平成30年度の市政運営に関し、私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1.はじめに
昨年は、「新庄まつりの山車行事」がユネスコ無形文化遺産に登録されて初めてとなる「新庄まつり」開催の年となりました。市民の皆様のご協力のもと様々な趣向を凝らしたおもてなしの効果もあり、過去最高の来場者数となったところです。また、東京都豊島区において「新庄まつり in 巣鴨」を開催することができました。雨天の中での開催にも関わらず、関東在住の最上地域出身者等多くの方にご参加いただき、笑顔あふれるものになりました。「新庄まつり」は地域が誇る伝統文化であるとともに観光資源であり、国内にとどまらず国外からも高い評価をいただいております。世界に誇れる「新庄まつり」をこれからも積極的に情報発信し、さらに価値を高めてまいります。
世界の出来事に目を向けますと、平昌オリンピックでは、「フィギュアスケート男子シングル」で羽生選手が金メダルを獲得し、66年ぶりの連覇を果たしました。また、「スピードスケート女子団体追い抜き」でも金メダルを獲得するなど、多くの日本人選手の活躍がみられ、日本中が喜びと感動に包まれました。夢に向かって挑戦する気持ちと、力を合わせて思いを実現した時の喜びを分かち合う感動は、まちづくりにおいても見習うことが多いと感じたところです。さらに、「スピードスケート」では、「女子500メートル」や「女子マススタート」で金メダルを獲得するなど、とりわけ女子選手の目覚ましい活躍があり、日本の女性活躍時代の到来を強く感じさせられました。
続いて開催されるパラリンピックにおいても、日本人選手の活躍が期待されており、障がいのある方の活躍の場も広がってきていることから、これからのまちづくりには、誰もが暮らしやすい環境づくりが欠かせない視点であることを改めて認識したところです。
経済情勢では、米国においては雇用環境の改善や個人消費の増加等から、景気が全体的に持ち直していることがうかがえます。中国でも輸出や個人消費の伸びにより、景気の緩やかな回復傾向が続いており、ユーロ圏においても個人消費の伸びから、景気は緩やかに回復しているところです。しかしながら、米国のトランプ政権による政策の進め方や中国における不動産価格の変動、英国のEU離脱等が日本経済に及ぼす影響については、引き続き注視していくことが必要です。
国内経済をみますと、雇用環境においては、この5年間で就業者数が185万人増加しており、また、所得の増加にともない消費も緩やかに持ち直している状況にあります。内閣府による分析では、日本経済は長期間にわたり景気回復している状況がみられ、その期間は戦後第2位の「いざなぎ景気」を超える長さとなる可能性が高いとのことです。
県内の経済情勢は、個人消費は力強さには欠けるものの、雇用情勢においては有効求人倍率が1.5倍を超える状況が続いており、また、今年1月の県内経済の総括判断では「回復しつつある」から「緩やかに回復している」に判断が引き上げられました。
本市におきましても、これまで取り組んできた雇用対策等の効果もあり、企業の採用意欲は高まってきております。しかしながら、人材不足に対する懸念が生じている状況がみられることから、経済の好循環をさらに加速させるためには、人材不足対策等への取組が必要となると考えているところです。
県内の出来事に目を向けますと、昨年7月に皇太子殿下をお迎えして「南東北インターハイ」の総合開会式が行われ、大会期間中は大いに盛り上がりをみせました。また、8月には酒田港への大型外国船籍クルーズ船の寄港があり、11月には「東北中央自動車道」福島-米沢間が開通し、交流人口の拡大やインバウンドの誘致への期待が高まっています。
本市の新たな動きに目を向けますと、全国33の「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを契機に、広域的な連携を図ることで国内外からのさらなる誘客や交流の拡大を促し、地域活性化を目指す「山・鉾・屋台行事観光推進ネットワーク」が昨年5月に設立され、岐阜県大垣市で開催された第1回総会に参加してまいりました。平成30年度には、新庄市において第2回総会を開催することが決定されておりますので、開催に向けてしっかりと取り組んでまいります。
