山形が「広島と同じ平均気温になる未来」を防ぐために
「地球温暖化は環境に良くない」という認識は、多くの方がお持ちかと思います。
一方で、「地球温暖化とは何か」、「地球温暖化によりどのような悪影響が起きるか」については漠然とした認識をお持ちの方や、世界規模の話がゆえに、地球温暖化対策が身近なことに感じられない方もいると思います。
タイトルにあるように、今後追加的な温暖化対策を行わない場合、2100年の山形県は現在※の広島県と同じ平均気温になると予測されています。
広島県は中国山地や瀬戸内海に面する、一般的に温暖な気候の地域といわれており、レモンやネーブルオレンジなど栽培北限が関東圏までとなる作物が名産の県です。
山形県は、お米をはじめとした農産品や日本海等で獲れる海産物など、美味しい食べものを身近に楽しめることが魅力のひとつですが、2100年にはどのような状況になっているでしょうか。
また、本市も含め、山形県は四季折々の季節を感じられることも魅力です。春の桜や新緑の木々、夏は海や川遊びにBBQ、秋の紅葉に冬の雪。令和のいま、既に年々四季の変わり目を感じにくくなっており、夏は毎日のように熱中症アラートがなり、冬は短時間降雪で雪に悩むような生活を送っています。今後改善される見込みがないなか、2100年はどのような生活を送ることになるでしょうか。
温暖化は、食分野や雪だけでなく、様々な影響を及ぼします。短時間豪雨による大雨被害、土砂崩れによる家屋の倒壊、熱中症患者の増加など、様々なトラブルが想像されます。
2100年といえば、今年生まれた赤ちゃんの子どもや孫が暮らす時代になります。自分の家族や子、孫、ひ孫など、将来日本に住む人のために少しでも住みやすい生活環境を残すことは私たちの社会的な責任のひとつではないでしょうか。
そのため、今一度地球温暖化の概要をお伝えするとともに、どのような取組が求められるかについて紹介いたします。
※現在:1991年~2020年の平均気温の平均値
(1)地球温暖化のしくみ
地球の気温は地球の周囲を覆っている大気によって、昼夜間や季節間の大きな気温の変化が緩和され、生物が生息できる状態に保たれています。これは、太陽光線によって暖められた熱(赤外線)が、大気中の二酸化炭素などに吸収され、熱を地球の外に逃げにくくしている「温室効果」によるためです。このような働きをする気体は「温室効果ガス」と呼ばれ、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素などがあげられます。 現在、わたしたちの社会活動によって二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量が増え、大気中の濃度が増加し、地表付近の気温が急速に上昇しています。これが「地球温暖化」と呼ばれる現象です。
出典)全国地球温暖化防止活動推進センター
(2)平均気温の上昇
日本の年平均気温は、100年あたり1.26℃の割合で上昇しています。
IPCC第6次評価報告書によると、1850~2020年の傾向で世界平均気温は1.09℃上昇していて、このままでは2100年の平均気温は、最大5.7℃上昇する(SSP5-8.5シナリオ)とされています。
出典)全国地球温暖化防止活動推進センター
(3)2100年の山形県の気候は?
