り組みます。
特に、「暮らし、定住、未来創造」に向けて、「雇用・交流の拡大」、「安全・安心の充実」、「子育て・人づくり」の3プロジェクトを重点プロジェクトに位置づけ、限られた経営資源を集中的に投下しながら推進してまいります。
次に、行財政改革でありますが、「第6次新庄市行財政改革大綱」に基づき、「地域課題の解決を図る体制づくり」、「行政経営の効率化」、「行政課題の解決を図る組織体制づくり」、「持続可能な財政運営」の4つを基本目標に定め、行政運営の効率化と市民サービスの向上に取り組んでまいります。
なかでも、「行政課題の解決を図る組織体制づくり」については、地域内外に対し、これまで以上に効果的な情報発信を行うためのしくみを整備し、市民が誇りや愛着を持てるような地域ブランドの確立を目指してまいります。
また、新たに策定した「新庄市人材育成推進後期プラン」により、「チャレンジする力」、「地域と共に考える力」の2つを目標に掲げ、職員のさらなる能力開発と人材育成を行ってまいります。
財政運営面においては、これまでの厳しい財政状況を克服するために、内部管理経費の削減や投資的経費の抑制などに取り組んでまいりました。その成果により、市財政状況の改善が図られてきていますが、市有施設の長寿命化対策や社会保障費の著しい伸びなど、新たな財政需要も多く生じており、財政の弾力性という面では、まだ課題を抱えていると言えます。新年度は、市有施設の今後のあり方について検討を行い、「公共施設等総合管理計画」を策定いたします。計画的に市有施設の維持管理に取り組むとともに、平成27年3月に策定しました「中期財政計画」に沿い、財源確保対策はもちろん、事務事業の選択と集中、業務の効率化を図りながら持続可能な財政運営に努めてまいります。
4.重要課題に対応した平成28年度主要事業
次に、まちづくり総合計画の3つの重点プロジェクトに沿って、平成28年度の主要事業の概要を申し上げます。前期5ヵ年の検証を踏まえ、新たな行政課題へ対応するため見直しを図ったまちづくり総合計画の「暮らし、定住、未来創造」の具現化に向け各種事業に取り組んでまいります。
はじめに、「雇用・交流拡大プロジェクト」ですが、地域の基盤づくりの最も重要な施策として雇用対策が挙げられます。まちづくり総合計画においても、全分野で取り組むことにしております。特に、本市では、企業誘致や市内企業への様々な企業振興策などを通じて雇用の創出を図ってまいりました。近年、新庄中核工業団地の分譲も順調に進んでおり、今後、本格操業により数十名の雇用創出が見込まれています。
人材確保に向けては、大学等の高等教育機関に在学している学生を対象に、職場体験、会社訪問、採用試験等に要する交通費の一部を助成する「UJIターン就職活動交通費助成事業」を実施し、若者のふるさとへの回帰を図ってまいります。
市内企業の経営力を強化する取り組みとしては、従来の金融対策や商談会等への出展補助に加えて、販路拡大や人材確保に向けた情報発信や新製品、技術開発に取り組む企業を支援する制度を新たに創設いたします。さらに、市内製造業の競争力強化のためアドバイザー派遣事業を継続実施いたします。
農業関連については、農業経営基盤の強化のため、集落等における農業の担い手を育成する「担い手総合支援対策事業」に継続して取り組むとともに、新規就農者向けの研修指導体制を充実させるための「(仮称)担い手育成センター」設立の準備を進めてまいります。また、農地や水資源の果たしている役割や機能を高める活動を行う地域共同体に対する支援としての「多面的機能支払事業」と生物多様性の保全、水質改善を図るための農業者で組織する団体を支援する「環境保全型農業直接支援対策事業」に継続して取り組み、農村環境の維持を図ってまいります。また、複合経営の推進として園芸作物の産出額のさらなる拡大と、園芸産地化を牽引する競争力の高い経営体を育成するため、「戦略的園芸産地拡大支援事業」を継続実施いたします。さらに、「畜産生産拡大支援事業」においては、現行制度に市が上乗せ補助を新設し、意欲ある担い手の生産基盤強化、規模拡大、生産性向上に向け支援してまいります。
