平成31年度の市政運営に関し、私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1.はじめに
本年4月30日に天皇陛下がご退位され、平成26年度に本市をご訪問くださいました皇太子さまが翌5月1日にご即位されます。
新たな時代が始まるこのような大きな節目の年に、本市においても、市制施行70周年を迎えることから、市民の皆様とともに、大きく羽ばたく年にしていきたいと考えております。
さて、昨年は、地震や豪雨等、日本各地で大きな災害が発生した年でありました。これまで災害が少なかった本市においても、昨年8月に2度、昭和49年の「8.1水害」の雨量を上回る記録的豪雨が発生しましたが、過去の教訓を踏まえて実施した河川や水路の改修の効果や、東日本大震災の経験を活かして構築した全庁的な災害対応体制の成果もあり、人的被害を出すことなく乗り切ることができました。
しかしながら、住宅、道路、河川、農地、水道施設等、広範囲にわたる被害が報告されておりますので、今後も復旧に向けた取組を全力で行ってまいります。
明るい話題に目を向けますと、スポーツ界においては、テニスの「全豪オープン女子シングルス」で大坂なおみ選手が優勝を果たし、世界ランキング1位を獲得しました。また、卓球やバドミントンにおいても世界ランキング上位に名を連ねる選手が増えるなど、着実に若い選手の成長が感じられ、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックにおける日本選手団の活躍が大いに期待されています。このように若者が挑戦し続けることができる環境を整備することの重要性は、本市が目指す「希望のもてるまちづくり」にも共通することであり、その必要性を改めて認識したところです。
国際情勢をみますと、米国においては、トランプ政権による財政支出の拡大と減税政策による効果等から、個人消費や設備投資が拡大することによって、米国の景気を大きく押し上げています。
このような米国の経済成長が世界経済を牽引することが期待される一方で、米中貿易摩擦や中国経済の減速、英国のEU離脱の協議が難航していることなどが、今後の日本経済に及ぼす影響についても、引き続き注視していかなければなりません。さらには、米朝首脳会談の結果による日本の安全保障への影響にも注意を向ける必要があると考えております。
国内経済においては、内閣府によると、国外経済が緩やかに回復する中で、日本の輸出や生産は持ち直しが続き、東京オリンピック・パラリンピックに向けた内需の拡大により企業収益は過去最高となるなど、雇用環境と所得環境がともに改善されていることから、「緩やかな景気回復」が続くと予測されています。
一方、労働市場において、人材不足への懸念が高まっていることを踏まえ、現在、国による外国人労働者の受け入れ拡大に向けた体制整備が進められています。
県内の経済情勢をみますと、国内の景気拡大が緩やかに続くなか、県内景気は設備投資や個人消費が堅調で、所得環境も着実に改善するなど、「拡大・回復傾向」が続いており、今年1月の県内経済の総括判断においては、「緩やかに回復している」との判断が続いています。また、雇用環境は有効求人倍率が1.6倍を超えるなど、引き続き売り手市場となっており、この3月卒業予定の高校生を対象とした県内の有効求人倍率と内定率がともに高水準を維持しています。
県内の出来事に目を向けますと、昨年5月に世界最大規模のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジSAKE部門」が東北地方では初めて、山形県において開催され、本市を含む県内5会場でチャリティ試飲会を開催するなど、国内外に「美酒県やまがた」をアピールする機会となりました。また、7月には酒田港に海外の大型クルーズ船が寄港し、10月には県内の2つの空港と台湾との間で、過去最多となる144便の国際定期チャーター便が運航されるなど、インバウンド誘致による交流人口の拡大に大きな期待が寄せられています。
本市における新たな動きに目を向けますと、ユネスコ無形文化遺産に登録された、東北5つのまつり行事による「東北山・鉾・屋台協議会」が昨年10月に設立され、第1回の総会が今年8月の「新庄まつり」にあわせて本市で開催することが決定されました。「山・鉾・屋台行事観光推進ネットワーク」の取組とあわせて、まつり行事の保存と広域的な連携を図ることにより、国内外からのさらなる誘客を目指してまいります。
