令和3年度の市政運営に関し、私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、広く市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1.はじめに
昨年のこの時期から世界中で感染拡大をみせた新型コロナウイルスにより、世界保健機関でのパンデミック宣言を受け、多くの国でロックダウンや経済活動規制が繰り返し行われました。しかし、1年以上過ぎた今も依然として収束を見通すことができない状況にあり、世界の累計感染者は1億人を突破し、死者も200万人を超えております。
そのため世界経済も混乱を極め、国家間の対立や社会の分断・格差が生じるなど、現在も各国で深刻な状況が続いております。
そうした中、昨年12月にアメリカ大手製薬会社などで新型コロナウイルス感染症のワクチンが開発され、世界各国で接種が開始されました。日本政府も国民がワクチン接種を受けられるよう準備を進め、本年2月中旬から、医療従事者を先行して開始しております。
世界の動向を見ますと、大接戦となったアメリカ大統領選挙は、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏を押さえ、「国際協調路線への転換」を強調してきたバイデン氏が当選しました。これまでの「米国第一主義」の中で悪化した米中関係は貿易摩擦やハイテク技術にまで及び、バイデン大統領は就任式で「米国社会の融和と結束」を宣誓しており、その対応が注目されております。日本経済にもどのような影響を及ぼすか注視していく必要があります。
国内においては、昨年1月に新型コロナウイルスの初感染が確認されてから、感染者は40万人を超えております。
昨年4月、政府により「緊急事態宣言」が発せられ、国民の生活は一変し、ソーシャルディスタンスの確保や手洗い、マスクの着用といった個人でできる基本的感染対策や、「3密」の回避、新しい働き方のスタイルとしてテレワークの推奨など、「新しい生活様式」が実践されてきました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響はスポーツ界にもおよび、昨年開催予定だった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会も史上初めての延期となりました。そのほか、国内における各種大会でも中止や延期が相次ぎ、多くの選手が集大成の舞台を失い、涙を呑んでまいりました。
また、医療現場では多くの人命を救うために、日々懸命な治療にあたっており、医療従事者の皆様には深く感謝申し上げる次第です。
国内経済においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による外出自粛や休業・時短営業等で大きく冷え込みました。政府による持続化給付金や特別定額給付金に加えて、各自治体で独自支援を行うなど、この難局を乗り切るために多くの支援を行ってきておりますが、いまだに不安が増しております。特に飲食店や観光業界では甚大な影響を受けました。政府による「GoToEatキャンペーン事業」や「GoToトラベル事業」での消費喚起を促す施策で一時盛り返しをみせましたが、年末年始からの第3波と、再度発出された「緊急事態宣言」により、さらに深刻な状態に陥っています。そのため政府は、家計や企業の不安に対処するべく、73兆円を超える追加経済対策を閣議決定しております。
また、雇用情勢においても、求人倍率が弱い動きとなっており、先行きが不透明な状況にあります。
県内の動きをみますと、昨年の3月31日に新型コロナウイルスの初感染を確認してから徐々に拡大し、県下一斉の感染症拡大防止対策により一時落ち着きを見せたものの、再び増加傾向にあり、感染者は累計で500人を超えています。
現在も県内は「特別警戒レベル4」の状態にありますが、県内の景気を回復するため、1月下旬から部分的に「県民泊まって元気キャンペーン」と「やまがたGoToEatキャンペーン」が再開されております。
コロナ禍においても災害は容赦なく発生します。近年は毎年のように災害が発生し、昨年の7月も県内で記録的な豪雨に見舞われ、最上川をはじめ各地で河川が氾濫し、浸水被害や土砂崩れが相次ぎ、多くの方が避難を余儀なくされました。道路や河川、農業施設などの被害総額も、これまで県内で発生した風水害による被害としては過去最大のものとなりました。