冬期の観光スポットとして、雪国ならではの楽しみ方を体験していただける「雪国ワンダーランド」を開始してから3年目となりました。これまで力を入れてきたインバウンドの誘致の成果もあり、海外からのお客様も増えているところです。今年は、「新庄雪まつり」の会場が「雪国ワンダーランド」を実施してきた最上中央公園に変更されたことで、入場者数も大幅に増加しました。これらの成果や反省点を洗い出し、さらに魅力を高められるよう取り組んでまいります。
また、平成30年度には「ゆきみらい 2019」が新庄市で開催されます。克雪・利雪技術の課題や雪に強いまちづくり等の内容について、他の雪が多い地域との情報交換を行う貴重な場であるとともに、全国に向けて雪関連の情報を発信することができる良い機会にもなると考えており、開催に向けて準備を進めてまいります。
山形県立新庄病院の移転改築につきましては、平成35年度中の開院に向けて整備を進める方針が示されました。夜間休日診療所の機能を新病院へ移管することも含めて調整を進めており、医療体制を充実させることで、市民の皆様が安心して暮らせる環境を整備してまいります。
看護師養成所の設置に向けた取組につきましては、中心となる教員の確保や建設予定地等の検討を行ってまいりました。また、魅力的な教育の場を作っていくために、今年1月から、看護教育の専門家や地域の医療福祉関係機関に参加いただき、様々なご意見を伺いながら検討を行う「看護師養成所開設準備委員会」を設置しており、開校に向けた取組をさらに加速させているところです。また、「新庄最上定住自立圏構想」の枠組みを活用することで、近隣町村とも連携しながら、着実に進めてまいります。
新庄の魅力を発信する取組の一つとして、ふるさと納税の活用にも力を入れております。これまでも、多くの方々にふるさと納税を通じて新庄市を知っていただき、新たなつながりを作ることができました。いただいたお気持ちを大切にしながら、まちづくりを推進するために各分野の事業に活用させていただいております。また、ふるさと納税をきっかけとしたご縁を大切にし、継続的な関係を構築することで、新たな交流につなげてまいります。
本市の歴史や文化等、地域の魅力を市民の皆様に知っていただき、後世に引き継ぐための取組として、毎月発行している「市報」の作成に力を入れております。全国広報コンクール2017では、広報企画部門において、「新庄デザインプロジェクト」が入選を果たしました。また、平成29年度山形県市町村広報コンクールでは、「広報紙の部」において、地域の偉人の紹介とあわせて地域のつながりをテーマにしたことや記事のレイアウトや写真の工夫が評価され、「広報しんじょう7月号」が特選に選出されるなど外部から高い評価をいただいているところです。これからも市民の皆様に市内の情報とあわせて地域の誇れる魅力を発信してまいります。
全国814都市を対象とした民間の調査会社による平成29年度の「住みよさランキング」では、住宅水準が充実していることや買い物環境の利便性の高さ等から、全国で第27位、山形県内では第2位にランキングされました。この高い評価は、これまでの取組の成果の現れの一つであると感じておりますが、このことに満足することなく、住みよいまちであることを市民の皆様が実感できるための取組を全力で進めてまいります。
以上、本市を取り巻く社会経済情勢等を鑑みながら、この地域での暮らしと定住の基盤を強固なものとするため、地域の活力を支える土台となる産業の振興や所得の向上に向けて、各分野の取組の充実強化を図り、市民の皆様とともに、諸課題の解決に向け取り組んでまいります。
2.市政運営の基本的な考え方
本市を取り巻く情勢を踏まえ、平成30年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。
市政をおあずかりして10年が経過しました。私は、これまで、「人行きかうまち」、「人ふれあうまち」、「人学びあえるまち」をまちづくりの基本理念として掲げてまいりました。その実現に向けて「経済力」、「地域力」、「教育力」を強化する施策を展開し、これらを結び合わせた「地域基盤力」の向上により、地域の魅力を最大限に引き出し、「元気で、人に優しく、希望のもてるまちづくり」に取り組んでまいります。
「人行きかうまち」の実現に向けては、新庄の誇る伝統文化の魅力を発信し、人と人との交流や他の地域との交流を深めることで交流人口の拡大を図るとともに、地域の経済活動を高めるため、農業をはじめとする地域産業の振興や企業力の強化を促し、市民の所得を向上させることで、地域の「経済力」を強化してまいります。
