平成29年度の市政運営に関し、私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1.はじめに
昨年は、本市にとって誇らしく記念すべき年となりました。市民が誇りとする「新庄まつりの山車行事」がユネスコ無形文化遺産に山形県としては初めて登録され、人類の宝として認められた喜びを市民の皆様と分かち合うことができました。新庄まつりが、260年以上も地域の中で受け継がれてきたことに敬意を表するとともに、これを契機に、地域の誇る伝統文化を国内はもとより世界に向けて発信し、国際的にも価値を高めてまいりたいと決意を新たにしたところであります。
世界の情勢ですが、米国では今年1月に新大統領が就任し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱を表明するなど、新政権における政策転換の姿勢を鮮明にしております。また、ユーロ圏において英国のEU離脱が表明されたことによる不透明感や、これまで経済成長を続けてきた中国景気の減速など、世界政治経済の動向に関する不確実性や、米国や欧州各国での保護主義への回帰も見られます。今後の動向によっては、日本経済への影響、そして地方への波及も懸念され、注視していく必要があります。
国内経済を見ますと、「景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と国では判断しており、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあり、緩やかに回復していくことが期待されています。
県内の経済情勢も「回復しつつある」とされており、最上地域の雇用情勢としても、12月末現在で、平成29年3月新規高等学校卒業者の就職内定率は97%を超え、有効求人倍率も1.31倍と、前年同時期から比べて高水準で伸びております。今後、市民の所得が向上したと実感できるよう、さらなる後押しが必要と感じます。
安倍政権では、一億総活躍社会の実現を目指し、「新・三本の矢」による成長と分配の好循環に向け取り組んでいますので、地方へのさらなる効果の波及を期待するところです。
地方創生が提唱されてから4年目となり、雇用面での改善は図られてきましたが、東京一極集中の問題は是正されておらず、地方での人口減少に歯止めがかかっていないのが現状です。平成27年に実施された国勢調査では、本市の人口は36,894人となり、前回調査から比べると2千人近くの人口が減少しており、特に若者の減少が目立ちます。若者の転出、出生率の低下は本市にとって最も大きな課題であり、地方での仕事の創出、地方への新しい人の流れ、若い世代の暮らしの希望の実現を急がなければなりません。
人口減少と高齢化が進行するなか、年齢や障がいの有無等に関わりなく、全ての人が安全に安心して暮らせる「共生社会」が提唱されています。格差を無くし、誰もが社会参加しやすい仕組への取組は、これからのまちづくりの基本になる考え方として、本市においても「共生社会」の実現に向けた基盤整備を進めていかなければならないと考えております。その方策の一つとして、住民が社会参加しやすい機会を設けていくため、将来を見据えた、公共交通の有り方について検討してまいります。
県政においては、吉村知事が三期目の再選を果たしました。その公約では、「県民総活躍」、「産業イノベーション」、「若者の希望実現」、「健康安心社会」、「県土強靭化」の五つの柱を掲げており、最上地域におけるプロジェクトとしては、「県立新庄病院の改築整備」、「東北中央自動車道の整備促進」などがあります。
県立新庄病院の改築につきましては、現在地からの移転による全面改築との方針が示されました。また、救命救急センターの設置も検討されており、住民の安心にとって大きく前進したと感じております。今年1月には、知事に対し、最上8市町村長による移転先の要望を行ったところ、2月に示された県予算案において事業用地の調査・取得費が盛り込まれました。早期改築の実現に向け、圏域の中心市としての役割も果たしていかなければなりません。
