昨年9月の市長就任以来およそ5カ月が経過いたしました。この間も、選挙公約に掲げた政策の実現に向けて努力を重ねてまいりましたが、令和6年度が市長として編成する初めての当初予算となります。
令和6年度の市政運営に関し、施政の基本方針を申し上げ、議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1.はじめに
世界経済は、ウクライナ情勢や原油価格高騰などにより、不確実性が高まっています。ロシアによるウクライナ侵攻は長期化し、昨年10月には、イスラエルとパレスチナの衝突が激化するなど、世界経済に大きな影響を与えています。原油や穀物などの価格が高騰し、経済活動の停滞が懸念されています。
国内では、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、人流の復活や個人消費の回復、インバウンドの増加など、社会経済活動が正常化に向けて動き始めています。その一方で、急激な人口減少や人手不足による様々な課題が顕在化し、デジタル技術を活用しながら、地域社会全体の仕組みをこれまでとは違った発想で再構築していく必要性が生じてきております。また、エネルギーや原材料価格をはじめとする急激な物価高騰は、地域経済や市民生活に大きな影響を及ぼしています。
さらに、地球温暖化による気温上昇や、豪雨などの自然災害、クマやイノシシによる鳥獣被害の増加など、環境を巡る新たな社会問題も大きな課題となってきています。
本市においては、4年ぶりに新庄まつりが通常開催され、まつり期間中には多くの人で賑わい、コロナ禍が明けて社会経済活動が戻りつつあることを実感いたしました。昨年10月には新たな県立新庄病院が開院し、最上地域初の地域救命救急センターが設置されるなど、高度な救急医療の提供により、最上地域の住民の命と健康を守るための医療機能の充実が図られました。そして、本年4月には、東北初の農林業系専門職大学であり、最上地域では初めての4年制大学となる「東北農林専門職大学」が市内に開学し、新たな産業の創出や、学生と地域住民との交流による地域の活性化が期待されております。
このような中、本年1月1日に発生した能登半島地震では、多数の家屋が倒壊し、津波や火災の発生、道路の寸断、長期間にわたる断水や停電など、石川県を中心に甚大な被害が発生いたしました。240名を超える尊い命が失われ、今なお多くの被災者が厳しい避難生活を余儀なくされています。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災されたすべての皆様にお見舞いを申し上げます。
本市では、職員や給水車を被災地に派遣し、避難者の方々の支援を行うとともに、被災家屋の調査業務などの支援を行いました。
このたびのような大規模地震をはじめ、豪雨、豪雪、土砂崩れなどの自然災害は「いつ・どこで起こるかわからない」ということを十分認識し、本市における防災・危機管理体制を改めて確認しながら、災害に備えたまちづくりを推進してまいります。
2.市政運営の基本的な考え方
このような状況のもと、令和6年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。
私は、「対話と決断」、「未来への責任」を基本理念として掲げ、少子高齢化、人口減少などの山積する課題解決と、より良い未来の新庄市の創造に向け「輝く未来へ 挑戦するまちづくり」を推進してまいります。
現在の新庄市は、人口減少・少子高齢化が顕著であり、人口は3万3千人を割り込む状況となっており、国立社会保障・人口問題研究所によれば、2050年には本市の人口は、現在の約6割の水準まで減少すると推計されております。人口減少は、本市に限らず、全国的な課題ですが、若者や子育て世代が自らの未来と地域の将来に希望と夢を持って暮らしていけるよう、様々な観点から暮らしやすいまちとして、新庄市のもつ豊かな自然や歴史、文化など多くの魅力をさらに高めていくことが、人口減少対策の最大の柱だと考えております。
そのためには、人口減少社会の先に在るべき新庄市の未来像をしっかりと見据え、今やるべき最善の施策をしっかりと検討しながら取り組んでまいります。
また、新庄最上地域の住民の生活圏域は一体的なものとなっており、産業・交通・公共施設の政策など広域的な視点で検討していくことが ますます重要になってくるものと考えております。加えて、本市は地域の中心市であることから、東北農林専門職大学や県立新庄病院の更なる機能連携や地域展開など、国や県とも積極的に連携を図りながら、中心市としての役割を果たしてまいります。