こうした中においても、現在県では、東北、日本を牽引する農林業経営者を育成するため、新庄市に(仮称)「東北農林専門職大学」の開学を目指し準備を進めています。
昨年7月には、8市町村と農業関係団体で構成する「農林業専門職大学最上地域連携プロジェクトチーム」が設置され、臨地実務実習先の候補の取りまとめや、専門職大学と連携した地域振興策などについて検討が進められています。
本市におきましては、4月1日に市内初の新型コロナウイルスの感染者が確認され、現在まで、累計9名の感染者が確認されておりますが、市民の皆さまの感染症拡大防止対策の協力により、拡大を抑えることができております。市民の皆さま一人ひとりが感染症拡大防止に努めることが、大切な人を守ることにつながりますので、収束に至るまで引き続きご協力をお願いいたします。
本市では初感染が確認されてから、速やかに新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、これまで様々な対策を講じてまいりました。マスク不足の際は、市内縫製会社の協力を得て、いち早く市民にお届けしました。また、感染症拡大防止及び緊急経済対策として、昨年4月の第1弾から現在の第9弾まで、この未曽有の事態を乗り越えるために切れ目なく支援を行ってまいりました。現在本市では、本年1月14日に新型コロナウイルスワクチン接種対策室を設置し、市民が安心してワクチン接種ができるよう対策を進めております。今後も引き続き、市民の皆さまの安全・安心な暮らしを守っていくため、必要な対策を講じてまいります。
また、昨年7月の豪雨は、本市においても今までに経験したことがないほど最上川が増水し、危険が押し迫ったことから、畑地区、本合海地区に避難勧告を発令いたしました。避難所ではしっかりとした新型コロナウイルス感染症の対策を講じ、避難された方の不安を取り除くことに最大限の配慮をしながら、人命第一に対応してまいりました。人的な被害はなかったものの、畑地区と本合海地区の一部で浸水被害や崩落があり、今後ますます風水害の脅威にさらされることが予想されることから、有事の際も迅速な行動がとれるよう、体制の強化に努めていかなければならないと実感いたしました。
市民の誇りでもある「新庄まつり」も、新型コロナウイルス感染症の影響で、戦後初めて中止を余儀なくされました。そのような中でも、新庄まつり実行委員会の計らいで、8月24日の夜に告知なしの囃子演奏会が実施され、市民に祭り気分を届けてくれました。本年はぜひ、新庄まつりが開催され、市民の気持ちを盛り上げることができればと願っております。
暗い話題が多い中で、新庄市名誉市民である「人間国宝」奥山峰石氏の金工鍛金の技が、伝統工芸の匠の技と先進技術の融合を図るドイツ製高級車の内装に採用され、1月に国内で2台限定販売されるというニュースが飛びこみ、新庄市民として誇らしく感じました。
さらに、世界で初めて小惑星の岩石採取に成功した日本の小惑星探査機「はやぶさ2」のニュースは記憶に新しいところですが、その「はやぶさ2」のイオンエンジンの部品を供給している企業が、昨年5月より新庄中核工業団地で操業を開始しました。このことは、子どもたちに夢を与えるだけでなく、地元で働きたいと思う機運が益々高まってくるものと期待しております。
また、本市において2校目となる義務教育学校「明倫学園」が、本年4月に開校いたします。新しい学び舎の中で、本市が推進する小中一貫教育の実践研究を行いながら、地域に根差した学校づくりを着実に進めてまいります。
2.市政運営の基本的な考え方
以上、本市を取り巻く社会情勢を踏まえながら、令和3年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。
私は、これまで、「人行きかうまち」、「人ふれあうまち」、「人学びあえるまち」をまちづくりの基本理念として掲げ、その実現に向けて、「経済力」、「地域力」、「教育力」を強化する施策を展開してまいりました。これら3つの基本理念を結び合わせた「地域基盤力」の向上により、地域の魅力を最大限に引き出し、元気で、人にやさしく、希望が持てる、「誰もが安心して暮らせる共生社会のまちづくり」に向けて引き続き全力で取り組むとともに「障がい者にやさしいまちづくり」を推進してまいります。
また、本年からは「歴史を活用したまちづくり」を加速させてまいりたいと考えております。
私は、昭和は「成長」の時代、平成は「成熟」の時代であり、令和は、「文化創造」の時代へと向かっていると思っています。
