令和2年度の市政運営に関し、私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1.はじめに
昨年の5月1日に新天皇陛下が即位され、輝かしい「令和」という新たな時代の幕開けとなりました。このような記念すべき年に、本市においても市制施行70周年という大きな節目を市民の皆様と共に迎えられたことをとても喜ばしく思うとともに、新庄市の未来について考える貴重な一年となりました。
世界情勢では、年明け早々、米国とイランの対立により緊迫状態に陥った中東情勢ではありますが、武力衝突の危機は回避されたものの、イラン情勢の不安定化は、日本における原油の安定供給への影響が懸念されます。英国がEUから正式離脱し、米中貿易摩擦も「第1段階合意」が発効されたことにより、目下のところ不透明感は後退しましたが、未だにリスクは拭えず、今後の日本経済に及ぼす影響については引き続き注視していかなければなりません。
また、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡がりをみせ、感染による影響で中国経済が停滞したことにより、世界経済は大きな打撃を受け、中国と取引のある市内企業においても深刻な状況が続いております。
国内経済においては、内閣府によると、世界の景気は緩やかに回復しているなかで、日本の景気は輸出が弱含んでおり、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いております。また、新型コロナウイルス感染症による影響や消費税増税による消費者心理の低下、働き方改革による格差是正など様々な課題が日本経済の動向にどう影響するか注視する必要があります。一方、労働市場においては、深刻化する人手不足に対応するため、国全体で外国人労働者の就労を認める新たな在留資格「特定技能」を導入し、積極的な受け入れ態勢を進めております。
国では、将来にわたって「活力ある地域社会」の実現と、「東京圏への一極集中」の是正を目指すため、第1期総合戦略の成果と課題を踏まえ、昨年12月に「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。この総合戦略では、これまでの取組を発展させ、さらにSociety5.0「超スマート社会」の実現に向けた地方における未来技術の活用と、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けて持続可能な開発目標SDGsに取り組み、新しい時代の流れを力にしようとしております。本市におきましても、これらの取組を踏まえた政策の検討を行う一年にしてまいります。
昨年の秋に初めて日本で開催されましたラグビーワールドカップでは、日本代表は「ONE TEAM」をテーマに掲げ、強豪アイルランド、スコットランドを撃破する活躍で初の8強入りを果たし、日本中を熱狂の渦に巻き込みました。
本年は、スポーツ界最大のイベント、東京2020オリンピックが7月24日から、パラリンピックが8月25日から開催されます。
これに先立ち3月26日に、オリンピック聖火リレーが福島県をスタートし全国を回ります。本市もリレールートとして6月8日に決定していることから、それまでに新型コロナウイルス感染が終息し、当日、無事に聖火をつなぐことが出来ればと思います。
また、ホストタウンとしてオリンピックを契機に台湾のバドミントン競技団体との相互交流を深めることで、この地域におけるスポーツの競技力向上と、本市の魅力を発信する絶好の機会と捉え、活力ある地域づくりにつなげてまいります。
さて、近年、日本各地で地震や豪雨といった自然災害による被害が多数発生しております。県内におきましても、昨年6月に本県沖を震源とする地震が発生し、鶴岡市の沿岸部を中心に家屋の損壊が見られました。また、10月には台風19号の猛威により全国でも多くの被害に見舞われ、県内でも冠水・浸水被害が発生しました。
本市におきましては、大きな被害はありませんでしたが、近年常態化する異常気象・自然災害は、地球温暖化による気候変動が大きな影響を与えていることにほかなりません。私たち自身が子どもたちの未来のために、この問題をどう考え、どう行動すべきか非常に重要になってくるものと思っております。
また、先月の初めから市内防災無線の試験運用を開始したところですが、今後起こり得る災害に備えるため着実に準備を進めてまいります。