本市では、令和3年度以来「新庄市第5次総合計画」に基づき、多くの事業を推進してまいりました。その中には、急激な社会経済情勢の変化を踏まえながら、事業の推進について再検証や見直しが必要となる場合もあると考えております。市民の皆様に 幸せと希望を持って暮らしていただける 未来の新庄市のまちづくりのために 真に必要な施策や事業はどうあるべきかを常に念頭に置きながら取り組んでまいります。このため、令和6年度では、新たな視点による施策を重点として進めることとし、将来に向けて持続可能なまちづくりを目指してまいります。
これらの施策を推進するためには、その裏付けとなる財政運営にも留意する必要があります。これまでも、厳しい財政状況に対応するために投資的経費や地方債残高の抑制、内部管理経費の削減などに取り組んでまいりました。新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、社会経済活動が正常化に向かう中で、人件費や社会保障費の増加、老朽化した公共施設の修繕費等の上昇は、今後の財政運営に大きな影響を及ぼすものと見込んでおります。
その一方で、市民の皆様が活力や幸せを実感できる将来に向けた魅力あるまちづくりを実現するためには、一定の未来への投資も必要なものと考えており、厳しい中においても健全財政とのバランスを取りながら対応していく必要があるものと考えております。
このため、国の経済対策をはじめ、DX(デジタルトランスフォーメーション)や、GX(グリーントランスフォーメーション)などの新たな国の支援政策の動向にも注視しながら、限られた財源を有効に活用し、「未来への責任」として、将来にわたり安全かつ良質な公共サービスを効率的に提供できるように、持続可能な財政運営に努めてまいります。
以上の点を踏まえながら、市民・事業者・各種団体など、地域の皆様と問題意識を共有し、市民の皆さまが自分らしく豊かに暮らすことができるよう、「輝く未来へ 挑戦するまちづくり」の実現に向けて、取り組んでまいります。
3.令和6年度主要事業
次に、令和6年度の主要事業について、それぞれの視点に沿ってその概要を申し上げます。
第1に「結婚から子育て期までの切れ目ない支援」であります。新庄市で子どもを産み育てたいと思うことができるよう、若者世代や子育て世代に寄り添った支援の充実を図り、こどもたちの笑顔があふれ、未来が輝く新庄市に向けて取り組んでまいります。
人口減少の要因の一つに若者世代の未婚化・晩婚化があり、本市においても出生数の低下の要因の一つと考えております。また、未婚化・晩婚化は、孤独感や不安感の増加、老後の生活不安など、個人にも様々な影響を及ぼす可能性があります。
このため、新たな結婚支援策として、マッチングアプリ「Aiナビやまがた」の利用登録料の全額助成を行い、あわせて、県が認定しているボランティア仲人である「やまがた縁結びたい」の新規登録者に対して助成を行うことで、結婚の希望を叶えるための取り組みを進め、少子化の抑制を図ってまいります。
また、体外受精などの不妊治療を受けている夫婦の経済的負担を軽減するため、その費用の一部を助成する事業を継続して実施することで、出生数の増加につなげてまいります。
子育て支援策として子育て世代の経済的負担を軽減することは、出生率の向上や社会全体の活力維持にとって大変重要と捉えております。そのため、これまで実施してきた「15才以下の子どもがいる世帯の国民健康保険税の均等割額の軽減」、「多子世帯の保育料・副食費負担軽減」、「高校3年生までの医療費無償化」、「学校給食費の第1子一部補助、第2子半額・第3子全額補助」、「3世代同居等住宅取得助成」の事業に継続して取り組むことで、子育て世代の経済的負担を軽減するとともに、子育てに対する不安やストレスを軽減し、出生率の向上につなげてまいります。
老朽化に伴い新たに整備を進めている新・中部保育所(仮称)につきましては、新庄の歴史風土を感じられる最上公園の一角に設置し、都市公園の環境を生かした施設として令和7年度の開所を目指します。本市の中心的な役割を担う保育施設として、子どもたちの郷土愛を育み、利用者に配慮した施設となるよう整備を進めてまいります。
この新・中部保育所(仮称)では、集団保育が可能な医療的ケア児の受け入れを検討しており、地域の医療・福祉関係者と連携しながら、保育所での受け入れ可能範囲を含めた医療的ケア児の支援に関するガイドラインを策定し、関係機関との協力体制の構築に努めてまいります。
また、近年、保育現場で発生している登所時の置き去り事故や、人材不足が問題となっている保育士の業務負担の軽減などの課題解決を図るため、児童の登所管理や保育記録等の書類作成等を行うためのシステム導入を図り、公立および民間立の保育現場のICT化を推進していきます。