6次産業化の推進については、あらゆる産業の連携体の力を結集し、取り組む者の育成と販売戦略等の支援を強化いたします。さらに、地域固有の農産物やその加工品をより消費者のニーズにマッチした商品として磨き上げ、「新庄ブランド」として認定し、その魅力を内外に発信してまいります。
中心市街地の活性化と地域の魅力づくりを図るため、これまで「商業地域空き店舗等出店支援事業費補助金」により支援してきておりますが、飲食店街等への一層の出店を促すため一部制度を拡大して、賑わいと魅力のある商店街形成を目指してまいります。さらに、市のイメージキャラクターであるかむてんを活用した「かむてんによるまちづくり事業」を推進いたします。
また、商店街振興については、「新庄味覚まつり」をはじめとする各種イベントなどを各商店街と連携をしながら取り組み、賑わいの創出を図ってまいります。
本年11月にユネスコ無形文化遺産登録が期待される「新庄まつりの山車行事」については、観光客との交流に力点を置き、観光客の祭りへの理解を深め、愛着を持っていただき、リピーターを増やすことによって、新庄まつり誘客100万人構想の実現に向けて取り組みます。また、東北で登録候補となっている祭りとの連携を図り、誘客に努めてまいります。併せて、祭りを保存・継承をして行くため、各若連への交付金を増額し支援いたします。
エコロジーガーデンについては、「キトキトマルシェ」など、様々な事業の実施により、市内外から来場者が増加し交流拡大の成果が年々上がってきております。国登録有形文化財としてのイメージをさらに高めるため、保存・活用計画を策定してまいります。
さらに、地域おこし協力隊の活動として、地域の商品やイベントなどの情報発信と起業や地域振興を志す人たちが交流できる機能を備えた「GOSALOn(ゴサロ)」の運営を継続してまいります。
まちづくり応援寄附金、いわゆる「ふるさと納税事業」については、寄附者が手軽に申し込めるしくみや効果的な情報発信、返礼品の多様化などにより、寄附額の向上を図るとともに、新庄市のファンを増やしてまいります。また、企業版ふるさと納税の導入に向け準備を進めてまいります。
次に、「安全・安心充実プロジェクト」ですが、何よりも日常生活における大きな課題は、雪対策です。これまでも、雪対策については、重点的に取り組んでまいりました。昨年設立された「新庄市雪とくらしを考える連絡協議会」より、本市の雪対策のあり方について答申を受けました。いただいた答申内容に基づいた雪対策に取り組むとともに、その結果を検証し、有効性の高いものにしてまいります。
市道除雪に関しては、機械による除雪を中心に実施いたしますが、小型除雪車を更新し、体制強化を図ってまいります。消雪道路整備については、「沖鉄砲町線」並びに「北本町南本町線」の2路線の工事を施工し克雪対策を推進いたします。流雪溝整備に関しては、「金沢地区」などへの用水導入のための工事に新たに着手するとともに、「沖の町・中山町線」などの流雪溝整備については継続して取り組みます。また、冬期間の交通の安全確保のために「泉田二枚橋線」の防雪柵整備を継続いたします。
町内会などの団体が実施する除排雪への支援としては、「雪に強いまちづくり事業費補助金」、「生活道路排雪事業費補助金」の支援制度を継続してまいります。さらに、住宅地内での最適な雪処理手法を研究するための「克雪融雪備品モニター事業費補助金」と高齢者向けの雪処理対策として「融雪装置支給事業」を継続し、雪に対する負担軽減を図ってまいります。
元気なまち新庄の実現には、市民が健康で居続けられることが何よりも必要です。「ラジオ体操と輪投げでプラス10事業」に継続して取り組むとともに、新たに健康活動を行うことでポイントを付与する「かむてん健康マイレージ事業」を関係機関と連携しながら実施いたします。また、特定健診の負担額を軽減し、市民の健康増進を図ってまいります。さらに、地域での健康教室を継続開催し、健康に対する意識を、より一層高めてまいります。