2025年(令和7年)には「新庄藩初代藩主戸澤政盛公」が新庄城に入城してから400年を迎えます。藩政時代から城下町として栄えた本市は、新庄藩が国替えされなかったことから、新庄まつりを代表とする文化が、今日のまちづくりに脈々と受け継がれており、その意義は非常に大きなものがあります。本市には、お堀に囲まれた「新庄城跡」、「国重要無形民俗文化財」さらに「ユネスコ無形文化遺産」に登録された新庄まつりだけでなく、国指定史跡「新庄藩主戸沢家墓所」、国指定重要文化財「鳥越八幡神社」と「旧矢作家住宅」、また時を経て、旧農林省積雪地方農村経済調査所や旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎をはじめとした「国登録有形文化財」に登録された昭和初期の建造物も現存しております。これらをはじめとする歴史的な資源は本市の大きな財産であります。
本市の歴史的価値を再構築し、市内外へ発信することは、市民の本市への誇りと愛着の醸成につながるだけでなく、市外の方が本市に「訪れたい」「働きたい」「暮らしたい」といった機運を高めることにつながります。
そのため、新庄の歴史や文化を後世に伝えていくとともに、「城下町新庄」ならではの歴史的風致を活かしたまちづくりに取り組み、新たな「文化創造」を目指してまいります。
3.市政運営の指針
次に、市政運営の指針についてでありますが、市民憲章に謳われている「先人の築きあげた伝統を重んじ、新庄市民であることに誇りをもち、愛する郷土を発展させる」ことを目指し、「新庄市総合計画」と「行財政改革大綱」を基本に据え、財政規律を重んじながら、市政運営に取り組んでまいります。
令和3年度から令和12年度までの10年間を計画期間とした、市政運営の根幹である第5次新庄市総合計画を策定いたしました。
市民の声を聴きながらつくりあげたこの計画では、成熟社会を迎えた今、これまで以上に「自分らしく豊かに暮らすこと」が大切な時代になると捉えております。新庄市の目指すべき将来像を「住みよさをかたちに新庄市」とし、市民一人ひとりが心の豊かさを実感できるまちを目指して着実に計画を推進してまいります。
この将来像を実現するために、取り組むべきことをまちづくりの分野ごとに「子育て」、「教育」、「健康・福祉」、「産業」、「生活環境」、「都市基盤」の6つに分けて柱立てし、これらの施策を効果的・効率的に実施するために「シティプロモーション」と「行政経営」を横断的に展開してまいります。また、まちづくりにおける「重点課題」と「経営課題」の解決に向けた、全庁的に取り組むべきプロジェクトとして、「若者や子どもであふれるまちプロジェクト」、「市民が健康で元気なまちプロジェクト」、「持続可能で選ばれるまちプロジェクト」の3つの重点プロジェクトを推進してまいります。あわせて「第1期新庄市総合戦略」の取組を継続し、人口減少を抑制し定住人口の維持を目指していく「第2期新庄市総合戦略」により、総合的な取組を推進してまいります。
次に、行財政改革でありますが、これからの行政運営は、限られた行財政資源を活用しながら多様化・複雑化する行政課題へ柔軟に対応し、市民ニーズに即した良好な行政サービスを提供することで、市民満足度の高いまちづくりを進めることが求められております。
また、新たな「第7次新庄市行財政改革大綱」では、3つの基本方針、「効果的・効率的な行政システムの推進」、「活力ある組織と人材の育成」、「財政基盤の確立」を基本として、市民サービスの向上と行財政資源の確保に向けて取り組んでまいります。
財政運営につきましては、これまで厳しい財政状況に対応するために、地方債残高や利息負担の軽減に努めるとともに、内部管理経費の削減、投資的経費の抑制等に取り組んでまいりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後、税収が減少していくことが見込まれることから、一般財源の大幅な増加が見込めない中において、市政運営を停滞させることなく適切に対応しなければなりません。限られた財源を有効に活用しながら、財政構造の弾力性と財政運営の安定性・継続性を確保し、健全で持続可能な財政運営に努めてまいります。
4.重要課題に対応した令和3年度主要事業
次に、第5次新庄市総合計画に掲げる8つのまちづくりの柱、市全体で取り組む3つの重点プロジェクトに沿って、令和3年度の主要事業の概要を申し上げます。