本市においては、顕著な人材不足となっている看護・福祉分野における人材育成も急がなければなりません。若者定着と看護師確保のため検討を続けてきました「看護師養成機関の設置」に向けては、検討から準備の段階にステップアップし、早期の実現に向け取り組んでまいります。
山形新幹線の新庄延伸から17年が経ちました。今、県内ではフル規格の新幹線の整備実現に向けた運動が始まっていますが、高速交通網の整備については、高速道路整備についても同様に進めていかなければなりません。東北中央自動車道と新庄酒田道路については、さらなる整備が期待されますし、一部調査の始まった石巻新庄道路については、事業化に向けた要望を継続してまいります。
これまでの成果もあり、新庄中核工業団地には多くの企業に進出していただきました。東北の中心にある本市の地の利を活かし、さらなる経済活動の活性化につなげてまいります。
昨年11月には、雪を資源に地域活性化を目指した「いきいき雪国やまがた県民会議」が発足しました。安全安心に対する意識の向上、雪の魅力の再認識、そして雪の利活用の促進を柱に普及啓発を行うもので、本市の取組と合わせながら、雪国での暮らしを快適なものにしてまいります。
昨年のリオデジャネイロオリンピックでは、日本として史上最多のメダル獲得もあり、スポーツに沸いた年となりました。これから2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、国内でも様々な動きが展開されますが、本市を発信するチャンスと捉えていきたいと思います。今年は、南東北3県でのインターハイが開催され、本市を会場としてバドミントン競技が行われます。さらに、昨年改修した陸上競技場でのイベントもあり、多くの方が訪れますので、おもてなしの気持ちで迎え、スポーツの面からも賑やかにしてまいります。
本市における新たな動きに目を向けますと、これまでインバウンドの誘致に力をいれてきた成果もあり、民間レベルでの国際交流も始まりました。新庄東高等学校と台湾の学校との姉妹校締結やホームステイによる交流は喜ばしいものであり、今後もこのような交流が続いてほしいと願っております。
新庄の魅力を発信するという面で、昨年は新庄まつりのユネスコ無形文化遺産登録に向け、本市にゆかりのある漫画家による広報紙表紙でのイラストリレー企画を行い、大変盛り上がりました。さらには、新庄・最上漫画ミュージアムもオープンし、多くの来場者で賑わっております。また、ふるさと納税を活用して本市をアピールした効果もあり、多くの方に新庄の魅力を知っていただくことができました。今後も様々な手段で情報を発信し、日本中に、そして世界に知っていただき、新庄のファンを増やしていきたいと考えております。
民間調査による「住みよさランキング」では、昨年は全国で32位、東北でも3位と上位に入ることができました。これは、他市と比べても「住みやすいまち」であることの証だと思います。新庄にはたくさんの魅力があります。誇りにする「新庄まつり」があります。さらに自慢できるものを見つけ、自信と誇りを持てる年にしていきたいと思います。
以上の本市を取り巻く情勢を鑑み、地域の活力となる産業を振興し、雇用創出と所得向上につなげ、住みよい暮らしと定住の基盤を強固なものにしていかなければなりません。知恵を出し合いながら「市民力」を結集し、諸課題の解決に取り組んでまいります。
2.市政運営の基本的な考え方
先に述べた社会経済情勢を踏まえながら、平成29年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。
私は、「人行きかうまち」、「人ふれあうまち」、「人学びあえるまち」をまちづくりの基本理念として掲げ、その実現に向け、「経済力」、「地域力」、「教育力」を強化する施策を展開し、これらを結び合わせた「地域基盤力」の向上により、地域の良さを最大限に引き出すまちづくりを推進しております。
「人行きかうまち」の実現に向けては、人口減少が進むなか、本市の伝統文化を通し、人と人との交流、地域と地域との交流を深めるとともに、企業力の強化と産業の振興により地域の経済活動を高め、働く場の創出と市民の所得を向上させることにより、「経済力」を強化してまいります。