雪は、新庄の生活において避けることができないものであり、雪に対するマイナスイメージを多く聞くところではありますが、この雪を使ったアトラクションを体験することができる「雪国ワンダーランド」が冬期の観光資源として注目されています。近年は、インバウンド誘致の効果も大きく、海外からのお客様も増えるなど、雪国の魅力を発信することにつながっています。
また、今年の2月7日、8日の2日間において、「ゆきみらい 2019 in 新庄」が開催され、延べ1万4000人が来場したとの、主催者からの発表がありました。雪害救済運動発祥の地である新庄市から、克雪利雪技術の課題や雪に強いまちづくりの取組を全国に発信できたことは、大きな意義があったと考えております。
高速交通網の整備においては、東北中央自動車道の未着手区間であった「金山道路」が新たに事業化され、昨年の12月には「新庄金山道路」の起工式が行われるなど、全線開通に向けて大きく前進いたしました。また、「新庄古口道路」の戸沢村における津谷から古口までの区間が開通するなど、交通網の整備が進んでいます。今後、本市における物流ネットワークをさらに強化していくため、昨年の道路法の改正により設けられた、優先的な整備が期待される新たな制度である「重要物流道路」の指定に向けて、関係機関と連携して取り組んでまいります。
公共交通の整備においては、「新庄市地域公共交通網形成計画」を策定し、地域の交通事業者とも協力しながら、持続可能で利便性の高い公共交通網の実現に向けた取組を行っております。昨年11月からは、新たに「市営バスまちなか循環線」の運行を開始しており、今後も、市民の皆様に快適に利用していただけるよう見直しも含めて、検討を行ってまいります。
公約として取り組んでいる「看護師養成所」の設置につきましては、2022年の開校を目指し、4月からは看護教員を加えた組織体制のもと、学生の募集や新たなカリキュラムへの対応、実習施設となる医療機関との調整等について具体的に取り組むとともに、「新庄最上定住自立圏構想」において、近隣町村や関係機関と連携を図りながら着実に進めてまいります。
山形県立新庄病院の改築整備につきましては、2023年度の開院に向けて準備が進められています。県立新庄病院はこの地域における重要な二次医療拠点病院でありますが、現在、本市においては、一次医療の分野で夜間休日診療所を運営するなど、連携を図っており、改築整備後においても、市民の皆様が安心できる医療体制の構築に向けて、関係機関とともに連携を図ってまいります。
また、東京オリンピック・パラリンピックを契機としたホストタウン推進事業につきましては、その後の交流も見据え、関係機関と連携を図りながら、取り組んでまいります。
以上、本市を取り巻く情勢を踏まえ、地域の活力を支える土台となる産業を振興し、雇用創出と所得向上につなげることにより、暮らしと定住の基盤を強固なものにしていかなければなりません。各分野の施策の強化充実を図り、市民の皆様とともに、諸課題の解決に向けて取り組んでまいります。
2.市政運営の基本的な考え方
本市を取り巻く社会情勢を踏まえ、平成31年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。
私は、これまで、「人行きかうまち」、「人ふれあうまち」、「人学びあえるまち」をまちづくりの基本理念として掲げてまいりました。それらは、まさに「地域基盤力」となるものであります。「経済力」、「地域力」、「教育力」を強化する施策を展開し、これらを結び合わせた「地域基盤力」の向上により、地域の魅力を最大限に引き出し、元気で、人に優しく、希望がもてる、「誰もが安心して暮らせる共生社会のまちづくり」に向けて取り組んでまいります。
「人行きかうまち」の実現に向けては、新庄が誇る伝統文化や食文化等の魅力を国内外に発信し、人と人との交流や他地域との交流を深めることで、交流人口の拡大を図ってまいります。さらに、若い人たちがこの地域で新たな文化の創造に挑戦できる基盤をつくるとともに、地域の経済活動を底上げするため、農業をはじめとする地場産業の振興と企業力の強化への支援に取り組み、市民所得の向上を図ることで、地域の「経済力」を強化してまいります。
「人ふれあうまち」の実現に向けては、少子高齢社会が進行するなかで、誰もが安全に安心して暮らせる地域にしていくため、この地域における大きな課題である雪の克服や災害への備えに向けた取組とあわせて、医療・福祉体制の充実や、地域コミュニティの活性化を促す取組の強化を図ることで、「地域力」を高めてまいります。