はじめに、1つ目のまちづくりの柱「子育て子どもの笑顔があふれるまち」ですが、若い世代が結婚に対して希望を持ち、安心して妊娠・出産ができるように、結婚・妊娠・出産支援の充実を図ってまいります。そのため令和3年度から、新婚世帯に対し、結婚に伴う新生活のスタートに係る費用などを支援する「結婚新生活支援事業」を行ってまいります。
子どもたちが、安全で充実した保育環境の中で過ごせるよう、公立保育所の整備に向けた検討を進めるとともに、子育て家庭の多様な保育の希望に沿えるよう、多子世帯の保育料を軽減する事業や病児保育の利用料半額助成事業など、「子ども・子育て支援関連事業」に引き続き取り組むことで、子どもの教育・保育環境の充実を図ってまいります。また、すべての子育て家庭の相談に対応できる専門性をもった体制を整備し、関係機関との連携や情報提供を行いながら、必要な支援を行うことで、子どもが健やかに成長できるよう、新たに「子ども家庭総合支援拠点事業」に取り組んでまいります。
2つ目のまちづくりの柱「教育いのち輝き学びあうまち」では、児童生徒が意欲的に学びあい生きる力を身につけていけるように、心の教育の充実や生きる力を育む学力の育成として、学校におけるいのちの教育を推進してまいります。また、主体的・対話的で深い学びにつながる授業改善に取り組むとともに、児童生徒の健康と体力の向上を図り、社会を主体的に生き抜く力を育む学校教育の推進に力を入れてまいります。さらに、GIGAスクール構想で整備された一人一台のタブレット端末を活用して、学校教育の充実に力を入れてまいります。
また、「個別学習支援事業」に継続して取り組み、特別な配慮を必要とする児童生徒への支援体制を充実してまいります。
地域に根差した学校づくりを推進するために、本市の特色ある小中一貫教育や地域とともにある学校づくりを実践し、児童生徒が地域に関心を持ち、その良さを理解し、ふるさと新庄への愛着が育まれることを目指してまいります。
児童生徒が安全・安心に学校生活を送ることができるよう、教育環境の整備を行ってまいります。これまで冬季間、通学に路線バスを利用していた児童生徒に対し一部補助を行っておりましたが、令和3年度からは通年利用も含めて全額補助を行い、登下校の安全・安心の確保に努めてまいります。
生涯にわたる学習機会の提供や青少年教育・家庭教育の推進、地域と学校との連携を推進することで、生涯を通じて学びあう学習環境の充実を図り、学びを活かし社会的課題を自ら解決しようとする市民が増えることを目指してまいります。
優れた芸術や伝統文化に触れることで、市民の誇りや郷土愛が醸成され、多くの市民が心豊かに文化芸術活動に親しめるように、文化芸術の振興を図ってまいります。2025年(令和7年度)には戸澤氏が新庄城に入城してから400年を迎えます。「城下町新庄」の発展や歴史、「新庄まつり」の起源などを市民に再認識してもらい、今後のさらなる地域活性化につなげるため、令和3年度に実行委員会を設立し、記念事業を検討してまいります。また、旧雪調の保存活用計画策定に着手し、今後の施設の利活用に向けた検討を行ってまいります。
さらに、歴史的風致を活かしたまちづくりを推進していくため、「地域における歴史的風致の維持向上に関する法律」に定める「歴史的風致維持向上計画」を策定し、令和4年度中の認定を目指してまいります。
また本市の陸上競技場は、本年10月に4種公認期間満了となるため、4種公認の更新を行うために必要な施設改修を行い、活力あるスポーツ活動の推進と競技スポーツの振興を図ってまいります。
3つ目のまちづくりの柱「健康・福祉健やかでしあわせなまち」では、新型コロナウイルスワクチンの接種について、希望者全員が迅速かつ安全に接種を受けることができるよう、国や県、医師会など関係機関と連携し、接種体制を構築してまいります。また、生活習慣病の早期発見と重症化を予防するため、特定健診や各種検診の受診率向上と保健指導を充実させるとともに、新型コロナウイルス感染症拡大防止を図ることで、市民自ら健康づくりを実践していくことを目指してまいります。
必要な医療サービスをいつでも安心して受けることができるよう医療体制の充実を図ってまいります。令和5年秋の県立新庄病院の移転に向け、夜間休日診療所の機能移転に係る検討・協議を進めてまいります。
地域社会で孤立せずに地域コミュニティの一員としての「役割」や「生きがい」をもって暮らせる地域福祉コミュニティを推進し、多様化複雑化する市民の困りごとに対して包括的な相談体制の構築を図り、地域全体で支え合う共生社会の実現を目指してまいります。