「人ふれあうまち」の実現に向けては、子どもから高齢者までの誰もが安全で安心して暮らせる地域にしていくために、大きな地域課題である雪の克服や災害への備えの確保、医療体制の充実を図るとともに、地域コミュニティの活性化を促す取組を強化することで、「地域力」を高めてまいります。
「人学びあえるまち」の実現に向けては、少子化が進む中、子どもたちに新庄の歴史や文化、自然等、地域の理解を深めるための学習活動を通じてふるさとへの誇りと愛着を育み、未来の新庄を支える人材を育てる取組をさらに推進することで、地域全体の「教育力」の向上につなげてまいります。
以上3つの基本理念と「地域基盤力」を土台として、地域の良さを見つめ直し、市民の皆様とともに、自信と誇りをもてる「元気なまちづくり」に引き続き全力で取り組んでまいります。そのうえで、すべての人が安全に安心して暮らし、社会参加しやすい「共生社会」の実現に向けた「人に優しいまちづくり」を基本として、若者が挑戦できる「希望のもてるまち」を目指してまいります。
3.市政運営の指針
次に、市政運営の指針についてでありますが、新庄市民憲章に謳われているように、「先人の築きあげた伝統を重んじ、新庄市民であることに誇りをもち、愛する郷土を発展させる」ことを目指し、第4次新庄市振興計画「新庄市まちづくり総合計画」と「第6次新庄市行財政改革大綱」を基本とし、財政規律を重んじながら、市政運営に取り組んでまいります。
はじめに、先の市政運営の基本指針となる「まちづくり総合計画」では、「自然と共生 暮らしに活力 心豊かに笑顔輝くまち 新庄」を目指すべき将来像として、基本目標に「産業の振興」、「健康と福祉の充実」、「教育の振興」、「社会生活基盤の整備」、「環境の保全」の5つの分野を掲げ、「市民協働」や「広域連携」等の推進手法を取り入れながら、「雇用・交流の拡大」、「安全・安心の充実」、「子育て・人づくり」の3つの重点プロジェクトに基づく総合的な取組を推進してまいります。また、平成30年度は、後期5カ年の中間年度にあたります。これまでの成果を踏まえながら、取組の見直しも含めた点検を行い、さらなる成果の達成に向けて取り組んでまいります。
次の行財政改革につきましては、「行財政改革大綱」に沿って、行政運営の効率化と市民サービスの向上に取り組むため、「地域課題の解決を図る体制づくり」、「行政経営の効率化」、「行政課題の解決を図る組織体制づくり」、「持続可能な財政運営」の4つを基本目標とし、引き続き推進してまいります。
財政運営面につきましては、「中期財政計画」に基づき、内部管理経費の削減や投資的経費の抑制等に取り組んでいるところですが、平成28年度決算において、経常収支比率が92.6%となるなど財政の弾力性という面では課題もあることから、引き続き財源確保対策はもちろん、事務事業の選択と集中、業務の効率化を図りながら持続可能な財政運営に努めてまいります。
また、今後、老朽化した市有施設の維持管理につきましては、施設の適切な配置と効率的な維持管理の実現に向けて、平成28年度に「公共施設等総合管理計画」を策定しており、平成30年度からは、個別の施設計画を順次策定することで、計画的な市有施設の維持管理に引き続き取り組んでまいります。
4.重要課題に対応した平成30年度主要事業
次に、まちづくり総合計画の3つの重点プロジェクトに沿って、平成30年度の主要な事業の概要を申し上げます。地方創生に向けた戦略的な取組や定住自立圏構想に基づく連携等、新たな行政課題へ対応するための各種事業にも取り組んでまいります。
はじめに、「雇用・交流拡大プロジェクト」ですが、「しごと」の創出を目指し、企業力強化に向けて人材確保の仕組みづくり等を進めるとともに、交流人口の拡大等により経済活動の活性化を促してまいります。
企業力強化としましては、市内企業の経営基盤強化を図るため、新たな取引先の創出を促す「商談会出展補助事業」や企業における新製品の開発等の新たな取組へのチャレンジを支援する「新製品開発支援補助事業」を継続してまいります。
人材確保への取組につきましては、市外の大学等の高等教育機関に進学した若者や市外に居住している若者が、市内の企業を訪問する際の支援策である「ふるさと企業訪問奨励金事業」や学生が実際に職場を体験することを通じて市内の企業への就職を促す「学生トライアル雇用奨励金事業」にも継続して取り組んでまいります。