県内の経済情勢は、1月に「大沼デパート」が破産したことにより、山形県のシンボル的百貨店が無くなったことは、私たちにとって大きな衝撃でした。県内ではその影響が拡がりをみせ、対策に動いておりますが、新庄市におきましても従業員や関連する市内取引企業に対し、県やハローワークと連携し支援をしてまいります。
山形県立新庄病院の移転改築につきましては、令和5年度の開院に向けて、いよいよ準備が本格化してきます。新病院に機能移転される夜間休日診療所とあわせ、地域の医療体制が充実することで市民の皆様が安心して暮らせる環境が整備されるものと期待しております。また、移転に伴い、緊急車両がスムーズに進入ができるよう国道13号線の4車線化について、国に要望してまいります。
県では昨年の12月に、農林業の未来を担う高度人材の育成に向けた専門職大学を本市に設置する方針を示しました。本市といたしましても、大学設置を契機とし地域活性化につながるよう、協力・支援を検討してまいります。
本市におきましては昨年、市制施行70周年を迎え、記念式典では、松田甚次郎の朗読劇が大変好評を得ました。さらに記念写真展においては、昔の街並みの写真を懐かしむ方が多くみられ、また、数多くの記念事業と趣向を凝らした市民提案事業により、市民の皆様と一緒に70周年のお祝いを盛り上げることができました。
天候にも恵まれた新庄まつりは、土日開催の好条件が重なったことと、市民の皆様の心からのおもてなしの効果もあって、過去最高の56万人を超える人出となりました。山形新幹線の新庄延伸から20年が経過したこととあわせ、今後さらに国内外からの誘客や交流を拡大するために、情報発信と受皿体制の整備について推進してまいります。
地方新聞46紙と共同通信が実施している「第10回地域再生大賞」で、「キトキトマルシェ」を実施する取組が評価され、新庄市エコロジーガーデン交流拡大プロジェクト実行委員会が奨励賞を受賞しました。今後も、地方と都市との交流を深め、ますます地域の活性化に寄与することを期待しております。
道の駅建設につきましては、第一段階でエコロジーガーデンに設置の調査検討をしてまいります。また、第二段階として、高規格道路の延伸に伴う県北への誘客に向けた受け入れ態勢の整備について8市町村で協議を重ねてまいります。
温泉施設につきましては、本合海地区の旧新庄温泉に開設される民間施設が、「今春開業」とお聞きしております。
令和3年4月開校に向け、本市において2校目となる義務教育学校「明倫学園」の建設が昨年から本格着工いたしました。本市が推進する小中一貫教育と「明倫学園」の開校に向けて、関係機関と連携を図りながら着実に進めてまいります。
全国815都市を対象とした民間調査会社による「2019住みよさランキング」では、評価指標が大幅に変更になったものの、人口当たり大規模小売店店舗面積や飲食店数、小売販売額といった利便度の高さなどから、全国で71位、東北では3位、山形県内では第1位にランキングされました。この評価を本市の強みととらえ、市民の皆様が満足して住み続けられるよう、全力でまちづくりに取り組んでまいります。
以上、本市を取り巻く情勢を踏まえ、地域の活力となる産業の振興と雇用の創出、そして所得向上につなげることにより、暮らしと定住の基盤を強固なものにしていかなければなりません。各分野の施策の充実強化を図り、市民の皆様とともに、諸課題の解決に向けて取り組んでまいります 。
2.市政運営の基本的な考え方
先に述べた社会経済情勢を踏まえながら、令和2年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。
私は、これまで、「人行きかうまち」、「人ふれあうまち」、「人学びあえるまち」をまちづくりの基本理念として掲げてまいりました。その実現に向けて、「経済力」、「地域力」、「教育力」を強化する施策を展開し、これらを結び合わせた「地域基盤力」の向上により、引き続き地域の魅力を最大限に引き出し、元気で、人にやさしく、希望が持てる、「誰もが安心して暮らせる共生社会のまちづくり」に向けて取り組んでまいります。
「人行きかうまち」の実現に向けては、新庄が誇る伝統文化や食文化等の魅力を発信し、人や他地域との交流を深め、地域の経済活動を底上げするため、農業をはじめとする地場産業の振興と企業力の強化支援に取り組み、雇用の創出と市民所得の向上を図ることにより、地域の「経済力」を強化してまいります。