「人学びあえるまち」の実現に向けては、地域に根ざした学習活動を通じて、子どもたちに新庄の歴史、文化、自然等の理解を促し、さらに、地域の産業や企業を知ることによって、ふるさとへの誇りと愛着心を育むなど、未来の新庄を支える人材を育てる取組を推進することで、地域全体の「教育力」の向上につなげてまいります。
以上の3つの基本理念と「地域基盤力」を土台として、地域の良さを見つめ直し、自信と誇りをもてる「元気なまちづくり」を進めるとともに、「誰もが暮らしやすい 人に優しいまち」、若者が挑戦できる「希望のもてるまち」の実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。そのうえで、誰もが安全に安心して暮らし、社会参加しやすい「共生社会のまちづくり」にも取り組んでまいります。
3.市政運営の指針
次に、市政運営の指針についてでありますが、新庄市市民憲章に謳われている「先人の築きあげた伝統を重んじ、新庄市民であることに誇りをもち、愛する郷土を発展させる」ことを目指し、「新庄市まちづくり総合計画」と「行財政改革大綱」を基本に据え、財政規律を重んじながら、市政運営に取り組んでまいります。
はじめに、市政運営の基本指針となる「新庄市まちづくり総合計画」につきましては、平成32年度までを期間とし、「自然と共生 暮らしに活力 心豊かに笑顔輝くまち 新庄」を目指すべき将来像としております。「産業の振興」、「健康と福祉の充実」、「教育の振興」、「社会生活基盤の整備」、「環境の保全」の5つの分野において基本目標を掲げ、「市民協働」や「広域連携」等の手法を取り入れながら、「新庄市総合戦略」とともに、「暮らし、定住、未来創造」に向け、「雇用・交流の拡大」、「安全・安心の充実」、「子育て・人づくり」の3つの重点プロジェクトを軸に総合的な取組を推進してまいります。
次に、「行財政改革大綱」でありますが、「地域課題の解決を図る体制づくり」、「行政経営の効率化」、「行政課題の解決を図る組織体制づくり」、「持続可能な財政運営」の4つを基本目標に定め、市民サービスの向上に取り組んでまいります。
財政運営においては、これまでは、厳しい財政状況を克服するために、適正かつ効率的な除雪作業を行うための除雪管理システムの導入や、利息負担の軽減につながる地方債の残高の縮減等を行うとともに、内部管理経費の削減や投資的経費の抑制等に取り組んでまいりました。その成果として、財政状況の改善が図られたと考えております。
しかし、今後、少子高齢社会における社会保障費の増加等も予測され、さらに、義務的経費の増加により、経常収支比率は95%を超える高い水準で推移することが予測されることに加え、老朽化した施設等の改修や大型施設整備による投資的経費の増加も見込まれることから、引き続き財源を確保し、事務事業の選択と集中、業務の効率化を図りながら持続可能な財政運営に努めてまいります。
老朽化した施設につきましては、適切な配置と効率的な維持管理の実現に向けて、「新庄市公共施設最適化・長寿命化計画」を策定し、計画的に取り組んでまいります。
4.重要課題に対応した平成31年度主要事業
次に、地方創生に向けた戦略的な取組や、定住自立圏構想に基づく連携等、新たな行政課題に対応するための平成31年度の主要事業につきまして、まちづくり総合計画の3つの重点プロジェクトに沿って、概要を申し上げます。
はじめに、「雇用・交流拡大プロジェクト」ですが、重要課題とする「しごと」の創出につきましては、近年、新庄中核工業団地の分譲が進んでおり、昨年も新たな企業の立地が決定し、操業に向けた準備が進められるなど、雇用の場の拡大につながっています。しかしながら、工業団地で操業している企業においては、恒常的な人材不足が懸念されていることから、外国人労働者の雇用を増やす取組が進められており、本市としましても、教育環境の整備等、必要な対応を行うことにより、外国人の方にとって住みやすい地域にするとともに、市民の皆様が安心して生活できる環境整備についても検討してまいります。
また、若者が新庄で働きたくなるための地域の魅力の発信とあわせて、企業力の強化に向けた支援を推進するとともに、交流人口の拡大等により経済活動の活性化に取り組んでまいります。