また、若者が将来、理工系や看護師等の専門的な知識を必要とする職場で働くことを目指して、他の地域で学んだ後に市内の企業や病院で働くことを促す「人材確保事業」を実施してまいります。
農業の振興に関しましては、農業従事者の減少や後継者不足が深刻化しており、平成30年度からは国の農業政策の見直しにより米の生産数量の配分が廃止されるなど、農業を取り巻く環境は大きな変化を迎えております。このような中で、農業所得を拡大し、持続可能な農業の体系を構築するため、新規就農対策や市の振興作物の産地化、農業法人化支援等の総合的な農業政策の見直しに取り組んでまいります。
本市独自の新規就農者支援として、これまで多くの新規就農者を育成してきた「若者園芸実践塾」を発展的に終了し、新たな支援体制として、これからの地域の農業を支える担い手を生み出すため、農家での研修を通じて就農への支援を行う「振興作物栽培研修モデル事業」やシニア層での振興作物へのチャレンジを支援する「振興作物シニアチャレンジ支援事業」を実施してまいります。
また、持続可能な水田農業の確立に向けて、農業経営の安定化を図るため「集落営農等の組織・法人化事業」に継続して取り組むとともに「水田農業組織・法人育成支援事業」を創設し、農業用機械の整備等の支援を行ってまいります。
平成30年度には、全国の意欲ある農業者が集まり、農業経営の改善と地域農業の発展を目指すことを目的とする「第21回全国農業担い手サミット in やまがた」が秋に開催されます。最上地域においても、県内外から農業者が参加する研究会や情報交換会が行われる予定とされており、農業者同士の交流を通じて、地域農業の活性化につなげてまいります。
交流人口の拡大に向けては、これまで訪日外国人観光客誘致に力を入れてきた成果により、台湾等からの多くのツアーや個人旅行者の来訪につながっているところですが、さらに、「みちのくインバウンド推進協議会」とも連携し、タイからの誘客にも力を入れてまいります。また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに参加する国との相互交流を図る「ホストタウン推進事業」に取り組み、終了後も人的、文化的、経済的な交流が継続できる関係を築いてまいります。
「エコロジーガーデン交流拡大推進事業」としまして、青山学院大学の学生との交流やキトキトマルシェの開催等、地域内外の交流を進めてまいりました。平成30年度からは、第4期目となる「エコロジーガーデン利用計画」がスタートすることとなり、これからも文化財として後世に残していくための保存を確実に行うとともに、その魅力を発信することで、人と人との交流の場としての活用にも一層力を入れてまいります。
交流や情報発信を行う地域活性化の拠点となる「道の駅」につきましては、今後、方向性を打ち出せるよう検討してまいります。
次に「安全・安心充実プロジェクト」ですが、昨年は、台風等の自然災害が日本各地で起こりました。本市においては豪雨や地震によって生じた大きな被害はありませんでしたが、地域の大きな課題として雪対策があります。これまでも市民の皆様が安全で安心して暮らすために雪対策に力を入れてまいりましたが、引き続き雪害のない暮らしの確保に努めてまいります。
雪への対策としましては、「GPSを利用した除雪管理システム」の導入により、効率的な除排雪体制を構築することができました。また、市のホームページに除雪車の稼働状況を公開することで、除雪の進捗状況を市民の皆様にもご理解いただきながら、雪による不便がなく生活できるよう取り組んでまいります。
雪に強い安全で快適なまちの実現に向けて、第2次新庄市総合雪対策基本計画に基づき、流雪溝整備の推進や流雪溝水源の安定化に向けた事業を行うことで、地域における克雪体制を充実するとともに、冬期における交通の安全を確保するため、散水及び無散水消雪道路の整備や防雪柵の整備を推進してまいります。
高齢者世帯や障がい者世帯に対する支援として、「冬季生活支援事業」や「高齢者向け融雪装置配布事業」を実施し、自分で除雪を行うことが困難な世帯への支援を行ってまいります。
さらに、医療と介護が連携して継続的に在宅で生活できる「在宅療養の支援体制」の構築を目指し、関係機関との連携や在宅療養を行ううえでの課題の整理を進めてまいります。