「人ふれあうまち」の実現に向けては、少子高齢社会において、安全安心に暮らすため、災害や豪雪に備えたまちづくりを推進するとともに、地域内における助け合いの意識を醸成し、地域コミュニティを活性化させることにより、「地域力」を高めてまいります。
「人学びあえるまち」の実現に向けては、地域に根ざした子どもたちの学習活動を通し、ふるさとに誇りと愛着を持ち、未来の新庄を支える人材を育て、地元への定着を図ることにより、地域全体の「教育力」の向上につなげてまいります。
以上の3つの基本理念と「地域基盤力」を土台として、地域の良さを見つめ直し、市民の皆様とともに、自信と誇りを持てる「元気なまちづくり」に引き続き取り組んでまいります。さらには、全ての人が安全に安心して暮らし、社会参加しやすい「共生社会」の実現に向けた「人に優しいまちづくり」を基本として、郷土に「希望の持てるまち」を目指してまいります。
3.市政運営の指針
次に、市政運営の指針についてでありますが、新庄市民憲章に謳われているように、「先人の築きあげた伝統を重んじ、新庄市民であることに誇りをもち、愛する郷土を発展させる」ことを目指し、「まちづくり総合計画」と「行財政改革大綱」を基本として、市政運営に取り組みます。
はじめに、市政運営の基本指針となる第4次新庄市振興計画「新庄市まちづくり総合計画」ですが、平成32年度までを期間とし、「自然と共生 暮らしに活力 心豊かに笑顔輝くまち 新庄」を目指すべき将来像とし、基本目標に「産業の振興」、「健康と福祉の充実」、「教育の振興」、「社会生活基盤の整備」、「環境の保全」の5つの分野を掲げております。
推進手法として、「市民協働」と「広域連携」を取り入れながら、本市における地方創生の取組と数値目標を定めた「新庄市総合戦略」に基づき、「暮らし、定住、未来創造」に向け、「雇用・交流の拡大」、「安全・安心の充実」、「子育て・人づくり」の3つの重点プロジェクトにより、限られた経営資源を政策的に投下しながら推進してまいります。
あわせて、最上8市町村での連携による「定住自立圏構想」に取り組みましたので、圏域全体の活性化と生活機能の確保に向け、中心市としての役割を果たしてまいります。
次に、「第6次新庄市行財政改革大綱」でありますが、平成31年度までを期間とし、「地域課題の解決を図る協働体制づくり」、「行政経営の効率化」、「行政課題の解決を図る組織体制づくり」、「持続可能な財政運営」の4つを基本目標に定め、行政運営の効率化と市民サービスの向上に取り組んでまいります。
財政運営面におきましては、これまでの厳しい財政状況を克服するため、内部管理経費の削減や投資的経費の抑制などに取り組み、改善が図られてきましたが、公共施設等の改修費用、少子高齢化による社会保障費などが増大しており、財政の弾力性という面では、まだ課題を抱えていると言えます。
喫緊の行政需要に対応するためにも、平成27年に策定しました「中期財政計画」に沿い、自主財源の確保と経常的経費の抑制、投資的経費の効率的な配置、市債発行の抑制を基本として、業務の効率化を図りながら持続可能な財政運営に努めてまいります。
また、長期的な視点に立ち、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進することを目的とした「公共施設等総合管理計画」に基づき、施設の統廃合や管理運営の効率化などに取り組みます。
平成28年度において、「ふるさと納税」により本市を応援していただいた件数は、前年度より3倍以上に増え、寄附額も6億円を超えております。これに伴い、お礼品による地域への経済的な波及効果もあります。ふるさとを思う気持ちとして大事にいただくとともに、まちづくりを推進する大きな財源として、各分野の主要事業に有効に活用させていただきます。
4.重要課題に対応した平成29年度主要事業
次に、まちづくり総合計画の3つの重点プロジェクトに沿って、平成29年度の主要事業の概要を申し上げます。新たな行政課題に対応するとともに、地方創生に向けた戦略的な取組や、定住自立圏構想に基づく連携などの各種事業に取り組んでまいります。