「人ふれあうまち」の実現に向けては、少子高齢社会において、誰もが安全・安心に暮らしていくため、この地域における大きな課題である雪の克服や自主防災組織といった災害への備えに向けた取組とあわせ、医療・福祉体制の充実、地域コミュニティを活性化させることにより、「地域力」を高めてまいります。
「人学びあえるまち」の実現に向けては、小中一貫教育の推進を図るとともに、地域に根ざした子どもたちの学習活動を通じて、新庄の歴史や文化、自然への理解を促し、ふるさとへの誇りと愛着心を育むほか、地域の産業や企業を知ることによって、未来の新庄を支える人材を育てる取組を推進してまいります。さらに若い人たちがこの地域で新たな文化創造に挑戦できる基盤をつくることにより、地域全体の「教育力」の向上につなげてまいります。
以上の3つの基本理念と「地域基盤力」を土台として、地域の良さを見つめ直し、自信と誇りをもてる「元気なまちづくり」を進めるとともに、誰もが暮らしやすい「人にやさしいまち」、若者が挑戦できる「希望のもてるまち」の実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。そのうえで、「障がい者にやさしいまちづくり」にも取り組んでまいります。
3.市政運営の指針
次に、市政運営の指針についてでありますが、新庄市市民憲章に謳われている「先人の築きあげた伝統を重んじ、新庄市民であることに誇りをもち、愛する郷土を発展させる」ことを目指し、「新庄市まちづくり総合計画」と「行財政改革大綱」を基本に据え、財政規律を重んじながら、市政運営に取り組んでまいります。
はじめに、市政運営の基本指針となる第4次新庄市振興計画「新庄市まちづくり総合計画」につきましては、「自然と共生 暮らしに活力 心豊かに笑顔輝くまち 新庄」を目指すべき将来像とし、「産業の振興」、「健康と福祉の充実」、「教育の振興」、「社会生活基盤の整備」、「環境の保全」の5つの分野において基本目標を掲げ、「市民協働」や「広域連携」等の手法を取り入れながら、「新庄市総合戦略」とともに、「暮らし、定住、未来創造」に向け、「雇用・交流の拡大」、「安全・安心の充実」、「子育て・人づくり」の3つの重点プロジェクトを軸に総合的な取組を推進してまいります。
また、令和2年度は第4次新庄市振興計画の計画期間最終年度にあたります。これまでの成果や「住みよさランキング」県内第1位という評価を踏まえながら、新たなまちづくりの指針となる総合計画の策定に向けて取り組んでまいります。
次に、行財政改革につきましては、「第6次行財政改革大綱」に基づき、「地域課題の解決を図る協働体制づくり」、「行政経営の効率化」、「行政課題の解決を図る組織体制づくり」、「持続可能な財政運営」の4つを基本目標に掲げ、市民サービスの向上に取り組んでまいります。
財政運営につきましては、これまで厳しい財政状況を克服するために、地方債残高や利息負担の軽減に努めるとともに、内部管理経費の削減、投資的経費の抑制等に取り組んでまいりましたが、平成30年度決算におきましては、経常収支比率が92.6%になるなど財政の弾力性という面では、まだ課題を抱えていると言えます。
今後も少子高齢社会における扶助費や大型施設整備に係る公債費などの義務的経費に加え、老朽化した施設等の改修費の大幅な増加が見込まれることから、引き続き財源確保に努め、事務事業の選択と集中、業務の効率化を図りながら持続可能な財政運営に努めてまいります。
4.重要課題に対応した令和2年度主要事業
次に、まちづくり総合計画の3つの重点プロジェクトに沿って、令和2年度の主要事業の概要を申し上げます。地方創生に向けた戦略的な取組や、定住自立圏構想に基づく連携など、引き続き行政課題へ対応するための各種事業に取り組んでまいります。
はじめに、「雇用・交流拡大プロジェクト」ですが、重要課題とする「しごと」の創出では、恒常的な人材不足が懸念されていることから、若者が新庄で働きたくなるための地域の魅力発信と外国人労働者の受け入れ態勢整備とあわせ、企業力強化に向けた支援を推進するとともに、交流人口の拡大等により経済活動の活性化に取り組んでまいります。
企業の人材育成と確保につきましては、小中高生の年代から地元企業への就職に対する意識醸成を図るため「地元定着型キャリア教育」に引き続き取り組みます。さらに、「人財育成推進・確保対策協議会」と連携し「若者の地元定着・回帰促進プロジェクト」を実施することで、市外の高等教育機関に進学した若者等に対して、市内企業の魅力を伝えることにより、若者の地元定着促進を図ってまいります。また、外国人労働者に対する日本語教室の開催に向けて努力してまいります。