若年期の検診の促進策として、がんの早期発見や健康の保持増進を図るため、がん検診受診料のさらなる負担軽減に取り組んでまいります。
市民の安全を守るための取組として、自然災害の発生時等の緊急の連絡を要する事態が生じた際に、迅速に情報を伝達するための方法として、市内全域に情報伝達を行うことができる「デジタル防災行政無線(同報系)」の設置に向けた取組を進めてまいります。
また、「非常備消防運営事業」として、消防団員が安全に活動するための装備品の配備を継続して行うとともに、「消防施設整備事業」として、小型動力ポンプや積載車等、消防団が活動時に使用する資機材を更新してまいります。
北朝鮮のミサイル発射や庄内沿岸への北朝鮮籍とみられる木造船の漂着など、市民生活に不安を与える事案が発生しております。これまでも職員地域担当制を活用して周知広報を行うなど、必要な情報を伝達するための取組を行ってまいりましたが、平成30年度は国や県をはじめとする関係機関との連携強化や市職員の緊急時の対処措置の能力向上を図るため「国民保護共同図上訓練」を実施し、安全で安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。
災害が発生した場合には、「自助」、「共助」、「公助」が連携し、対応していくこととなります。特に、「共助」の力を高める取組として「自主防災組織育成事業費助成金」制度を継続してまいります。
安全で安心なまちづくりに向けて、各町内の防犯環境を向上するため「町内防犯灯LED化事業費補助金」制度を継続するとともに、犯罪や事件を未然に防止し、万が一犯罪が発生した場合に速やかな解決に資する「街頭防犯カメラ整備事業」を実施してまいります。
高齢者による自動車運転事故防止策として、自動車運転免許証の自主返納を促す取組が全国的に増えておりますが、返納した方の移動手段の確保が大きな課題になっております。また、自ら移動するための交通手段を持たない交通弱者が増加しており、誰でも自由に外出できる仕組みづくりとして、子どもから高齢者、障がい者等、誰もが安心して利用できる利便性の高い地域公共交通の整備を目指して「まちなか循環バス運行事業」に取り組んでまいります。
また、これからの都市の方向性を示す「都市計画マスタープラン」の策定に向けて、市民の皆様の意見を反映させるための外部委員会を設置し、着実に取り組んでまいります。
最後に「子育て・人づくりプロジェクト」です。子どもは将来の社会を担うかけがえのない存在であり地域の宝です。少子化という大きな課題の克服に向けては、地域の中で安心して子どもを産み育てることができる社会を作ることが、次の世代の子どもをもつ希望につながると考えます。地域の中で安心して子どもを育てられる環境を整備するとともに、地域で育った子ども達がふるさと新庄に誇りと愛着を持つことができる取組を進めてまいります。
新たな取組として、発達上の困難等を有する子どもの子育てに不安を抱えている保護者や保育士等への支援として、専門家による指導のもと子どもの行動を理解し、適切な対応方法を身に着けるためのペアレントプログラム等の事業を実施してまいります。
子ども子育て支援新制度を着実に運用するため、「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、教育・保育の提供体制の確保の推進や地域の実情に応じた子ども子育て支援の充実に向けて、妊娠期から子育て期までの様々なニーズに対し、総合的な相談支援を行う「子育て世代包括支援センター」を設置し、子どもの健全な発育発達と育児不安を解消することで、地域で安心して子育てができるよう支援を行ってまいります。
また、仕事と家庭の両立と安心して子育てができる環境を整備するため「地域子育て支援拠点事業」、「ファミリー・サポート・センター事業」、「病児保育事業」、「放課後児童健全育成事業」とともに、子育てにおける経済的な負担を軽減するため、「第3子以降児童保育料免除事業」、「子育て支援医療給付事業」を継続して取り組んでまいります。
加えて、今後の教育・保育の需要の見通しを踏まえ、保育施設の受け入れ体制の見直しや放課後児童クラブの整備等を行ってまいります。
この他、地域で安心して子育てができる環境の整備に向けて、子育て支援に意欲的に取り組む企業を応援する「子育て応援企業支援事業」に継続して取り組んでまいります。