防災体制の強化に向けた取り組みについては、災害発生を迅速かつ的確に伝えるため、「同報系防災行政無線設備」の設置工事を施工してまいります。非常備消防の機能強化については、「小型動力ポンプ積載車整備事業」、「小型動力ポンプ整備事業」を継続し、消防団を健全に維持するため、装備品の充実や手当て改善を図ってまいります。年々、組織率が向上している自主防災組織の立ち上げについては、継続して支援してまいります。
また、犯罪や事件を未然に防止し、安全・安心な地域社会を実現するため、街頭防犯カメラを設置するとともに、各町内の防犯環境の向上を図るために、新たに「町内防犯灯LED化事業費補助金」の制度を創設いたします。
生活環境の改善に向けた事業として、これまで市内公衆便所の洋式化等に取り組んできておりますが、市内中心部の「曙町第2公衆便所」の改修を行い、利便性の向上を図ってまいります。
住宅政策としては、県の補助制度を活用した「住宅リフォーム総合支援事業費補助金」を継続し、既存住宅の機能向上につなげてまいります。一方、これまで危険空き家を中心としてきた空き家対策ですが、新たに利活用可能な空き家を含めた包括的な空き家対策に取り組んでまいります。
近年、多発する風水害は、地球温暖化に起因するものと言われております。このたび、「第3次新庄市環境基本計画」の見直しを図ったところであります。「再生可能エネルギー設備導入事業費補助金」を継続し、環境負荷の低い設備の普及を促進してまいります。さらに、新庄土地改良区の農業用水施設の未利用エネルギーを活用する小水力発電施設整備への支援を行ってまいります。
市民共有の財産である市有施設の耐震化対策については、「市有施設耐震化実施計画」に基づいて市庁舎並びに武道館の耐震補強工事に着手いたします。
また、全国的に課題となっている道路、橋梁の管理については、計画的に補修工事を施工しておりますが、新たに、泉田橋の撤去に係る基礎調査を実施し、事業化へ向け関係機関との協議を行ってまいります。
3番目の「子育て・人づくりプロジェクト」ですが、少子化を抑制するには、結婚・妊娠・出産・育児・教育とそれぞれの段階で切れ目の無い支援策を講じていくことが重要です。
これまで、本市では、最上8市町村で構成する実行委員会に参加し婚活事業を実施してまいりました。新たに、市の独自強化策として、独身者のスキルアップセミナーなどに取り組みます。
母子保健事業としては、「特定不妊治療費助成」を継続実施するとともに、早産予防や新生児死亡を減少させるため、妊婦に対する超音波検査への補助を新たに実施いたします。
子育て家庭の負担軽減を図るために、「子育て支援医療給付事業」を継続実施いたします。さらに、市が独自に実施している第3子以降の児童保育料免除に関しては、免除の基準となる第1子を小学校3年生までから高校3年生までに拡大し、対象となる第3子を小学校就学前までに引上げ、多子世帯の経済的負担軽減を図ってまいります。
また、「子ども・子育て支援新制度」による、総合的な保育サービスを実施いたしますが、これに関連して、教育・保育施設が新制度対応型へ移行が完了するまで、認可外保育施設を運営する事業者へ補助金を交付する「認可外保育施設乳幼児育成支援事業」に継続して取り組みます。さらに、認可保育所及び小規模保育施設を利用できない児童を、認可外保育施設が受け入れて保育した場合には、「待機児童対策事業費補助金」を交付し、待機児童の解消を図ってまいります。
市民アンケートによれば、子育てしながら働くことができる環境が求められています。新たな事業として、緊急時の子どもの預かり等を行う「病児・緊急対応強化事業型ファミリー・サポート・センター事業」を実施し、働きながら子育てする保護者のニーズに応えてまいります。
また、子育て支援に熱心な市内事業所に対する奨励金の交付や事業所のイメージアップのためPRを行う「子育て応援企業支援事業」を新たに実施いたします。