企業力強化支援につきましては、市内企業の経営基盤の強化や事業規模の拡大に向けて、新たな取引先の獲得や販路の拡大を支援する「商談会出展補助事業」や企業における新製品・新技術の開発に向けた取組を支援する「新製品開発支援補助事業」を実施することにより、企業力の強化を促進してまいります。
人材の育成と確保につきましては、小中高生の年代から地元への就職に対する意識を醸成するための「地元定着型キャリア教育」に引き続き取り組むとともに、「人財育成推進・確保対策協議会」における取組と連携し、市外の高等教育機関に進学した若者に対して、本市で生活することや市内企業の魅力を伝えることにより、若者の地元定着の促進を図ってまいります。
また、市外に居住する学生や若者の市内企業への訪問や就職を促すため「ふるさと企業訪問奨励金事業」及び「学生トライアル雇用奨励金事業」に継続して取り組んでまいります。
農業の振興につきましては、農業者の減少や後継者不足、担い手の高齢化等により農業を取り巻く環境はさらに厳しいものになっております。そのため農業経営の基盤強化に向けて「担い手総合支援対策事業」を推進し、認定新規就農者に対する「農業次世代人材投資事業」とともに、「振興作物栽培研修モデル事業」を行うなど、担い手育成のための支援に取り組んでまいります。
平成30年度から行政による米の生産調整が廃止されたことにより、持続可能な水田農業の確立とともに、野菜や花き等の振興作物への転換や、土地利用型作物の振興を促進し、複合的な経営を支援する「水田農業経営確立対策事業」に取り組んでまいります。
「新庄そばまつり」が10回目を迎えることになりますが、今後も、新庄産そばのさらなる需要の拡大とともに、品質や収量の向上、栽培面積の拡大を目指してまいります。また、地元産農産物の加工販売に取り組む農業者と商工業者を増やしながら、商品のブランド化や販路拡大に向けた「6次産業化推進事業」にも引き続き取り組んでまいります。
各地域で組織した活動団体が主体となって行う農用地、水路、農道の保全活動を支援するため、「多面的機能支払事業」を継続して行うとともに、平成31年度からは市が民有林の活用に関わりながら、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理に取り組んでまいります。
交流人口の拡大に向けたインバウンド誘致を積極的に行ってきた成果により、年々、多くの外国人観光客に来訪いただいているところです。今後、また訪れたくなる地域にするために、最上郡在住の外国出身者の協力も得ながら、ボランティアガイドを組織化することとあわせて、外国人観光客に対するおもてなし意識を地域全体で向上させるとともに、受け入れ体制を強化するため、「外国人観光客案内体制整備事業」に取り組んでまいります。
エコロジーガーデンにつきましては、キトキトマルシェの開催等、交流の場となるイベントの実施により、市内外から多くの来場者を迎え、交流拡大の成果につながっております。今後も、第4期となる「エコロジーガーデン利用計画」に沿って、施設の耐震補強改修工事等の保存に向けた取組を行うとともに、国登録有形文化財としての魅力を発信し、さらなる活用に努めてまいります。
次に「安全・安心充実プロジェクト」ですが、近年、日本各地において自然災害が多数発生していることを踏まえ、国においては、国土強靭化に向けた取組が強化されているところであり、本市においても、国や県と連携しながら、安全・安心の充実に向けた取組を強化してまいりたいと考えております。
本市において、雪対策は、最も重要な地域課題であります。道路の除排雪につきましては、これまでも力を入れて取り組んできたところであり、昨年度からは、市のホームページにおいて除雪車の運行状況をリアルタイムで確認できるシステムを導入するなど、市民サービスの向上のための取組を行ってまいりました。今後も、迅速な除排雪作業に努め、雪による不安のない生活ができるよう取り組んでまいります。そのうえで、高齢社会における雪への不安が増大していることを踏まえ、新たな雪対策制度の導入に向けた検討を行ってまいります。
雪に強い安全で快適なまちの実現に向けて、地吹雪等による視界不良の改善を図るため、「泉田二枚橋線」の防雪柵設置事業を継続して行ってまいります。また、新庄市総合雪対策基本計画に基づき、「沖の町・中山町線」の流雪溝整備を行うとともに、「北本町南本町線」の西側歩道における無散水消雪施設の整備を実施してまいります。あわせて、「金沢地区外流雪溝用水導入事業」も継続して行うことにより、最上川揚水による流雪溝水源の安定化を図ってまいります。