高齢者が健康で生きがいをもって暮らすことができるように、高齢者の社会参画や安心して生活するための支援を充実してまいります。また、必要とする介護支援が安心して受けられるよう、介護予防と介護サービスの充実を図ってまいります。
障がい者が社会参画しやすい環境を整備するために、障がい福祉に係る相談支援事業や移動手段確保事業の拡充を進めてまいります。また、「障害者差別解消法」に基づき、障がいへの正しい理解と合理的配慮に対する普及啓蒙を行うことで、障がいを理由とする差別の解消の推進を図ってまいります。さらに、「手話言語条例」については令和3年度の制定を目指してまいります。
生活に困窮している市民が、必要な支援を適切に受けることで、安定的で自立した生活ができるよう、相談支援体制と自立支援の充実を図ってまいります。
4つ目のまちづくりの柱「産業活力あるまち」では、農業経営の持続的な発展を目指すため、農業生産力の強化として、旧最上中部牧場敷地を利用し、畜産振興の拠点と位置づけ、意欲ある農業者の牛舎建設など「畜産団地整備事業」を実施してまいります。また、付加価値が高い農産物の生産を振興し、収益性の高い農業が実践されるよう、大豆生産拡大に向けた意向調査を行うなど、農業所得の向上に努めてまいります。
地域農業を支える担い手を育成・確保するため、新規就農から農業経営の改善・発展までの一貫した支援を充実してまいります。
令和3年度からは、認定新規就農者の認定期間中において、就農に必要な農地の確保と農業用機械等の導入を支援する「新規就農支援事業」に取り組んでまいります。また、「人・農地プランの実質化」を進めるとともに、人・農地プランに位置付けられた中心経営体が、新たに農地を借り受け、経営規模を拡大する際に必要となる農業用機械や施設の導入を支援する「人・農地プラン推進中心経営体モデル事業」を展開してまいります。
農林環境の保全として、「ため池整備管理事業」や「林道等施設整備事業」により、整備と適正な維持管理に取り組んでまいります。
企業の生産性向上と売上額の増加を図るため、市内中小企業が行う試作品の開発や新サービスの創出を支援する「試作品開発・新サービス創出支援事業」に取り組んでまいります。また、高校生が参画する中心市街地活性化のための「中心市街地活性化推進事業費補助金」を交付し、若者の目線で行うまちづくりへの支援、商工業の育成を強化してまいります。さらに、「地域経済活性化商品券」を発行し、市民の消費を喚起することで、新型コロナウイルス感染症拡大で疲弊した地域経済の活性化を目指してまいります。また、コロナ禍においても安定的な雇用を促進していくために、「人財育成推進・確保対策協議会」と連携し、市内企業が就労先として選ばれるよう、特に若年層の人材確保に向けた取組を強化してまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大で大きく影響があった1つが観光です。感染症拡大で減少した市内への宿泊・滞在型の誘客を図るため、二次交通を利用し、市内の名所旧跡の回遊と飲食店等を利用できるように「市内名所旧跡めぐり事業」を期間限定で展開してまいります。あわせて、市内の旅館、ホテルに宿泊する宿泊者に対し、宿泊費用と市内の飲食店で消費する経費を助成する「市内宿泊消費喚起事業」を行ってまいります。
昨年、戦後初めて中止となった「新庄まつり」ですが、新庄まつり実行委員会では本年の開催に向け、いろいろな対策を講じながら実現できるよう検討と準備を進めております。沈み込んだ市民の気持ちを盛り上げるためにも開催に向けて協力してまいります。
また、道の駅基本構想に基づき、「道の駅整備事業」を前進させるため、エコロジーガーデンの活用整備にあわせて、新庄市独自の道の駅として登録を目指してまいります。また、高規格道路の延伸に伴う県北への誘客に向けた受け入れ態勢の整備については、県並びに8市町村で協議を重ねてまいります。
5つ目のまちづくりの柱「生活環境安全・安心で美しいまち」ですが、近年、局地的な集中豪雨や地震等による被害が全国的に発生しており、防災・減災への関心が高まっております。現在策定を進めております「新庄市国土強靭化地域計画」に基づき、大規模自然災害から市民の生命と財産を守り、持続的な成長を実現するため、事前防災及び減災等に向けた施策に、総合的・計画的に取り組んでまいります。また、行政として、「公助」の充実を図りながら、市民の「自助」、「共助」を主体とする自主防災組織の育成と活動支援を行うため、「自主防災組織育成補助事業」を強化してまいります。さらに、「非常備消防運営事業」として、消防団員が災害現場で安全に活動するための装備品を配備します。「消防施設整備事業」として、消防団が活動時に使用する資機材を計画的に更新することで、防災・消防体制の充実を図ってまいります。