【追加的な緩和策をとらなかった場合】
20世紀末(1980-1999年)から21世紀末(2076-2095年)までの約100年間に起きると予測される変化
出典:山形地方気象台・仙台管区気象台「山形県の気候変動(令和7年3月)」の
情報をもとに新庄市作成
このまま追加的な地球温暖化対策を実施しないと2100年には山形の平均気温は現在よりも約4.7℃上昇し、雪
は約70%減少(年最深積雪)、真夏日や熱帯夜が約1か月増加するとともに短時間大雨の頻度も増大するとの予測がなされています。
2100年の山形における平均気温は約16.8℃になり、現在※の広島(平均気温16.5℃)と同程度になることが見込まれており、気温変化による動植物の生態系や自然環境をはじめ、農作物や経済活動、家庭生活など多岐にわたって影響があることが想定されます。
※現在:1991年~2020年の平均気温の平均値
(4)地球温暖化がもたらす身近な影響
県内においても、気温の上昇による農作物への影響や、過去の観測を上回るような短時間強雨、熱中症搬送者数の増加といった健康への影響など、気候変動によると思われる影響は、私たちの生活の様々なところに既に現れています。本市においても令和6年7月に大雨被害が発生し、過去に前例がない短時間大雨に見舞われ、また、近年の高温や小雪・少雨により作物の不作が起きております。
以下に、全国的にうたわれている「地球温暖化が及ぼす影響」を紹介します。
図:本市において予測される気候変動の影響
分野 |
気候変動の影響 |
農業・林業 |
農作物の収量・品質の低下 果樹の着色不良、栽培適地の変化 害虫の分布域の拡大、病害の発生地域の拡大 融雪流量の低下に伴う利水施設における取水への影響 農地湛水被害の増加、斜面災害による農地被害の増加 家畜の生産能力、繁殖機能の低下 野生鳥獣の分布拡大による農作物、造林木等への影響 山地災害の発生頻度の増加、激甚化 等 |
水環境・水資源 |
河川・湖沼等の水質の悪化 無降水日数の増加等による渇水の深刻化 水供給・水需要バランスの変化 等 |
自然生態系 |
ニホンジカ等の生息域の拡大 高山生物の生息・生育環境の変化 等 |
自然災害 |
大雨や短時間強雨の発生頻度の増加、大雨による降水量の増大に伴う水害の頻発・激甚化 土砂災害の発生頻度の増加と甚大化 土砂災害と内水氾濫の同時生起による複合的な影響被害の発生 等 |
健康 |
熱中症搬送者数、医療機関受診者数、熱中症死亡者数の増加 感染症を媒介する節足動物(ヒトスジシマカ等)の分布域の拡大、活動期間の長期化 等 |
産業・経済活動 |
気温上昇に伴うエネルギー需要量の変化 冬季の降雪量の極端な変動によるレジャーへの影響 サプライチェーンの分断による事業活動停止リスクの増加 等 |
市民生活・ 都市生活 |
豪雨、台風等に伴う交通網、ライフラインの寸断 豪雨、台風等に伴う廃棄物処理機能への影響、災害廃棄物の大量発生 ヒートアイランド現象による熱ストレスの増大 等 |
わたしたちができること
出典:気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)
地球温暖化やそれに伴う気候変動への対策としては、地球温暖化の原因物質である温室効果ガス排出量の削減や、森林の吸収源の増加などの「緩和策」に全力で取り組む必要があります。しかし、「緩和策」の効果が現れるには長い時間がかかり、過去に排出された温室効果ガスの大気中への蓄積もあるため、ある程度の気候変動は避けられません。
したがって、既に現れている、あるいは、中長期的に避けられない気候変動の影響に対し、自然や人間社会の在り方を調整し、被害を最小限に食い止める、あるいは気候の変化を利用していく「適応策」の取組みについても、積極的に進めていく必要があります。
本市においては、「緩和」と「適応」の両輪を推進していくため、国や県の取組も活用しながら市民一丸となって地球温暖化対策に取り組むことができるよう、体制を構築していきます。
今からできる「緩和策」、「適応策」
市民・企業のみなさまが取り組むことが実践・活用できる「緩和策」・「適応策」について紹介いたします。
1.緩和策(温室効果ガスを減らす)
家庭で実践できる取組
環境省が運営する脱炭素・エコを推進するためのサイト。
〇デコ活(脱炭素に繋がる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)環境省
家庭・企業向けの補助金
国・県・市が実施する補助支援について紹介しています。
〇【緩和策】温室効果ガスを減らすための取組・支援(国・県・市の補助制度)
2.適応策(地球温暖化に対応する)
国・県・市が取り組んでいる適応策について紹介いたします。
〇【適応策】地球温暖化の影響に備える取組・支援(国・県・市の取組)
関連リンク
- デコ活(脱炭素に繋がる新しい豊かな暮らしを創る国民運動) 環境省(外部サイトにリンクします)
このページに関する問い合わせ先
環境課
郵便番号:996-8501 山形県新庄市沖の町10番37号
ファクス番号:0233-23-6112
環境保全・エネルギー係
電話番号:0233-29-5826
生活安全係
電話番号:0233-29-5678
地域防災係
電話番号:0233-29-5827
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