上水道事業においては、安全・安心な水道水を供給するため、老朽化した管路を計画的に更新してまいります。また、安定した企業経営を行うために、漏水調査等の有収率向上対策を実施し、料金体系の公平性と透明性を図りながら、次期料金改定に向けた検討を行ってまいります。
下水道事業につきましては、計画的な経営基盤の強化を図るため、2020年度から「地方公営企業法」が適用されることとなります。現在、導入に向けて準備を進めておりますが、経営状況等を明らかにすることにより、市民の皆様のご理解をいただきながら、今後も持続可能なサービスの提供を行ってまいります。
安全・安心に通行することができる道路環境の整備に向けて、道路施設の計画的な補修・更新を行い、適切に維持していくため、「道路長寿命化事業」を推進してまいります。また、昨年の豪雨によって被災した市道や河川につきましては、早急な復旧に努めてまいります。
今後、想定される災害に備え、市民の皆様の安全を守るため、迅速かつ確実に災害情報をお伝えできる体制の構築に向けて、当初は、2カ年での実施を予定していた「デジタル防災行政無線」の市内全域への整備を1年前倒しし、平成31年度に設置を完了いたします。また、平時から市民の皆様に災害リスクのある場所を認識していただくため、ハザードマップを作成し、災害が発生した際にも、適切な避難行動ができるよう周知を図ってまいります。さらに、災害時の避難所等における電源の確保等、市民の皆様の安全・安心の確保に向けた仕組みづくりの検討を行ってまいります。
地域コミュニティによる防災体制の充実につきましては、自主防災組織の組織率向上と組織の育成を推進するため、設立説明会や研修会等を実施してまいります。さらに、災害時の避難に支援を要する方の名簿を更新し、自主防災組織と連携を図りながら、災害時に速やかな対応ができるよう取り組んでまいります。
高齢者福祉及び障がい者福祉の分野においては、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に向けて、高齢者に対する生活支援等を行う「在宅老人福祉事業」や障害者移動手段確保事業等の「障害者福祉事業」を推進してまいります。また、平成28年に障害者差別解消法が施行され、本市においても「障がい者にやさしいまちづくり」に向けて、新庄市職員対応要領を策定いたしました。平成31年度においては、障がい者等に対する合理的な配慮ができるよう「新庄市サポートマーク」を新たに作成することで、職員一人ひとりが自ら考えて行動できるよう、意識の醸成を図ってまいります。さらに、障害者差別解消法の趣旨に沿った取組を行っていくために、地域の関係機関と協議を行いながら課題を整理し、条例の制定に向けて、取り組んでまいります。
誰もが元気でいきいきと暮らしていくためには、健康づくりが重要であることから、特定健診やがん検診の受診率向上のための受診勧奨の取組を今後も継続的に実施してまいります。
また、社会的不安等により、自殺に追い込まれることのない新庄市を実現するために、「いのち支えあう新庄市自殺対策計画」を策定し、関係団体と連携しながら、地域と一体となった取組を行うことで自殺防止対策を総合的に推進してまいります。
市営バス事業においては、平成31年度から回数券を導入するとともに、「土内線及び芦沢線」の使用料引き下げや自由に乗り降りすることができる区間を設定するなど、利便性を高める取組を行ってまいります。今後とも、安心して利用できる地域公共交通を目指し、市民の皆様からのご意見を取り入れながら進めてまいります。
最後に「子育て・人づくりプロジェクト」ですが、少子化という大きな課題の中で、将来を担う子どもたちは、まさに地域の宝です。子育ては、家庭だけが行うものではなく、地域で育てるといっても過言ではありません。また、ふるさとへの愛着心は地域とのつながりの中から生まれてくるものであることから、地域の中で安心して出産や子育てができる環境の整備を行うとともに、この地で育った子どもたちが、ふるさと新庄に誇りをもつことができるよう取り組んでまいります。
国では、本年10月から、全世代型の社会保障制度の構築に向けて、子育て世代に大胆に財源を投入して行う「幼児教育の無償化」への準備を進めているところです。このような負担軽減策は、少子化対策における重要な取組であり、本市においても、全ての子どもが平等で質の高い幼児教育を受けることができる環境の整備を着実に進めてまいります。