少子化の要因としてあげられている未婚や晩婚に対応するため、結婚を希望する未婚者のスキルアップに向けた取組を支援する「結婚活動支援事業」や若者世代の結婚から妊娠、出産、子育てに対する良いイメージを醸成するため「結婚・子育てポジティブキャンペーン事業」を継続してまいります。
若者の地元定着と地域医療機関等に従事する看護師の確保に向けて、平成33年4月の開校を目指し、看護師養成所の設置に向けた準備を進めてまいります。
これまで、「夢を持ち、元気で才能豊かな、いのち輝く新庄っ子」を育成するため「いのちの尊厳を根底に据えたこころの教育」を中心に地域に根差した小中一貫教育を進めてまいりました。現在、明倫学区において小中一貫教育校の整備を進めておりますが、今後も、一人ひとりに対してきめ細かな教育を行っていくため、9年間で計画的かつ継続的に教育指導を行うことができる小中一貫教育を推進してまいります。
また、国際交流体験やコミュニケーション能力の育成を含めた国際理解を推進するため、市内の小学校や中学校、義務教育学校において、語学指導員(ALT)を配置する「国際理解教育推進事業」にも継続して取り組んでまいります。
さらに、中学生や高校生、部活動等の指導者を対象として、スポーツ分野におけるトップアスリートを招聘し、実技体験の機会や指導方法の講話を通じて、競技レベルの向上を目指すための取組を実施してまいります。
新庄市の貴重な歴史文化を後世に引き継いでいくため、国の重要文化財「旧矢作家住宅」について、劣化状況や改修規模等の概要調査を行い、早期の保存修理事業の実施に向けて、文化庁や県と調整を進めてまいります。
これら、3つの重点プロジェクトを推進するにあたり、引き続き「協働によるまちづくり」に取り組んでまいります。これまでも、「地域づくり支援モデル事業」や「地域づくり推進交付金」等の制度を創設し、住民が主体となった地域づくりを目指して取り組んでまいりました。今後も、協働の手法を取り入れた事業を展開するため「新庄市協働推進計画」に基づき、地域、団体、事業者及び市が、積極的に協働事業に取り組むことができる仕組みづくりをさらに進めてまいります。
また、人口減少、少子高齢化の進行にともない、地域のつながりの希薄化が懸念されています。地域コミュニティの強化を図るため、住民同士の連携や積極的に地域づくりを牽引する「地域リーダー講座」を継続してまいります。
さらに、より広い地域が協力して地域課題の解決に向けて取り組むための主体となる「地域づくり協議会」の設立に向け、地域の意識醸成を図りながら進めてまいります。
5.おわりに
新年度を迎えるにあたり、市政運営に関しての基本的な考えと、主要な事業についての概要を申し上げました。
私は、市政をおあずかりしてからの10年間において、「元気」と「優しさ」があふれるまちづくりに向けて様々な取組を行ってまいりました。昨年度からは「希望のもてるまちづくり」に向けた挑戦にも取り組んでおり、市内では「空き屋プロジェクト」等の若者が主体となった新たな取組がみられるようになっています。
これからの時代の中で、まちづくりのあり方は様々に変化していくと感じております。これまでの取組を継続しながら、来年度は、「障がい者にやさしいまちづくり」を進めていくため、市役所が担っている業務の中で何ができるのかということを考え、職員と意識を共有していくための一年にしていきたいと考えております。
「障がい者にやさしいまち」を目指すことは、「すべての人に優しいまち」にしていくことであると私は考えております。誰もが当事者になりうる障がいや高齢による日常生活での困難や負担を軽減することは大きな課題です。また、当事者だけではなく、家族や支援者等の周囲の人に関わりをもっていただくことが必要であり、今後進めていく市の取組について、市民の皆様とも共有させていただき、理解を深めていただけるよう取り組んでまいります。
最後になりますが、市民の役に立つ所が「市役所」であります。「まちはだれのもの」という、初心を忘れず、「市民第一主義」を引き続き強く意識しながら、市民の皆様にとって本当に住みやすく、住んで良かったと思えるまちづくりに向けて、職員一丸となり市政運営に取り組んでいく決意を表明し、平成30年度の施政方針といたします。

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