はじめに、「雇用・交流拡大プロジェクト」ですが、重要課題とする「しごと」の創出では、人材不足が懸念されることへの対応、さらに経済活動の基となる人の交流の拡大に向け、取り組んでまいります。
企業力強化の支援として、中小企業等の経営基盤の強化や事業規模の拡大を促進し、地域経済の活性化やものづくり産業の振興を図るための「商談会出展支援事業」、「新製品開発支援事業」、「情報発信力強化支援事業」や、地域の基盤産業振興を担う中核企業の事業拡大・経営力強化を目的とした「基盤産業強化アドバイザー派遣」により推進してまいります。
また、企業誘致としては、工場等の新設・増設・移設に伴い、新たに雇用した企業に対する「企業立地等雇用促進奨励金」制度により、雇用機会の拡大を図ります。
小中高生の地元就職に対する意識を醸成するため、地元企業の魅力を伝え、ものづくりの楽しさを体感してもらい、関心を高めることにより、人材育成と地元定着を図る「地元定着型キャリア教育」を推進します。また、若者の就職活動において市内企業への訪問を促すため「ふるさと企業訪問奨励事業」を実施いたします。
商店街の活性化に向けては、全国100円商店街サミット開催を支援するとともに、「商業地域空き店舗等出店支援事業」による起業に向けた支援を継続いたします。
農業振興としては、主食用米の需要減少により減反が強化されており、土地利用型転作作物の振興を進めるため、転作田をフル活用できるよう簡易な排水対策を後押しし、集落営農の活性化を推進する「元気な集落営農創成事業」に新たに取り組みます。
また、水稲からの転換品目として推奨しているそばの栽培面積拡大と品質・収量の向上を図るため「新庄そばまつり」を開催し、地域内外にアピールしてまいりましたが、新たに全国規模のそばイベントに出店し、「そば処 新庄」の知名度をさらに上げていきます。
農業者の所得向上に向け取り組んでいる6次産業化については、固有の農産物と雪国の特徴を活かした加工品、郷土料理などを統一した新庄ブランドの確立を目指し、「農産加工品の販路拡大」を進めてまいります。
花卉・果樹・野菜等の園芸作物の産出額のさらなる拡大と園芸産地をけん引する競争力の高い経営体を組織するための「園芸大国やまがた産地育成事業」や、意欲ある畜産経営体の生産基盤強化、規模拡大、生産性の向上に向けた「畜産経営競争力強化支援事業」に取り組みます。
農業従事者の育成の面では、農業経営基盤の強化のため、集落等における担い手を育成する「担い手総合支援事業」に継続して取り組みます。また、園芸作物の栽培等を中心に農業の基礎を学ぶ「若者園芸実践塾」を運営し、新たな青年農業者の育成を図るとともに、新規就農に向けた研修指導体制を充実するため、「(仮称)担い手育成センター」の設立に向けて検討してまいります。
観光振興の柱となる「新庄まつり振興事業」においては、新庄まつりのユネスコ無形文化遺産登録を記念し、本まつりのスタンド席無料化、首都圏への山車の派遣、ラッピングトラックの張替を行い、さらなる情報発信と誘客拡大に努めてまいります。また、世界に向けて発信されることから、インバウンド誘致の効果も期待され、多言語パンフレットの作成など、受け入れ態勢を整備してまいります。
市内外との交流により、地域の活性化が期待されますが、交流の拠点施設となる「エコロジーガーデン」については、キトキトマルシェや芸術祭の開催などにより、施設の知名度や存在価値が向上してきました。国登録有形文化財として、施設の永続的な保存のため保存活用計画を策定しましたので、計画的に改修してまいります。
また、これまで各方面から提案のありました道の駅については、休憩機能や情報発信機能による道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供や地域振興に寄与する拠点施設として、その整備に向けた「道の駅基本構想」を策定いたします。
次に、「安全・安心充実プロジェクト」ですが、重要課題である「雪」に対する不安を払拭するとともに、安全安心な暮らしの確保に向け、取り組んでまいります。