企業力強化支援につきましては、企業における新製品・新技術の開発に向けた取組を支援する「新製品開発支援補助事業」や市内企業の経営基盤強化や事業規模の拡大に向けて、新たな取引先の獲得や販路の拡大を支援する「商談会出展補助事業」を実施することにより、企業力の強化を促進してまいります。
農業振興につきましては、担い手の高齢化や後継者不足による農業者の減少など、農業を取り巻く環境はさらに厳しいものになっております。そのため農業経営の基盤強化に向け「担い手総合支援対策事業」を推進し、担い手が農業用機械等を導入し、規模を拡大する際に支援する「強い農業・担い手づくり総合支援事業」とともに、認定新規就農者に対する「農業次世代人材投資事業」を行うなど、担い手育成のための支援に取り組んでまいります。
米の生産調整が廃止されたことにより、持続可能な水田農業経営を確立するために、野菜や花き等の園芸振興作物への転換や、土地利用型作物の振興を促進し、複合的な経営を支援する「水田農業経営確立対策事業」を強化してまいります。
全国のねぎ産地が一堂に会し、ねぎの魅力を全国に発信するとともに、産地間連携を目的とした「全国ねぎサミット」を新庄市で10月に開催します。開催に向けた受け入れ態勢の整備と全国的な「ねぎの産地」としての機運醸成を図ってまいります。
また、6次産業化推進協議会において事業者と関係者が一体となって商品開発、販売力向上に取り組むとともに、新規実践者の掘り起こしと商品のブランド化や販路拡大に向けた「6次産業化推進事業」を引き続き実施してまいります。
各地域で組織した35の活動団体が行う農用地や水路、農道の保全活動を支援するため、「多面的機能支払事業」を継続して行ってまいります。
また、森林環境譲与税を活用し、林業の持続的かつ健全な発展、森林の公益的機能の発揮等を図るために、必要な機械設備の整備等に対する支援と市が民有林の活用に関わりながら、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を行う「林業振興行政事業」に取り組んでまいります。
インバウンド誘致を積極的に行ってきた成果により、平成30年には、3,600人あまりの外国人観光客が本市に来訪いただいております。今後、さらに増加が見込まれる外国人観光客の受け入れ態勢強化を目的に、郡内在住の外国出身者の協力も得ながら、ボランティアガイドの組織を強化し、外国人観光客の利便性を図るとともに、おもてなし意識を向上させるため「外国人観光客案内体制整備事業」に引き続き取り組んでまいります。
キトキトマルシェの人気が拡がることにより、エコロジーガーデンは交流の場として市内外から多くの来場者を迎えるようになりました。これまで「第4期エコロジーガーデン利用計画」に沿って、旧第4・第5蚕室の耐震改修と活用を図ってまいりましたが、今後も施設の保存に向けた改修工事等を行うとともに、国登録有形文化財としての魅力を発信し、さらに道の駅としての利活用も検討してまいります。
次に「安全・安心充実プロジェクト」ですが、本市において克雪対策は最も重要な課題として捉えております。本年は記録的な少雪でその実感が湧かないところでありますが、市民生活における「雪」に対する不安を払しょくするとともに、安全・安心な生活ができるよう引き続き強化してまいります。
市道の除排雪につきましては、GPSを利用した効率的な除排雪体制を構築したことにより、市民サービスの向上へとつながっております。今後も、迅速な除排雪作業に努め、雪による不安のない生活ができるよう取り組んでまいります。具体的には、高齢者住宅の間口除雪や冬期の通学路等の安全確保に向けて、歩道除雪を引き続き実施してまいります。
雪に強い安全で快適なまちの実現に向けて、「新庄市総合雪対策基本計画」に基づき、流雪溝の整備や水源の確保と安定化を図るとともに、散水・無散水消雪道路の整備として「北本町南本町線消雪整備事業」と防雪柵の整備として「泉田二枚橋線整備事業」を推進してまいります。
また、道路施設の計画的な補修更新を行い、長寿命化を図るとともに、長期間未着手となっている都市計画道路の見直し検討を含め、適正な道路維持管理と安全確保に努めてまいります。