交通事故や犯罪が起きにくい環境が整備され、市民が安全・安心に暮らすことができるよう、交通安全・防犯活動の推進に力を入れてまいります。その中で、高齢者の事故防止対策として「高齢者運転免許証自主返納支援事業」を引き続き実施してまいります。
生活環境の保全を推進するために、「第4次新庄市環境基本計画」に基づき、自然環境保全活動の推進や地球温暖化防止対策を講じることで、自然環境の保全に対する市民の意識醸成と良質な生活環境が維持されるよう努めてまいります。
循環型社会の実現に向け、ごみ減量化に向けた意識啓発と食品トレーリサイクルシステム事業「新庄もがみ方式」や、使用済み小型家電回収「しんじょうハートシール」事業を継続実施することで、廃棄物の再利用や再資源化を促進させ、廃棄物の減量化を図ってまいります。
6つ目のまちづくりの柱「都市基盤快適な暮らしを支えるまち」では、道路網の充実を図るため、日常的なパトロールや地域からの要望による市道の改修を行い、市道機能の維持保全に努める外、道路橋りょうの劣化状況を把握し計画的に維持更新を行うことで施設の長寿命化を図ってまいります。また、本年は新たに「市道一本柳檜葉沢線道路整備事業」を行い、快適かつ安全に移動できる道路環境の整備に努めてまいります。
昨年の少雪と変わって今シーズンは、年末年始にかけての大寒波の襲来などで大雪の日が続き、除雪作業に追われる日々が続きました。本市において克雪は長年の課題であり、その対策として冬季間の安全な交通確保と住民生活の維持を図るため、市道及び生活道路の除排雪の強化に努めてまいります。また、「新庄市総合雪対策基本計画」に基づき、流雪溝の整備として「桧町地区流雪溝整備事業」を行ってまいります。
安全・安心な住宅環境の促進として、居住環境の向上と移住定住促進を図るため、「住宅リフォーム補助事業」を行ってまいります。また、「空き家利活用促進事業」として、住宅セーフティネット制度を活用した住宅改修補助事業等の構築を進めるとともに、本市における住宅施策全般を対象としたマスタープランとして「住生活基本計画」の策定に向けて準備を進めてまいります。
コロナ禍において外出自粛が続く中、市営バスやまちなか循環線の運行には感染症拡大防止対策を講じたうえで、安全な運行に努めております。昨年から利便性を向上させるため、70歳以上の高齢者と高校生の利用料金を100円に減額したこととあわせ、運行経路等の見直しを行った結果、市営バス芦沢線においては大幅に利用者が増加しました。まちなか循環線においても高校生の通学に利用されるようになり増加傾向となっております。今後も乗り方教室など利用促進に向けた啓発を強化し、公共交通空白地域の解消に向け、地域の実情に合ったデマンド交通等の導入の検討を行いながら、地域公共交通の充実を図ってまいります。また、令和5年の県立新庄病院の移転にあわせて、定住自立圏共生ビジョンにおいて路線の変更に向けて関係機関と調整を図りながら進めてまいります。
人口減少社会においても、安全・安心な水道水を安定供給するため、本年10月を目途に、水道料金をこれまでの用途別料金体系から利用者の口径に応じた基本料金を設定する口径別料金体系へと見直しを行ってまいります。
また、畑地区における度重なる豪雨災害に対応するため、本合海大橋に配水管を設置し、県水を受水するための「本合海大橋橋梁添架詳細設計業務委託」を行うほか、エコロジーガーデンにおける下水道の計画区域編入や県立新庄病院の移転に伴う配水管及び汚水管の移設等工事を行ってまいります。
生活排水処理につきましては、新庄市における普及率が令和元年度で75.6%となっており、県平均を下回っていることから、下水道事業を始め、「合併処理浄化槽設置整備事業」により、引き続き普及率の向上を図り、生活排水の適正処理を目指してまいります。
7つ目のまちづくりの柱「シティプロモーション選ばれるまち」では、市内外へ本市の情報や魅力を広く伝えることで、市政への関心や参加意欲が高まり、本市への愛着や誇りが醸成されるよう、「伝わる」情報発信の充実に努めてまいります。また、本年は市公式ホームページを一新し、自治体間の情報競争の中で、「選ばれるまち」になるため、本市の知名度や認知度の向上、地域ブランド価値の向上に向けた「戦略的な情報発信」を行ってまいります。