冬期間の市民生活を確保するための道路の除排雪については、冬期間のオペレーター雇用による直営と委託の体制により、道路交通の安全確保に努めてまいります。さらに、除雪の運行状況をリアルタイムで確認できる「GPSを利用した除雪管理システム」を導入し、より迅速・適正な除雪作業により、市民サービスの向上を図ります。また、雪寄せ場の確保のため、山形県内初となる市道、生活道路除雪における雪寄せ場の冬期間の固定資産税の減免制度を創設いたします。
雪総合対策としては、「泉田二枚橋線」の防雪柵設置と、「北本町南本町線」の消雪道路、「沖の町・中山町線」の流雪溝の整備を継続してまいります。あわせて、金沢地区他への「用水導入事業」を継続し、最上川用水による安定水源の確保を図ります。また、町内会などの団体が実施する除排雪への支援として「雪に強いまちづくり補助金」と「生活道路排雪補助金」を継続いたします。
誰もがいきいきと暮らしていくためには、健康づくりが重要です。特定健診やがん検診の受診率の向上に向けた勧奨、健康意識の普及啓発に加え、健康づくりの実践を支援するための「健康マイレージ事業」に継続して取り組みます。また、30歳代の若い年代からの健康づくりを推進するため、「若年者特定健診」を新たに実施いたします。
運動を日常生活の一部と習慣づけるため、「ラジオ体操deプラス10」運動を推進します。「夏期巡回ラジオ体操会・みんなの体操会」を実施し、健康づくりの機運を高めてまいります。
陸上競技場の改修を記念し、これまで実施してきた「新庄ロードレース大会」と「いものこマラソン大会」を統合し、幅広い年齢層の健康増進と体力向上を図るため、誰もが気軽に参加できる「新庄シティハーフマラソン大会」を開催いたします。
高齢者福祉では、包括的支援を充実するため、新たに「認知症初期集中支援推進事業」を実施し、専門職チームによる患者へのケアを充実させます。また、「在宅医療・介護連携推進事業」を実施し、在宅医療と介護の連携に向けた体制づくりに取り組みます。
障害者福祉では、障がい者の社会参加と生活圏の拡大に向け、福祉タクシー券・給油券の助成対象を、身体障害者手帳3級の一部にまで拡大いたします。また、地域生活支援策として、地域住民に対する障がい者への理解を深めるための「理解促進研修・啓発事業」と、障がい者の自立に向けた自発的な取組を支援する「自発的活動支援事業」を新たに実施いたします。
防犯対策の強化として、地域における防犯環境の向上と、維持管理費の軽減を図るため「防犯灯LED化更新補助事業」を引き続き実施いたします。また、犯罪や事件を未然に防止し、安全安心で住みよい地域社会の実現のため、「街頭防犯カメラ」の整備を、順次、行ってまいります。
防災関係につきましては、平成28年度に整備しました同報系のデジタル防災行政無線の運用を開始し、住民の協力を得ながら地域の防災に活用してまいります。
非常備消防の運営としては、消防団員の処遇改善策として防寒着を支給し、冬期の活動を安全で快適に行えるよう装備の充実を図ります。また、「小型動力ポンプ」と「小型動力ポンプ積載車」を計画的に更新してまいります。
ごみ減量化対策として、障害者福祉施設と連携し、使用済み小型家電のリサイクルを推進する「しんじょうハートシール事業」を始めます。また、定住自立圏構想による新たな連携として、「ごみ減量化対策推進計画」を策定しました。計画に基づく事業として、ごみ減量化と障がい者の社会参加を目指した食品トレーリサイクルシステム「新庄もがみ方式」などに取り組んでまいります。
ライフラインとなるインフラ整備についてですが、上水道事業においては、安全安心な水道水の供給を図るため、老朽化した管路を更新してまいります。また、休場・市野々及び山屋地区の簡易水道事業について、平成30年4月を目標に上水道事業との統合に向けた準備を進めてまいります。
公共下水道事業においては、未整備の地区について計画的に汚水管敷設工事を進めるほか、浄化センターにおいては処理場改築更新工事を実施いたします。公営企業については経営環境が厳しくなるなか、自らの経営・資産を正確に把握し、計画的な経営基盤の強化と財政マネジメントの向上に取り組むため、公共下水道事業、農業集落排水事業、都市下水路事業について「公営企業法適用業務」を進めてまいります。