水道を取り巻く環境は大きく変化しており、将来を見据えて策定した「新庄市水道ビジョン」は、令和2年度が計画期間最終年度にあたることから、次期「水道ビジョン」の策定に向けて準備を進めてまいります。また、これまでの用途別料金体系から口径別料金体系への移行を含めた水道料金の見直しを進めるとともに、安全・安心な水道水の供給に努めてまいります。
下水道事業につきましては、令和2年度から「地方公営企業法」が適用されることから、計画的な経営基盤の強化を図るとともに、生活排水処理施設の普及率の向上のため、合併処理浄化槽設置整備の普及促進と豪雨による浸水対策として雨水管渠建設整備を強化してまいります。
近年は毎年のように、日本各地で自然災害が発生しており、本市におきましても国や県と連携しながら、災害に強いまちづくりに取り組んでまいります。
災害が発生した際は、まず自らの命を守る「自助」、そして隣近所や各地区における「共助」による取組が重要になってきます。そのため、自主防災組織の組織率向上と組織の育成を推進する設立説明会や研修会等を実施し、地域コミュニティによる防災体制の強化を図ってまいります。さらに「非常備消防運営事業」として、消防団員が安全に活動するための装備品の配備と「消防施設整備事業」として、小型動力ポンプや積載車等、消防団が活動時に使用する資機材を計画的に更新し、市民の皆様の安全を守るため、想定される災害に備えてまいります。
また、地球温暖化に対して、私たちが自ら行える対策として、「容器包装リサイクル事業」や「ごみ減量化対策事業」の強化に努めてまいります。
高齢者による交通事故発生件数が年々増加傾向にあります。令和2年度からは運転免許証を自主返納した方にタクシー券等を交付し、自主返納しやすい環境を整備するとともに、高齢運転者の事故防止対策に努めてまいります。
「人生100年時代」を迎え健康寿命延伸の重要性が叫ばれております。健康寿命を伸ばしていくために、健康づくりの推進とともに、特定健診やがん検診の受診率向上のための受診勧奨を積極的に行いながら、健康に対する意識を高めてまいります。
また、看護師養成所開設を中止したことにより、喫緊の課題である「看護師確保対策」として、看護師の地元回帰と定着を促進するための有効な方策を構築してまいります。
「新庄市地域福祉計画」をはじめとした福祉関連計画の策定に向けて、国の動向も踏まえながら、関係機関とともに地域状況に合った福祉施策を進めてまいります。
また、障がい福祉の分野では、「障害者移動手段確保事業」のうちタクシー券と給油券の交付対象を拡大し、さらなる社会参加を促進するほか、「障害者差別解消法」の趣旨を広く地域に伝え、障がいの有無に関わらず安心して暮らせる共生社会を実現するため条例の制定に向け取り組んでまいります。さらに、手話言語条例の制定についても検討してまいります。
市営バス事業においては、満70歳以上の方と高校生の使用料を引き下げるとともに、「芦沢線」と「まちなか循環線」の一部路線の変更と運行ダイヤを改正し、より利便性の向上を図るなど、市民の皆様からのご意見を取り入れながら、安心して利用できる地域公共交通を目指してまいります。
最後に「子育て・人づくりプロジェクト」ですが、将来を担う子どもたちは、地域の宝としてかけがえのない存在であり、安心して出産や子育てができる環境こそが、ふるさとへの愛着や誇りが育まれるものと信じております。そして少子化という大きな課題の克服に向けて、子育てしやすいまちづくりに取り組んでまいります。
子ども子育て支援新制度を着実に運用するため、「第2期子ども・子育て支援事業計画」に基づき、妊娠期から子育て期までの様々なニーズに対し、切れ目のない相談支援体制を構築するとともに、産前産後の支援強化や子育てに対する不安を解消する取組に加え、仕事と家庭の両立と、安心して子育てができる環境の整備に向けて、「地域子ども・子育て支援事業」を継続してまいります。
新たな子育て支援の取組として、子育てにおける経済的な負担を軽減するため、「第2子の保育料半額免除事業」、「病児保育事業利用料半額助成事業」を実施してまいります。また、「わらすこ広場」の無料化や市内体育施設の小中学生無料化なども実施してまいります。
さらに、ひとり親家庭等を対象とした「子どもの生活・学習支援事業」を行うとともに、新庄小学校をはじめとする放課後児童クラブの整備や子どもの居場所づくりである「子ども食堂支援事業」を推進してまいります。
この他、発達に課題を抱える児童の保護者や保育士等への支援策である「ペアレント・プログラム」等、乳幼児期からの特別支援活動事業を継続することで、保護者や当該児童への支援だけでなく、保育事業全体の充実を図ってまいります。