子ども子育て支援新制度を適正に運用するため、「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、昨年4月に「子育て世代包括支援センター」を開設いたしました。妊娠期から子育て期にわたり、切れ目のない相談支援体制を構築し、産前産後の支援の強化や子育てに対する不安を解消する取組に加えて、新たに新生児聴覚検査費用の助成を行ってまいります。さらに、「子ども・子育て支援事業計画」につきましては、現在、育児をめぐる環境や利用しているサービス等に関するニーズ調査を行っております。平成31年度においては、この調査結果をもとに、2020年度からの新たな5カ年計画となる第2期「子ども・子育て支援事業計画」を策定し、市民の皆様がより利用しやすいサービスが実施できるよう検討してまいります。
仕事と家庭の両立と、安心して子育てができる環境の整備に向けて、「地域子ども・子育て支援事業」を推進するとともに、子育てにおける経済的な負担を軽減するため、「第3子以降児童の保育料免除事業」や「子育て支援医療給付事業」に継続して取り組んでまいります。
また、障がい児を受け入れる民間立認可保育所が行う、障がい児の保育に係る保育士の配置に対して、財政的な支援を行う「障がい児保育支援事業」に新たに取り組むとともに、平成30年度から実施している保護者や保育士等への支援策である「ペアレント・プログラム」等、乳幼児期からの特別支援活動事業を継続することで、保護者や当該児童への支援だけでなく、保育事業全体の充実を図ってまいります。
この他、今後の需要を見据え、保育施設の受け入れ体制の見直しや放課後児童クラブの整備等を行ってまいります。
少子化の要因にあげられている未婚化や晩婚化に対応するため、未婚者のコミュニケーション能力向上を支援する「結婚活動支援事業」や、若者世代が本市での結婚や子育て生活をイメージするきっかけを創出する「結婚・子育てポジティブキャンペーン事業」に継続して取り組んでまいります。
本市への移住定住を促すため、子育て世帯や移住してきた若者の世帯等に対し、住宅取得に対する負担軽減を行う「若者世帯住宅取得支援事業」につきましては、平成31年度において、制度を拡充し、定住人口の拡大に向けた取組をさらに強化してまいります。
看護師を目指す若者の地元定着とあわせて、地域に必要とされる看護師を育成するため、2022年4月の開校を目指して「看護師養成所開設準備事業」を進めてまいります。
地域に根差した教育の推進につきましては、本市の特色である中学校区単位での小中一貫教育に向けた取組を進めており、平成31年度からは明倫学区において、2021年4月の開校に向けた義務教育学校の整備とともに、「明倫学区併設放課後児童クラブ」も一体的に整備してまいります。
今後も、一人ひとりにきめ細やかな指導を行うとともに、9年間で計画的かつ継続的な教育を行うことで、「夢を持ち、元気で才能豊かな、いのち輝く新庄っ子」を育成してまいります。
近年は猛暑により、学校現場における児童生徒の体調管理が難しくなっていることから、市内全校の普通教室にエアコンを設置し、学習環境を改善することで、児童生徒の安全を守るための取組を行ってまいります。
また、発達障がい等により学習や行動において著しい困難や、個別の問題を抱えるなど、集団に適応できない児童生徒が増えていることから、こうした児童生徒を支援するため、「個別学習指導員」及び「特別支援教育支援員」を配置するなど、学習の支援と学級全体の学習活動の充実を図ってまいります。
本市における外国語活動や英語教育の充実を図り、国際交流体験やコミュニケーション能力の育成を行う国際理解教育とあわせて、実用的な英語能力の向上を促進するため、ALTを配置する「国際理解教育推進事業」に継続して取り組んでまいります。
また、経年劣化による損傷が著しい国指定史跡「新庄藩主戸沢家墓所」につきましては、本市の貴重な歴史遺産を後世に引き継ぐため、保存活用計画に沿って計画的な補修を行ってまいります。
これら、3つの重点プロジェクトを推進するにあたり、引き続き「協働によるまちづくり」に取り組みます。「新庄市協働推進計画」に基づき、協働の主体である地域、団体や職員等における協働に対する意識の醸成を図りながら、積極的に協働事業に取り組むことができる仕組みづくりを行ってまいります。