道路については、高速道路整備に伴う振替路線となる「角沢松本線」の整備を進めるほか、今後、急速に老朽化する道路施設を適切に維持補修するため、「道路長寿命化事業」として「栄橋」の橋梁補修や「市道宮内線」の舗装補修などを行ってまいります。
住宅政策としては、既存住宅のストック健全化を推進するため、一般住宅向けの「住宅リフォーム補助金」、「耐震改修補助金」、「木造住宅耐震診断士派遣」を継続するとともに、市営住宅における計画的な改善を進め、東山団地の外壁等改修工事を行います。
また、近年増加している空き家の対策として、空き家バンクをはじめとする空き家の利活用促進策と危険空き家への対応を含めた包括的な方向性を定める「空き家等対策計画」を策定いたします。
住居表示実施区域において、隣家との住居表示が同一住居番号となり、生活に不便が生じている市民に対し、申し出による枝番号の付与により、重複付番の解消に努めてまいります。
交通政策としては、自家用車の普及や人口の減少に伴い、路線バスの利用者が減っており、民間の路線バスは縮小傾向にあります。今後、高齢化が進むにつれ、増加が予想される交通弱者に対応し、現状の公共交通を維持しながら、将来にわたり持続可能な公共交通システムを構築していくため、「地域公共交通網形成計画」を策定いたします。
目指すべき都市の将来像と、その実現に向けた都市づくりや地域づくりの基本的な方針を示した「都市マスタープラン」は、策定から20年が経過し、社会情勢や土地利用の形態が大きく変化していることから、その見直しを進めてまいります。
3番目の「子育て・人づくりプロジェクト」ですが、将来を担う人材の育成はまちづくりの根幹をなすものであり、未来の「しんじょう人」を生み育て、ふるさとへの誇りが育まれるよう、取り組んでまいります。
子育てしながら働くことができる環境の整備に向けては、育児休業の取得の推奨や、就学前児童を養育する女性の雇用など、子育てを応援する企業を対象にした「子育て応援企業支援事業」を継続して実施いたします。
また、待機児童の解消に向けた環境整備を行ってきましたが、この度、就学前の教育・保育ニーズに対応した「認定こども園」が新設されることとなりました。私立幼稚園の1所が認定こども園に移行することになり、3歳未満児の定員が新設されるため、待機児童の解消につながることが期待されます。
働きながら子育てする保護者のニーズに対応するため実施している「緊急対応型ファミリーサポートセンター事業」に加え、家庭での子育てをサポートし、子育ての負担軽減を図る「基本型ファミリーサポートセンター事業」を新たに実施いたします。
子育て支援の新たな取組として、「ようこそ赤ちゃん子育て応援事業」を実施いたします。応援メッセージやギフトの贈呈により、子育て家庭を社会全体で応援する機運の醸成と育児に寄り添う支援を行います。
また、妊娠期から子育て期までの様々なニーズに対し、総合的な相談支援を提供するワンストップ拠点として、「子育て世代包括支援センター」の設置準備を進めてまいります。
子育て家庭の負担軽減を図るため、高校3年生までの児童・生徒がいる世帯の第3子以降の保育料と中学3年生までの医療費の無償化を継続いたします。さらに、国の制度により、市民税非課税世帯に属する第2子の保育料についても無償化を実施いたします。
また、若者世帯の住宅取得に対する負担軽減を図り、定住を促進するため「若者世帯住宅取得支援事業」を新たに実施し、子育てや新婚、転入してきた若者世帯を支援してまいります。
若者世代の結婚前後の不安感を解消し、結婚や子育てに対する前向きな意識を醸成するため「結婚・子育てポジティブキャンペーン事業」を新たに実施するとともに、「結婚活動支援事業」を継続し、未婚者に対するスキルアップセミナーや結婚を応援する方を対象としたセミナーを開催いたします。
小中学校では、発達障害などで特別な教育的支援を必要とする児童・生徒への対応のため、個別学習指導員を増員し、生活及び学習の支援体制を充実してまいります。
また、平成32年度に予定される小学校における英語の教科化等の方針を受け、さらなる英語教育の充実、国際理解教育の環境づくりを目指し、ALTを1名増やし、4名での英語学習を展開してまいります。