働きやすい環境の整備に向けては、育児休業の取得や就学前児童を養育する女性の雇用など、子育て支援に意欲的に取り組む企業を応援する「子育て応援企業支援事業」を継続して取り組んでまいります。
本市への定住を促すため、子育て世帯や移住してきた若者の世帯等に対し、住宅取得に要する経費の一部を助成する「若者世帯住宅取得支援事業」につきましては、移住世帯に対し加算額を増やすなど制度を拡充し、定住人口の拡大に向けた取組をさらに強化してまいります。
地域に根ざした教育の推進につきましては、本市の特色である中学校区単位での小中一貫教育に向けた取組を進めており、義務教育学校「明倫学園」においては、令和3年4月開校に向けて着実に準備を進めるとともに、併設する「放課後児童クラブ」も一体的に整備してまいります。また、教育におけるICTを基盤とした先端技術等の効果的な活用が求められており、全国一律のICT環境整備のため、GIGAスクール構想の実現に向けた取組を進めてまいります。
学力の向上につきましては、専門性のあるアドバイザーを配置し、モデル校を対象とした「英語」の課題整理を行いながら助言・指導を行う「科目別スーパーバイザー配置事業」を展開してまいります。
また、学習や学校生活において著しい困難や、個別の問題を抱える児童生徒を支援するため、「個別学習指導員」及び「特別支援教育支援員」を配置するなど、学習の支援と学級全体の学習活動の充実を図ってまいります。
今後も、一人ひとりにきめ細やかな指導を行うとともに、9年間で計画的かつ継続的な教育を行うことで、「夢を持ち、元気で才能豊かな、いのち輝く新庄っ子」を育成してまいります。
本市の文化財保存事業につきましては、調査・点検・整備・指定を進め、国の重要文化財「旧矢作家住宅」、国指定史跡「新庄藩主戸沢家墓所」の屋根などは、経年劣化による損傷が著しいため、計画的に保存・改修を行ってまいります。
これら、3つの重点プロジェクトを推進するにあたり、引き続き「協働によるまちづくり」に取り組んでまいります。これまでも、地域住民が主体となった地域づくりを目指すため、「地域づくり支援モデル事業」及び「地域づくり推進交付金」の制度を活用して、地域課題の解決に向けて取り組んでまいりました。
近年は人口減少や少子高齢社会の到来により、地域住民同士のつながりが希薄になってきていることから、地域コミュニティの活性化に向けた取組として、地域活動を行う組織である「地域づくり協議会」の設立に向けた準備会を開催するとともに、地域活動を継続的に行うための仕組みづくりとして、地域づくり計画の策定を支援してまいります。
5.おわりに
新年度を迎えるにあたり、市政運営に関する基本的な考え方と、主要な事業についての概要を申し上げました。
この冬の例年にない記録的な少雪は、私たちの予想をはるかに超えるもので、雪を生業とする方々にとっては、厳しい冬となりました。
昨年、新たな「令和」という時代に入り、これまでの「便利さを求めた成熟社会」から「一人ひとりが輝き自分を表現する文化創造の時代」へと向かっております。若者がこの地域で夢を描き挑戦できる「希望のもてるまちづくり」を目指し、市民の皆様が新たな文化を創造していく基盤をしっかりと提供していきたいと考えております。
私は就任以来一貫して「元気」と「やさしさ」があふれるまちづくりに取り組んでまいりました。近年は、「障がい者にやさしいまちづくり」を政策のキーワードに掲げ、そのために市役所に何ができるのか、職員自身が自分の職務のなかで何ができるのかを常に考えるよう促しています。本市の重要課題である雪対策、医療・福祉の充実、子育て支援、教育の充実、高齢者支援、雇用創出といった課題を一つひとつ解決していくために、職員一人ひとりが、高い意識を持ち、掲げた目標に向けて全力で取り組んでまいります。
そして、全ての市民にとって「やさしいまち」「安心して暮らせる共生社会」の実現につなげてまいりたいと考えております。
最後に、市民の皆様の役に立つ所が「市役所」であります。「まちはだれのもの」という初心を忘れず、「市民第一主義」を引き続き強く意識しながら、市民の皆様にとって、本当に住みやすく住んで良かったと思えるまちを目指し、本市が令和という時代でさらに大きく羽ばたけるよう、職員一丸となり、市政運営に取り組んでいく決意を表明し、令和2年度の施政方針といたします。

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