昨年4月に施行された「こども基本法」では「市町村こども計画」を策定のうえ、こども施策に取り組んでいくことが求められており、本市のこども施策について基本方針等を整理し、子どもや保護者の意見も聴きながら、計画策定に向けて検討してまいります。現在、様々な方面から屋内型の子育て支援施設の要望をいただいているところでありますが、「こども計画」を策定するなかでアンケートなどを行いながら実態を調査するとともに、子育て支援施設整備の可能性について模索してまいります。また、泉田保育所や日新放課後児童クラブなどの施設老朽化の課題もありますので、これら施設の今後の方向性についても、しっかりと調査検討してまいります。
現在、子育て世代の相談窓口として設置している「子ども家庭総合支援拠点」と「子育て世代包括支援センター」については、すべての妊産婦、子育て世帯、子どもの包括的な相談窓口として「こども家庭センター」に組織を統合することを検討し、子育て世代の支援体制の強化に努めてまいります。
教育分野においては、人口減少に対応する方策の一つとして、地域に根ざした教育がふるさと回帰や定着に重要な役割を果たすものと捉えております。地域の歴史や文化、伝統を学ぶことは、子どもたちの地域への愛郷心と誇りを育み、将来 新庄市に帰ってきたいという気持ちの醸成につながるものと考えております。
また、現在 学校現場においては、児童生徒数の減少が続いている状況の中で、特別な配慮が必要な児童生徒が増えている現状があります。このため、教育現場における重点施策の一つとして、特別支援教育の充実を図ってまいります。
第2に「大学・病院との連携」であります。
本年4月に いよいよ東北農林専門職大学が開学し、将来の農林業のリーダー的役割を担う多くの若者がこの新庄最上地域に集ってまいります。大学の持つ教育研究機関としてのノウハウとの産学官連携により、新たな農林業ビジネスの誕生や新事業のスタートアップに向けた人材育成が期待されるほか、若者居住による まちなかの賑わい創出など、活力ある まちづくりに向けた大きなチャンスが到来したものと考えております。
本市としてもこの好機を逃すことなく、大学はもちろん民間企業や農業団体等と共に、新たな地域産業の創出や元気なまちづくりを効果的に推進していくため、令和6年度は、全国の先進事例も調査しながら効果的な産学官連携の仕組みを検討し、取り組みを進めてまいります。
また、学生への生活支援を目的として、令和6年度は定住促進住宅を学生向け住宅として提供してまいりますが、同時に、市街地活性化や空き家利活用の促進を目的として、空き家をリノベーションする準学生寮の整備を進めてまいります。
あわせて、バス事業者の協力により、本年4月から東北農林専門職大学前までバス路線を延長し、大幅に増便することで学生の通学手段の確保及び沿線住民の公共交通の利便性の向上を図ってまいります。
次に、昨年10月に新しい県立新庄病院が開院し、同病院が有する高度な医療資源が地域の医療・介護のセーフティネットとして更に有機的に機能するように、地域救命救急センター内において夜間休日診療が実施され、市民の夜間・休日における安心安全な医療体制の確保に注力しています。加えて、同病院内に最上8市町村連携により設置した在宅医療・介護連携拠点「@(あっと)ほーむもがみ」において、退院後の在宅医療と介護サービスの利用に関する相談体制の強化を図り、引き続き、県立新庄病院との連携による医療体制の充実に努めてまいります。
これらに取り組んでいく上では、医療機関や介護施設における看護師不足が大きな課題となっていることから、地域住民の健康と生活を支えるため、関係者が一丸となって取り組んでいくことが重要と考えております。この看護師不足への対策の一つとして、看護師の地元回帰と定着を促進するため、Uターンを希望する県外在住の看護師や看護学生に対し、市内の医療機関や介護施設での就業体験に要する費用を新たに助成し、引き続き看護師不足解消に向けた取り組みを推進してまいります。
第3に「道の駅による地域の活性化」であります。
エコロジーガーデンは、これまでも産直「まゆの郷」や手作り市「キトキトマルシェ」の来場者などで にぎわいを見せてきましたが、現在進めている「道の駅」整備事業により駐車場、トイレ、情報案内施設が設置されることでアクセスや利便性が向上します。今後、さらに魅力ある交流スポットとして親しまれる施設になるよう、令和7年度のオープンに向けて整備を進めてまいります。加えて、「道の駅」としての更なる魅力となるコンテンツの開発とともに、専用ホームページを構築して、より効果的な情報発信体制の強化を図ってまいります。