また、これまでも、地域住民が主体となった地域づくりを目指すため、「地域づくり支援モデル事業」及び「地域づくり推進交付金」の制度を活用して、地域課題の解決に向けて取り組んでまいりました。近年は人口減少や少子高齢社会の到来により、地域住民同士のつながりが希薄になってきていることから、地域コミュニティの強化を図り、積極的に地域を牽引する次世代リーダーを育成するための「地域リーダー講座」を引き続き実施してまいります。
さらに、複数の町内会が協力して地域課題の解決に取り組むことができる、新たな組織の設立に向けた支援を強化してまいります。
5.おわりに
新年度を迎えるにあたり、市政運営に関する基本的な考え方と、主要な事業についての概要を申し上げました。
本年の4月30日をもって「平成」の時代が終わります。これまでを振り返りますと、バブル経済による好景気から始まったものの、その後のバブル経済の崩壊や新たな税制度となる消費税の導入、さらには金融破綻やリーマンショック等、日本経済を揺るがす大きな変動がありました。また、阪神・淡路大震災や東日本大震災、大型台風や局地的豪雨等、全国各地において、大規模な自然災害が相次いで発生しましたが、多くの支援やボランティアが復興の大きな力になりました。
本市における30年を振り返りますと、平成の幕開けに市制施行40周年を迎えました。
平成4年には、国道47号亀割バイパスが完成し、その年に「べにばな国体」が開催され、本市では自転車、バドミントン、ボクシングの3競技において熱戦が繰り広げられました。その後、平成11年12月には、新庄・最上地域の悲願でもありました「山形新幹線新庄延伸」が実現され、新庄と東京が直通で結ばれたことで、多くの経済効果をもたらしました。
平成14年には、「地域高規格道路新庄酒田道路」の一部区間である新庄南バイパスが開通し、新庄中核工業団地への企業の立地が促進されるきっかけとなりました。また、この年には「やまがた花咲かフェア」が開催され、花と緑に囲まれて、多くの方との交流が生まれました。
平成26年には、「東北中央自動車道」の一部区間である「尾花沢新庄道路」の全線が開通し、本市における高速交通網の整備がさらに進みました。
そして、平成28年には、新庄市の誇りである「新庄まつり」がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界の宝として認められた喜びを市民の皆様と分かち合うことができました。
さて、5月1日からは元号が代わり、新たな時代の幕開けとなります。本市は、この節目の年に市制施行70周年を迎えることになりますので、市民の皆様とお祝いするとともに、今後のさらなる飛躍を目指してまいります。
私はこれまで、「元気」と「優しさ」があふれるまちづくりを進めるとともに、若い人たちがこの地域で夢を描き取り組むことができる「希望のもてるまちづくり」にも挑戦してまいりました。これからは、若い人たちが新たな文化を創造していく基盤をしっかりと提供していきたいと考えております。
昨年、「障がい者にやさしいまちづくり」を進めていくために、市役所が担っている業務の中で何ができるのかを考え、職員と意識を共有していくための一年にしていきたいと述べました。平成31年度は、この取組をさらに推進するために、職員の意識の醸成を図ってまいります。「障がい者にやさしいまち」を目指すことは、「全ての人に優しいまち」にしていくことであると、私は常に考えております。誰もが高齢者になれば、生活をする上で不自由を感じることが増えていくものです。全ての人が安全に安心して暮らせる社会を構築していくためには、様々な課題をひとつずつ解決していくことが必要であると考えております。そのためにも高い意識を持ち、掲げた目標に向けて、全力で取り組んでまいります。
最後になりますが、市民の皆様の役に立つ所が「市役所」であります。「まちはだれのもの」という初心を忘れず、「市民第一主義」を引き続き強く意識しながら、市民の皆様にとって、本当に住みやすく住んで良かったと思えるまちを目指して、職員一丸となり、市政運営に取り組んでいく決意を表明し、平成31年度の施政方針といたします。

このページに関する問い合わせ先
総合政策課
郵便番号:996-8501 山形県新庄市沖の町10番37号
ファクス番号:0233-22-0989
企画政策・デジタル推進係
電話番号:0233-22-2115
広報・地域づくり係
電話番号:0233-22-2116
システム統計係
電話番号:0233-22-2118
PDF・Word・Excelなどのファイルを閲覧するには、ソフトウェアが必要な場合があります。詳細は「ファイルの閲覧方法」を確認してください。