昨年から新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「緊急事態宣言」が発出された影響により、ふるさと納税の寄附件数、寄附額とも大幅に増加しております。令和2年度の実績を踏まえ、これまでの返礼品に磨きをかけながら、新たな商品開発を行い、パンフレットの送付やメディアなどを活用し、市外に「市の魅力」が伝わる情報発信を行ってまいります。
令和3年度から移住・定住に向けた支援の充実を図るため、関係機関と連携し、若年者の就業支援や定住促進に向けた住宅の提供、移住促進のための情報発信の強化にも取り組んでまいります。
8つ目のまちづくりの柱「行政経営将来にわたって持続可能なまち」では、地域を地域で支える仕組みづくりとして、地域課題を解決するための仕組みを各地区につくり、将来的にはそれらを組織化することで、今後も安心して暮らせる地域社会の形成を目指してまいります。
また、新しい時代を担う職員の育成として、「第3期新庄市人材育成推進プラン」に基づき、人材育成推進体制の整備や多様な人材を活かした戦略的な組織運営などに取り組み、時代の変化を捉え、広い視野を持ち、市民の視点に立ったまちづくりが行える職員を育成してまいります。
効果的・効率的な行財政運営を目指すため、「第7次新庄市行財政改革大綱」や「新庄市中期財政計画」などの個別計画に基づき、業務の効率化や健全な財政運営に向け取り組んでまいります。本年は、デジタル化の推進に関する計画の策定と並行し、行政のデジタル化の推進を図ってまいります。
これら8つのまちづくりの柱の事業とあわせ、まちづくりにおける「重点課題」と「経営課題」の解決に向け、3つの重点プロジェクトに全庁的に取り組んでまいります。
1つ目の重点プロジェクト「若者や子どもであふれるまちプロジェクト」では、「若者の地元回帰の促進」と「子どもを産み育てたいと思える環境づくり」、「郷土愛の醸成に向けた教育の推進」に取り組むことで、若者や子どもであふれるまちを目指してまいります。
2つ目の重点プロジェクト「市民が健康で元気なまちプロジェクト」では、「健康増進に向けた支援」と「生きがい創出・多様な活躍に向けた環境整備」、「介護予防の推進」に取り組むことで、市民が健康で元気なまちを目指してまいります。
3つ目の重点プロジェクト「持続可能で選ばれるまちプロジェクト」では、「戦略的広報の推進」と「行財政改革の推進」、「市民参画の推進」に取り組むことで、持続可能で選ばれるまちを目指してまいります。
5.おわりに
新年度を迎えるにあたり、市政運営に関する基本的な考え方と、主要な事業についての概要を申し上げました。
私は就任以来一貫して「元気」と「やさしさ」があふれるまちづくりに取り組んでまいりました。近年は、「障がい者にやさしいまちづくり」を政策のキーワードに掲げ、そのために市役所に何ができるのか、職員自身が自分の職務において何ができるのかを常に考え行動するよう促してまいりました。このコロナ禍の状況の中で迎える新年度は、新たに策定した第5次新庄市総合計画の運用スタートの年でもあります。市政運営の指針でも申し上げましたとおり、人口減少・少子高齢化に伴い、暮らし方や働き方が変化し、求められるまちの姿も変わっていきます。平成の成熟社会から、これまで以上に「自分らしく豊かに暮らすこと」が大切な文化創造の時代となり、新庄市ならではの「住みよさ」をかたちにして、市民一人ひとりが心の豊かさを実感できるまちを目指していかなければなりません。そのために、職員一人ひとりが、高い意識を持ち、掲げた目標に向けて全力で取り組むことで、本市の課題を解決し、全ての市民にとって「やさしいまち」「安心して暮らせる共生社会」の実現につなげてまいりたいと考えております。
最後に、市民の皆さまの役に立つ所が「市役所」であります。「まちはだれのもの」と常に自らに問いかけ、「市民第一主義」を引き続き強く意識しながら、市民の皆さまにとって、本当に住みやすく住んで良かったと思えるまちを目指し、コロナ禍という中でも大きく羽ばたけるよう、職員一丸となり、市政運営に取り組んでいく決意を表明し、令和3年度の施政方針といたします。

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