また、インターチェンジ付近の「道の駅」につきましては、現在中断している検討会の再開に向け、早急に準備を進めてまいります。検討会では、管内町村との認識共有をはじめ、集客、収益施設等における民間企業や経済団体、地域の方々との役割分担や、国や県との制度的な調整など多方面に渡る調整を行っていく必要がありますが、まずは本市や最上8市町村としての考え方を整理し、検討会による具体的な調整に臨む必要があると認識しております。今後の東北中央自動車道や みちのくウエストライン「石巻新庄道路・新庄酒田道路」の整備促進を見通しながら、インターチェンジ付近の道の駅検討会の協議が早期に再開できるよう取り組んでまいります。
第4に「国際交流」であります。
昨年9月に国際友好交流協定を締結した台湾の南投県 草屯鎮との交流事業については、南投県立 日新国民中学校と本市の日新中学校とが「同じ名前の学校同士」をきっかけに、本年1月12日にオンライン交流を開催しております。確実に友好交流協定を締結した効果が現れてきており、国際交流の輪が広がりを見せております。
令和6年度においては、市内の小学生が台湾を訪問し、スポーツを通して現地の子どもたちと交流することで、未来を担う子どもたちの国際感覚の醸成を図ってまいります。この交流をきっかけとして、今後、本市の国際交流を更に前に推し進めてまいります。
そして、第5として「市民との対話によるまちづくり」であります。
私は、就任当初から“対話”を通じて市民の皆様一人ひとりの声に寄り添ったまちづくりを進めていくことを申し上げておりますが、これにつきましては、「区長と市長のまちづくり会議」を継続して実施するとともに、希望する町内会や市民グループの皆様と対話する機会を新たに設定していきたいと考えております。これにより、市民が抱えている課題やニーズをしっかりと把握し、市民目線に立った政策立案、施策の実施、行政サービスの提供など具体的な実行策を“決断”しながら、市民参加型のまちづくりを目指してまいります。
“対話”を進めるうえでは、市の情報発信が市民に十分届くことがその前提となります。現代の情報発信において、インターネットの果たす役割は大変重要でありますが、現状では官民が個々に情報発信しており、一元化されていない状況にあります。このため、新庄市と地域の企業、団体、住民等が官民協働で情報発信する「わが街ポータル」という特設サイトを開設し、地域のイベントや観光情報、行政情報、企業の求人情報など、新庄の情報を丸ごと発信して本市の魅力を効果的に伝えてまいります。
また、これまでの市報やホームページを利用した行政情報の発信に加え、「市民が知りたいこと」、「市が知らせたいこと」を効率的に伝えるために、市公式LINEの機能拡張を行い、情報発信の充実を図ってまいります。
次に、第5次総合計画の「住みよさをかたちに 新庄市」の実現に向けた様々な取り組みについてであります。
農業分野におきましては、地域農業を支える人材の育成・確保を図るため、「担い手総合支援対策事業」により、新規就農者の安定的な経営に資する支援を引き続き実施してまいります。また、将来の地域農業の在り方を地域の農業者、関係機関とともに話し合いながら、「地域計画」を策定するとともに、その実行に向けて取り組んでまいります。
新工業用地の整備につきましては、さらなる産業集積と雇用機会の創出を目的とし、これまで取り組んでまいりました。しかしながら、コロナ禍からの社会経済活動の回復過程で急速に深刻化してきた人手不足、原材料費やエネルギーコストの高騰など企業活動が大きく制約される課題が顕在化し、あわせてRPA(ロボットによる業務自動化)やAI(人工知能)などデジタル化の急速かつ強制的な進展などにより、ここ1~2年の間に企業を取り巻く環境は劇的に変化しました。
これらの劇的変化を踏まえ、東北農林専門職大学をはじめとした高等教育機関や研究機関との産業連携も考慮しながら、今後の新庄最上地域に より多くの付加価値を生み出すためにはどのような産業集積が必要なのか、雇用の場として地域の若者に選ばれる企業とはどのようなものなのか、そのための環境整備としての工業用地はどうあるべきなのかを調査し、既存立地企業の将来的な設備投資の意向も踏まえながら、本市における産業集積の方向性や工業用地の在り方について、調査、検討を進めてまいります。
観光振興の柱となる新庄まつり振興事業につきましては、まつりの担い手不足、財源不足などの課題や、まつり期間中における猛暑への対応など新たな課題も生じてきております。こうした課題を整理し、令和7年度に迎える新庄まつり270年を見据え、観覧席増設や滞在型観光へ対応を検討していきます。令和6年度については、山車の位置情報システムを更新し、一層の情報発信と誘客拡大に努めるとともに、熱中症対策等の安全管理体制の充実を図り、市民の誇りである「新庄まつり」の継承と安全なまつりの実施に向けた取り組みを推進してまいります。