さらに、小児慢性特定疾患児に対して、特殊寝台等の日常生活用具を給付する「小児慢性特定疾病児日常生活用具給付事業」と、ひとり親家庭の経済的自立を支援するための「母子家庭等自立支援給付事業」を拡充実施いたします。
学校教育における取り組みとしては、スクールバスの運行や路線バス利用者の家庭を支援する「通学手段確保対策事業」を継続いたします。さらには、配備計画を前倒しして、スクールバスを購入し、通学手段の充実を図ってまいります。
現在、本市では2名のALTによる小・中学校での外国語活動、英語学習による国際理解教育を推進しております。新たにALTを1名増員し、英語学力の向上を図ってまいります。
さらに、学習が遅れがちな児童生徒を支援するため、「児童生徒個別支援事業」を継続して実施し、当該児童生徒を含む学習の充実と学級全体の学習活動の強化を図ってまいります。
学校施設の整備に関しては、「日新中学校大規模改修工事実施設計」に着手し、教育環境の向上を図ってまいります。
体育施設については、最上地区唯一の公認競技場となる「陸上競技場改修工事」を施工いたします。また、改修記念事業の事業内容の検討と関係機関との調整を図ってまいります。
人材育成に関する事業としては、小、中、高校とそれぞれの段階に合わせた「地元定着型キャリア教育推進事業」に新たに取り組み、地元就職に対する意識の醸成を図ってまいります。また、地元への人材定着を図るための市独自の奨学金制度である「ふるさと創生奨学金事業」については、保育士枠を新たに設定し、人材の地元定着を目指してまいります。
これら、3つの重点プロジェクトを推進するにあたり、引き続き「協働によるまちづくり」に取り組みます。「新庄市協働推進計画」に基づき、協働手法を取り入れた事業の実施を、今後、一層進めてまいります。協働主体となりうる市民、職員、団体等の協働に対する知識を深め、地域で実践するための「協働セミナー」を27年度に引き続き開催し、協働の推進を図ります。併せて協働事業の検証を行い、協働事業を効果的に実施するための方策を講じてまいります。
一方、地域においては、人口減少・少子高齢化に伴い、つながりが希薄になり、担い手不足が課題となっています。住民同士や地域間の連携を深め、住民主体の地域づくりを牽引するリーダーを育成するための「地域リーダー講座」を引き続き実施いたします。
また、地域住民が、互いに支え合い協力しあえる地域コミュニティを再構築し、まちづくりの基盤となる地域コミュニティの活性化を図ることを目的に「地域づくり支援モデル事業」、「地域づくり推進交付金制度」を継続してまいります。さらに、地域づくりを推進するため、中学校区単位で地域課題に主体的に取り組む地域づくり協議会の発足を目指し、地域づくりセミナーや準備会議を開催してまいります。
5.おわりに
新年度を迎えるにあたり、市政運営に関しての基本的な考えと、主な事業についての概要を申し上げました。今年度、地方創生に向けた取り組みとして「新庄市総合戦略」を策定しましたが、新年度は、戦略に基づく本格的な事業の実施段階に入ります。本総合戦略に位置付けられた事業を的確に実施することで、本市が直面する人口減少の克服とまちの活性化を目指してまいります。特に、最上地域の特有の課題である雪問題、「克雪なくして、定住なし」との考えから、その解決に向け引き続き方策を追求してまいります。
さらには、定住自立圏構想による近隣町村との事業連携もスタートすることになりますが、これは、中心市としての本市のリーダーシップが問われているということでもあります。最上8市町村の共存共栄を図るべく取り組んでまいります。
また、県立新庄病院の改築や看護師養成機関の設置準備など、市民生活に深く関わる分野の事業がスタートする非常に重要な一年となります。これらの実現に向けて一歩一歩着実に歩を進めていく所存です。
最後に「市民第一主義」を引き続き強く意識しながら、職員一丸となって市政運営に取り組んでいく決意を表明し、平成28年度の施政方針といたします。

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