平成28年度から義務教育学校となった萩野学園においては、小中一貫教育の実践研究を行います。他の中学校区においても、小中の連携や交流を通して中1ギャップと言われる問題などを解消し、学力向上、ふるさと学習の充実などを目的に、9年間で子どもを育てる「小中一貫教育」を推進してまいります。
新たな「義務教育学校」として、明倫学区義務教育学校の建設を推進するため、基本構想に基づく基本設計や地質調査等を行います。義務教育学校の建設にあわせ、対象となる学区の児童が利用できる「放課後児童クラブ」の一体的な整備を進めてまいります。
日新中学校においては、学校施設が老朽化してきたことに伴い、バリアフリーなどに配慮した大規模改修工事を実施いたします。
社会教育施設においては、各種県大会やイベントが開催されることから、利用者の利便性や安全性の確保のため、経年劣化の著しい市民文化会館の駐車場の改修を行います。
また、市立図書館については、市民のニーズに応えるため、開館時間の延長及び変更を行い、市民サービスの向上を図ります。
損傷の激しい国指定史跡「新庄藩主戸沢家墓所」については、保存活用計画を策定し、計画的に整備してまいります。
環境教育として、環境保全活動を推進する人材の育成を目的に、環境サミットや親子で参加する体験学習教室などを開催する「環境保全促進事業」を実施いたします。
進学者への修学支援として、卒業後の地元定着を期待し、「ふるさと創生人材確保事業」と「若者定着奨学金返還支援事業」による奨学金制度に引き続き取り組むとともに、看護学生について、最上8市町村が連携し、最上地域に居住・就業した場合に奨学金の返還を免除する「看護師育成修学資金支援事業」を創設いたします。
これまで、若者の定着を図り、地域で不足する看護師を地元で育成しようと「看護師養成機関の設置」について検討してきましたが、今後は、設置・運営主体の検討、教員の確保、建設地の選定など、段階的に準備を進めてまいります。
これら、3つの重点プロジェクトを推進するにあたり、引き続き「協働によるまちづくり」に取り組みます。
地域づくり支援事業では、住民主体の地域づくりを目指し、地域の課題を洗い出すための「地域づくり支援モデル事業」、地域課題の解決に向け実施する事業を支援する「地域づくり推進交付金」制度を継続し、地域住民が互いに支え合い、協力しあえる地域コミュニティを再構築し、地域力の向上を図ります。また、さらに大きな単位にまとまり地域課題を解決できるよう、新たな地域組織「地域づくり協議会」の発足を目指して取り組みます。
協働による事業を推進するため、協働主体となりうる市民、団体等の協働に対する知識を深め、意識付けを図るとともに、協働事業の検証と協働主体との交流を深める機会を設け、効果的に実施してまいります。
5.おわりに
新年度を迎えるにあたり、市政運営に関しての基本的な考えと、主要事業についての概要を申し上げました。
私は、これまで「元気」をテーマにまちづくりを進めてきました。これまで、新庄の良さを市民の皆さんと一緒に掘り出してきたことにより、地域には「元気」があふれてきています。これからはその「元気」で、全ての人に「優しい」まちにしていきたいと思います。
この「元気」と「優しさ」があふれるまちづくりを進めることで「新庄に住んで良かった」と思われるまちとなり、「若者が住み続けたい、帰ってきたい」と思えるまちになり、「誰もが住んでみたい」と思わせるまちになると信じております。
平成29年度は、県立新庄病院の移転改築や看護師養成機関の設置準備、公共交通の有り方の検討など、市民生活に深く関わる分野の事業がスタートする非常に重要な一年となります。重要課題は山積していますが、全力で挑戦し、「希望の持てるまち」にしていきたいと考えております。
最後になりますが、「まちはだれのもの」という、初心を忘れず、「市民第一主義」を引き続き強く意識しながら、本市がさらに大きく羽ばたけるよう、職員一丸となり市政運営に取り組んでいく決意を表明し、平成29年度の施政方針といたします。
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