次に、「安全・安心で美しいまちづくり」につきましては、まず初めに、令和5年度をもって廃止する交通災害共済事業の基金について当該事業の趣旨に則り、令和6年度の交通安全に資する各種事業に活用してまいります。主な内容としては、市道のガードレール・転落防止柵の修繕、学校周辺の区画線設置など、道路利用者の利便性向上と安全確保に資する事業や、冬期間の歩行者の安全を確保するための歩道除雪機械の更新、さらには、反射材や交通安全に関する教育資材などの配布など、市民の交通安全を推進する取り組みに活用してまいります。
また、防災対策につきましては、地震や豪雨など全国各地で甚大な自然災害が発生しておりますが、本市においても新庄盆地断層帯が位置し、大きな地震が発生する可能性が高いとされております。令和6年度の市総合防災訓練につきましては、住民主導による避難所の運営など、発災時を想定した実践的な訓練を行うことにより、地域防災能力の向上に努めてまいります。
近年、世界中で頻発している自然災害や異常気象の原因の一つといわれている地球温暖化に関する対策として、温室効果ガスの排出削減等のための総合的かつ計画的な施策の実施に努めることとされています。本市においても、脱炭素社会の実現に向けて、二酸化炭素実質排出ゼロに向けた取り組みを推進しながら、「ゼロカーボンシティ」の宣言に向けた検討を行ってまいります。
次に、「都市基盤 快適な暮らしを支えるまちづくり」についてであります。
急速な人口減少や少子高齢化が全国的に進む中で、都市機能の維持、公共サービスの提供、地域経済の活性化などが課題となっています。本市といたしましても、人々が将来にわたって安心して住み続けることができる持続可能で魅力あるまちづくりを目指す「立地適正化計画」を策定し、居住機能や医療・福祉、商業、公共交通等のさまざまな都市機能の誘導によるまちづくりを進めてまいります。
また、本市の重要課題である雪対策につきましては、冬期間の安全な交通確保と住民生活の維持を図るため、市道及び生活道路の除排雪の充実に努めるとともに、流雪溝の整備を推進してまいります。
高齢者の玄関前除雪サービスについては、サービス提供に必要な人材の不足などが課題となっておりますので、高齢者の負担軽減を図り、一人ひとりが幸せを実感できるまちの実現に向けて、引き続き求められる除雪サービス継続のため、新たな支援体制の構築を検討していきます。
次に、「いのち輝き学びあうまちづくり」につきましては、国の登録有形文化財である旧農林省積雪地方農村経済調査所庁舎の耐震補強等の改修を行い、雪国文化を次世代に伝承するとともに、市民の交流の場として整備を進めてまいります。
また、各社会教育施設、スポーツ施設については、老朽化した空調設備の改修および照明設備のLED化を進め、市民が快適に利用できる環境整備を行うとともに、管理運営費の低減を図ってまいります。
最後に、令和7年は新庄藩初代藩主戸沢政盛公が新庄城を築城し、開府してから400年を迎えることから、これを契機に、郷土への愛着と誇りを高めるとともに、交流人口の拡大を図り、「歴史を大事にしていくまち」として、新庄市全体で盛り上げていくことが大変重要であると考えております。開府400年記念事業の総合アドバイザーである今村翔吾氏からは、これまで同事業の地域内外への情報発信をしていただくとともに、市民の歴史認識や次の時代のまちづくりに向けた意識の醸成につなげるためのご支援をいただいております。このため、令和6年度においても、今村氏と連携を図りながら様々なプレ事業を実施し、令和7年度本番の記念事業の実施に向けた更なる機運醸成を図ってまいります。
4.おわりに
新年度を迎えるにあたり、市政運営に関しての基本的な考えと、主な事業の概要について申し上げました。
人口減少というマイナスと考えられている局面を、未来を創造する新たな発展の機会と捉え、市民の皆様の声を丁寧に聴きながら、議論を重ね、適時・適切に決断していくことで、「未来への責任」を持って、市民一人ひとりが心の豊かさを実感できるまちを目指して着実に取り組みを推進してまいります。
市民の皆さまとともに「輝く未来へ 挑戦するまちづくり」を目指し、精一杯取り組んでいく決意を表明し、令和6年度の施政方針といたします。
新庄市長 山科朝則
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